346 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2013/06/23(日) 03:40:04.88 ID:WtrwOPAO0 [3/4]
「もうさやかちゃんなんかしらない!わたし別の部屋で寝るね」プイ
寝る前にまどかと喧嘩してしまった。
まどかは部屋を出て行ってしまい、あたし一人、部屋に取り残された。
「…だってあれはまどかが悪いんだから…」
どうやら今日は一人で寝ることになりそうだ。
昔はずっと一人で寝てたんだし、別にまどかがいなくてもいいもんね…。
…。
あたしは電気を消して布団にもぐりこんだ。
む…。
むむ…。
むむむ…。
うー、ちっとも眠れない。
無意識のうちに手が伸びて、いつも隣で寝ているはずの女の子を抱きしめようとしてしまう。
うーむ。
あたしは、いつの間にか何かに抱きついていないと眠れない体質になってしまったようだ。
だったら…!
あたしは棚に並べてられているまどかのぬいぐるみの中から、一番大きいものを手に取った。
しかたない。今日はこの子を抱いて寝よう。
…。
…ううう。
…やっぱり眠れない。
…違う、…違うんだよ。…あたしが抱きたいのはこれじゃないんだよ!
大きさ、手触り、ぬくもり、ほのかな香り、抱きしめたときの反応…。
―全てがあたしの求めているものと違っていた。
「あたしは、やっぱりまどかじゃないと駄目なんかな」
今思えば、さっきの喧嘩はあたしも悪かった気がする。
…いっそのこと、謝りに行こうかな。
謝ってまどかと抱き合って寝ようかな。
でもまどかはすでに寝ちゃったかもしれないし…。
うー。
あたしは布団の中でどうしたものかと悩んでいた。
347 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2013/06/23(日) 03:42:55.47 ID:WtrwOPAO0 [4/4]
とんとん。
「さやかちゃん…起きてる?」
あたしが相変わらず悩んでいると、ドアを小さくノックする音と小さな声が聞こえてきた。
突然のことだったので、あたしは返事をできずにいた。
きぃい。
ドアが開いて、部屋に廊下の光が差し込んでくる。
あたしはまどかとどう接したらいいかわからず、ぱっと壁側を向いて布団を深くかぶってしまう。
ぺたぺた。
…。
「…はぅ、さやかちゃんもう寝ちゃったんだね」
あからさまにがっかりした声が耳に入ってきて、胸が痛くなる。
…。
壁を向いているあたしからはわからないけど、どうやらまどかはあたしをじーっと見ているようだった。
…。
もう寝たふりをしているのは限界かな。
まどかに謝って一緒に寝てもらおう。
―そう決めたとき、再びまどかの小声が聞こえてきた。
「さやかちゃんは寝ちゃったんだったら、仕方ないよね」
声の直後、あたしの寝ている布団に、何かがもぞもぞと入ってきた。
「だって、さやかちゃんがいないと寂しくてちっとも眠れないんだもん」
それは布団の中をゆっくり移動して、あたしに近づいてくる。
「さやかちゃんを起こしてしまわないようにーっと…」
あたしにたどり着くと、あたしの背中側からゆっくりと手を回してくる。
「さやかちゃん大好きだよー///」
「…///」
…すごく嬉しい///
…。
「あたしも大好きなのだー!!」
「ふぇえ!?」
あたしはくるっと反転してまどかをぎゅっと抱きしめた。
―そうだ…あたしの抱きしめたかったものは、『これ』なんだ。
ぷにっとしてて、ふわっとしてて、あったかくて、かすかにいい香りがして…。
「さやかちゃん、起きてたのー!?」
「うん。やっぱまどかがいてくれないと眠れないわー」
「///」
「まどか、さっきはごめんね。今日もあたしと一緒に寝てほしいなって…///」ギュ
「…はわわ///」
…。
「…駄目?」
あたしが聞くとまどかはぶんぶん首を横に振る。
「…わたしもごめんね。わたしもさやかちゃんがいないと眠れないよ///」ギュ
…。
すごく幸せ。
あたしは求めていたものを全身で感じ取ると、一瞬で眠りに落ちていった。
おしまい
最終更新:2013年11月12日 08:06