485 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/08/06(土) 18:09:00.80 ID:7769va3x0
まどかがさやかの声が大好きで、さやかがまどかのことをべったべたに甘やかす1レスSS
さやかちゃんの肩にぽすりと頭を預けてみる。
一瞬ぴくっとして、こっちに視線を向けて、私と目を合わせて、すぐにマンガに視線を戻した。
「眠いの?」
マンガの方に視線を向けたまま、さやかちゃんは言う。
「ちょっとだけ」
もう少しだけ体重を預けて、そう返すと、困ったような笑顔を向けられた。。
「今日のあたしの嫁は甘えん坊だね」
ちょっぴりはにかんだような口調。
甘えたくなったのは本当だけど、そういう言い方はずるいと思う。
「さやかちゃんって、なんだか落ち着くんだもん」
「そりゃあ、あたしの存在自体が癒し光線放ってるし?」
「……それは違うと思う」
さやかちゃんは癒しとかじゃなくて、傍にいて名前を呼んでくれるだけで安心できる人なんだ。
なにが癒しと違うんだって言われたらよくわからないけど。
「私、さやかちゃんの声が好きだなー」
明るくてはっきりしてて、胸にすとんと落ちてくるような声。
聞いてるだけでほわっとした気分になれるくらいだから、きっと私はさやかちゃんが好きすぎるんだ。
「あたしも、まどかのこと大好きだよー」
さやかちゃんはマンガを片手で固定して、もう片方の手で私の頭をぽんぽんと叩いて子どもをあやすようにする。
マンガから目を逸らさないあたり、そっちに夢中みたいだ。
好きって言われるのは嬉しいけど、この扱いはちょっぴり複雑だった。
「子どもじゃないよ、もう」
「今日のまどかはいつもよりも輪をかけて子どもっぽいけどね」
抵抗の意志を込めて言ってみると、さらっとそう切り返されてしまった。
頭をぺったりと預けて甘えてるから、言われても仕方ないかもしれないけど。
預けた体重をどうにかする気も今の私にはない。
「さやかちゃんの隣が居心地よすぎるんだもん」
「また恥ずかしげもなく、そういうセリフを言う……」
マンガを追う目が少しだけ細くなる。
呆れてるというより、照れたふうな感じだった。
「お父さん、変なのに引っかかるんじゃないかと心配だぞー」
「さっきまで夫だったのに」
「あたしはまどかの夫であり、父であり、姉であるからね」
そのラインナップなら、最後はお兄ちゃんの方がいいと思う。
けれど、それらがなんだか自然すぎて、突っ込みを入れる気にはならなかった。
「じゃあ今はお父さんなんだ」
「うむ。思う存分甘えなさい」
満足げにそう言うと、さやかちゃんはようやくマンガから目を離して、私の頭をぽんぽんと叩くのを再開し始める。
子どもじゃないって言ったのに。お父さんだって認めちゃったから、仕方ないとも思うけど。
「ふぁ……」
「よしよし、このまま寝てていいよ」
「じゃあ、ちょっとだけ」
「ん、おやすみ」
「おやすみ」
いつもより優しくて澄んだ声を聞きながら目を閉じる。
やっぱり、さやかちゃんの声って好きだなあ。
最終更新:2011年08月18日 18:34