83-9

9 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2013/11/20(水) 00:47:48.20 ID:VZuuccTH0 [1/31]
新スレ乙です~!

[あたしが女神になった日]

また女神ネタですみません。そろそろまど界モノを進めたいのですが…。


その日、あたしはまどかと一緒に魔法少女を導きに現世に臨りていた。
あたしの仕事はあくまでまどかのサポートに過ぎないんだけど、最近は特に頼りにされる事も多くて共闘に近い時も多い。
背中にまどかが居るのだから大丈夫だって油断してたんだろうか。
身体にかなり激しい損傷を受けた後、いつもならすぐに再生する筈の魔力がこの日は全く取り戻せない。
むしろ再生するどころかどんどん魔力が身体から抜けてゆく感じ………あたしもしかしてヤバくない…!?

「さやかちゃん!しっかりして!!」
「………ぅ……」

叫ぶまどかの手には何故かあたしのソウルジェムが握られていた。しかもそれ半分割れてるじゃん!
そりゃ魔力が抜けてゆく筈だよ。たぶん敵の攻撃受けて傷付いたんだろうなぁ…。
そう言えばこっちで死んだらどうなるんだっけ? 確か消滅するってまどかが言ってた気が…。
まどかが必死に何か言ってるけどあたしにはもう聞き取れない。
でもまどかの為に今まで戦えてあたし結構幸せかも。女神の右腕で居られたなんてすっごい自慢だよ?

視界もかなり霞み始みきってあたしは目を閉じた。そして違和感が訪れたのはその直後だった…。

「―――んぅっ…!???」

口元に暖かくて柔らかい何かが強く触れる。加えて唇の間から突然異物感が挿入されてあたしは即目を開いた。
すると目の前にあるのは目を閉じたまどかの顔。でもあたしに驚く暇なんて全然無かった。
まどかの口を通してあたしの咥内に次々と何かが注ぎ込まれる。
完全にキスしてる状態なんだから唾液かなと思ったけど全然違う。もっと熱くて触れた事の無い不思議な感覚。

あたしは拒むより先に、まどかから送り込まれた何かを無意識に飲み込んでいた。
すると完全に枯渇してた魔力がみるみる蘇って来る。
そう…これはまどかの魔力だ。まどかがキスを通してあたしに魔力を送り込んでいるのだろう。

受け入れるだけですぐ楽になるからあたしは迷わずゴクゴクと喉を鳴らして飲み込んでいた。
しかもまどかから直接出されたものを飲み込んでるってだけで妙な背徳感を覚えて軽くゾクゾクしてるあたし。
でもこのキスの本来の目的がそれだけではないのをあたしは知る事になる。

「んっ…んくっ…んぅ…―――…っ!???」

まどかの魔力を堪能していたあたしの胸の奥で何かドクン!って音と立てたんだ。
思わずあたしは唇を離して胸を手で押さえる。胸の奥が…身体の一番奥がもの凄く熱い…。
手で押さえたくらいじゃ全然収まる気配がしない。一度ドクンって言っただけで胸が裂けそうな衝撃だ。
そうこうしてる間に胸の鼓動は繰り返しドクンドクンと唸り続ける。

「ぅ…ぐっ…!? …な…によ…???」
「落ち着いてさやかちゃん! 今わたしの女神の力をさやかちゃんに分けてあげたの!
 理由は後で話すからとにかく力を入れないで楽にして!お願い!」

まどかの言ってる意味はよく理解らないけどとりあえず力を抜けって事なのか。
言われた通りあたしは落ち着こうとするけど、焼けそうなくらい熱いものは胸だけじゃなく全身に広がってゆく。
もう力を抜くとか我慢するってレベルじゃない。
身体全体が燃えそうで、内側から張り裂けそうな衝撃に耐えようとあたしは必死だった。

「…うぐっ…うあああああぁぁぁぁぁっ―――!!」

まどかの声も届かず絶叫したあたしの意識はそこで終わっていた。





[あたしが女神になった日]





(チュンチュン…チチチ…)
「………ん…あれ…?」

鳥の囀りに呼ばれてあたしは目を醒ました。
周りと見渡すとここはいつものベッドの上。まど界鹿目家宮殿のあたしとまどかの寝室。
まぁ宮殿って言っても現世の鹿目家をだいたい再現したちょっと立派な民家ってくらいなんだけどね。
そういやあたし、昨日まどかと一緒に魔法少女のお迎えに行ったんじゃなかったっけ?

それはともかくまどかはもう先に起きてしまってたらしい。
あたしも身体を起こすと…なんかもの凄く全身がだるい。なんか間接がギシギシ言ってる気がする。
しかも妙に下着が…ってかブラがキツい。間違ってまどかのでも着て寝たのだろうか?
パジャマのボタンを一つ外してみると普通に自分のものだった。というかパジャマもキツい。
更に床に足を付いてみるとパジャマのパンツの丈がちょっと短い。もしかして服全体が縮んだ…?

極め付けはベッドから降りた瞬間シュルっと流れた何かだった。
頭に妙な重みを感じたので鏡を見ると…そこには青い髪の美少女が立っていた。

「あっ! さやかちゃんお早う~!」
「おはよーまどかー。」

鏡の前でボケーッとしてると様子を見に来たらしいまどかがドアを開けた。今日も嫁は可愛いですなー。
ただあたしの体調はかなり宜しくないけど…。

「いやー…なんか今日めちゃくちゃ身体がだるくてさー…。朝御飯急いで作るから待ってて。」
「あっ、ううんいいの。それよりさやかちゃんに話さなきゃいけない大切な事があるから!」



リビングにはまどかが焼いたパンとコーンポタージュが並んでいた。
朝食を食べながらあたしは昨日あった事、今あたしの身に起きている事を事細かく説明されるのだった。

「あたしが女神~!?」
「うん、そうなの。昨日わたしがさやかちゃんに無理に戦わせたからさやかちゃんはソウルジェムに傷を負っちゃって…。」
「いやあれはあたしが油断したからで…。」

強引にまどかの言葉を遮ろうとしたけど、あまりに真剣な眼差しで言うからあたしは自重する事にした。

「だからね、わたしが女神の力を少しさやかちゃんに分けてあげる事で、さやかちゃんのソウルジェムを再生してあげたの。
 ねぇさやかちゃん。髪の長さ意外にも気が付いた所あるでしょ?」
「えっ? そう言えば…。」

やたらと服のサイズがキツかったりしたのは気の所為じゃなかった訳だ?
とりあえずもう一度鏡の前の自分を対面すると、まどかも一緒に後ろに現れた。

「…眼が………まどかと同じ色…!」
「そうだよ~。さやかちゃんの金色の眼は女神様の証なんだよっ♪ 他には他には?」

間違い探しはまだ他にもあるらしい。
何となく至る所に違和感を感じるんだけど、なかなかハッキリと言葉で表現するのって難しい。

「…なんか自分で言うのもアレなんだけどさ…。」
「うんうん?」
「あたしってさ…こんなに美人だっけ…?」

ブッ! 思わずあたしは心の中で吹き出していた。あー言うの恥ずかしいわ!
何て言うか妙にお姉さんって言うか女らしいって言うか、別に顔が変わってる訳じゃないんだけど…。

「そう感じるのはね、さやかちゃんのスタイルがパワーアップしたからだと思うよ? ほら。」
(パチン!)

まどかは耳元で囁いたと思ったら、いきなりあたしのパジャマのボタンを大胆に空けてしまった。
何すんのよー!って返すまでもなくあたしははち切れそうな自分の胸元に目が点になる。
いや確かにあたし結構スタイルは良かったけどさ、こんなにキツキツのブラをしてた記憶は無いもの。

「んなっ!? な、何よこれ…///」
「お胸もだけど足だってちょっと長くなってるでしょ? わたしが女神になって成長したのと同じ分、さやかちゃんも成長したんだと思うよ。」
「う、うん…なんかちょっと恥ずかしい…。」

パジャマのズボンが短いと感じたのも足が伸びた所為なのか。
恥ずかしくて手で顔を覆うあたし。とりあえず鏡の前から速攻で立ち去った。
それからも色々説明を受けたんだけど、まどかが言うにはまだ身体に女神の力が馴染んでないから"無理はしちゃ駄目!"だそうだ。

「今のさやかちゃんは感覚がまだ普通の魔法少女のままだから、暫くは魔力の制御が不安定かもしれないから気を付けてね。」
「うん、理解ったよ。」
「わたしのパートナーで居るさやかちゃんにはいつかこうして女神になって貰うつもりだったんだけど…。
 身体が慣れるまで暫くの間、さやかちゃんはお仕事お休みしててね。」

という訳で、今日は久し振りに一緒に行かずまどかの出発を見送る事になるのだった。
最近ずっと付いて行ってたからかなり寂しく感じる…。

…で、一人になってからちょくちょく変な事が起き始めた。
改めて鏡越しにまじまじと自分を見つめてみるあたし。うん、結構美少女かも!
えへへと我ながらだらしなくニヤけた瞬間、いきなりパキン!と音を立てて鏡にヒビが入ったのだ。

「―――!??」

勿論家にはあたし一人。もしかしてこれが身体に女神の力が馴染んでないって事なのだろうか…?
身体の奥から溢れ出る魔力の制御が出来てないのは明らかだった。

………………………………………………♭♭♭………………………………………………

―見滝原中央公園―

まどかが留守の間、あたしは準備運動も兼ねて公園の広場で友達とバドミントン。
あたし側のコートにはマミさん、向こう側のコートには杏子とほむら。
丁度いい感じのトスが上がって来たのであたしは軽く飛び跳ねてみた。

「よ~し!スマッシュ行くよー!」

自慢じゃないけどあたしは結構運動神経が良い方で、この三人も元々結構な実力の魔法少女だ。
少しくらい爽快なのを打っても大丈夫だろうと思ってあたしは勢い良くラケットをスイングした。

(パァン!)(ドゴォォッ!)
「へ…???」

なんかラケットでシャトルと打ったとは思えない音がしたんだけど…。
ちなみに杏子とほむらは何も反応出来なかったらしく、マミさんも含めて呆然とあたしを見つめてる。
もしかしてあたし、とんでもない方向に打っちゃったぽい?

「あれ? シャトルどっち飛んで行っちゃった? あたし拾って来るわ。」
「いや…シャトルならたぶんここだけど…。」

ふと杏子の手前に見慣れない黒焦げた穴がある。穴…???
いやちょっと待って! 肝心のシャトルが跡形も無いんだけど?

「貴女の打ったスマッシュでシャトルが爆発して地面に穴が開いたのよ。」
「…まぢっすか…?」

本来なら笑い飛ばしたい所なんだけど、ほむらの説明であたしはみるみる背筋が寒くなってゆく。
思い返せば今日はいきなり鏡が割れたり、あの後も壁が凹んだり食器が砕け散ったりしていた。

「どうしたの美樹さん? 代えのシャトルならまだあるわよ?」
「…。あたし…やっぱ化け物になっちゃったのかも…。無意識に周りの物壊したり、今だって…。」

自分の力に恐怖しか感じなかった。マミさんが心配そうな顔であたしに声を掛けるけと届かない。

「あたしなんかに女神の力が扱える筈なかったんだよ!
 そもそも死にそうなったのを助ける為のお情けなんだし、まどかみたいに才能ある訳じゃないし…。」

そうだ、この力はまどかがあたしに仕方なく与えたに過ぎないんだ。
後先なんて考える余裕なくて、唯あたしを死なせない為だけの応急処置。
あたしなんていう脆い器じゃ女神の力なんて凶器にしかならないって理解る。

けどそんなあたしのマイナス思考を打ち破ろうとほむらが一括した。

「そんな訳ないでしょう! まどかが貴女を情けだけで女神にしてなんてそんな筈ないわ!
 まどかにとって貴女は特別な存在よ。心から信頼してるからこそ力を分け与えたんじゃないの…?」
「ほむら…。」

こっちに来てからは珍しく強い口調で叫んだほむら。
まどかがあたしを信頼してるから…なのかな…。
自分がまどかの一生のパートナーとして選ばれたのをすっかり忘れてたよ。

「生意気な事言ってごめんなさい。私は唯その…まどかの貴女への気持ちを無駄にしたくなかったのよ…。」
「なあ。女神になったばっかで魔力が上手く制御出来ないだけなんだろ?
 まどかなんて未だに機嫌悪いと台風起こすくらいなんだしさ、壁やハネが壊れるくらいどうって事ないっての。」
「…ちょっと佐倉さん。それフォローになってないわよ。」

笑いながらあたしを励ます杏子と横で苦笑するマミさん。
三人の顔を見てると女神なのにうじうじ悩んでる自分が馬鹿らしくなって来たよ。

「なんかあたし一人で暗くなっててごめんね。まどかの為にももうちょっと頑張らなきゃね。
 それじゃ続き行っくよ~!」
「その意気よ。身体慣らしくらいなで幾らでも付き合ってあげるわ。」フッ
「けど戦闘訓練は危なそうだから当分勘弁な~。遊ぶなら幾らでも大歓迎だけど?」ニッ
「これから美樹さんは髪が長くなったんだから、後でお手入れの仕方をレクチャーしましょう。
 長い髪なら経験者がここに二人も居るんだし。」ニコ

もしあたしがちょっと魔力暴走したくらいで誰も責めたりしなかったんだよね。
あたしはもう暫くマミさん達と一緒にバドミントンを楽しんだ。

………………………………………………♭♭♭………………………………………………

夕方になってまどかも家に帰って来た頃。
あたしはまどかと一緒に再び鏡の前に立っていた。

「これが…あたしの翼…! まどかとそっくりだ!凄いなぁ~!」
「うん、上手く出せたね。」

女神になったまどかが持ってる薄ピンクの翼と対応するように、あたしの背中には薄い水色の翼が輝いている。
今度はこれを上手く出したり消したり、まどか曰くそのうち飛べるようになるそうだ。

「わたしがさやかちゃんに女神になって欲しかったのはね、正義感が強くて優しいさやかちゃんになら任せられると思ったからなんだよ。
 他の誰でもないさやかちゃんだからお願いしようって思ったの。」
「まどか…ありがとうね。こんなに信頼されてるのにあたしってなんですぐネガティブになんのかなー。」
「そういう素直でちょっと不器用なさやかちゃんも大好きだよ♪」

そう言ってまどかは身体をあたしに摺り寄せて女神同士が密着する。
まどかだって女神になって幾らかスタイルが成長したんだよね。あたしもだから差は縮まってないけど。



女神になってから初めて一緒にベッドになるあたし。身体の感覚が違う所為か妙にドキドキしてしまう。
まどかが小学校の時、始めてあたしとお泊りした時もこんな感じだったのだろうか?

「どうしたのさやかちゃん?」
「あ、いやその…女神になってから初めて一緒に寝るからさ…。」
「えへへ、そうだね。少しでもさやかちゃんに女神の身体に馴染んで貰う為にキスしちゃおっと♪」
「へ?」

あたしがマトモに返事をする前にまどかに唇を奪われていた。
暖かくて柔らかいまどかのそれから、まどか自身があたしに入り込んで来るのが感じられる。
それからまどかの言葉も意識としてあたしの脳内に伝わって来る。

『こうしてね、女神同士はキスして魔力を通わせるの。』
『何だろこの感覚…あたし達一つになってるみたい…。まどかの声も頭の中にぼ~っと広がって…。』
『抱きしめてキスしてるだけなのに不思議だよね。
 わたしの魔力がさやかちゃんに吸い込まれて、さやかちゃんのがわたしに吸い込まれてるの理解る?』

あたしの全身にまどかの魔力が入って来るのがとても心地良いんだ。
癒してくれるって言うか、他の人の魔力の筈なのに全然違和感無く混ざってく感じ。

『うん、感じる…。今日はこのまま…寝ちゃいそうかも…。』
『そうだね…。お休みなさいさやかちゃん、良い夢を。』
『おやすみまどか。』

あたし達は魔力と身体で繋がったまま、最高の眠りへと落ちるのだった。
明日見るあたし自身はどんな女神になってるのかな。
これからの毎日は鏡を見るのが楽しみになりそうだ。


[あたしが女神になった日]

おしまい。

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最終更新:2013年11月23日 19:28
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