3 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2013/11/22(金) 16:56:39.76 ID:r1zNDRHs0 [1/7]
ちょっとした童話みたいな感じの簡単なお話です。
さやかちゃん「ほら、しっかりしなさい! あんた天使でしょ? なんで水の中で溺れてたの?」
まどかちゃん「助けてくれてありがとう人魚さん。わたし小さいから翼が濡れてると渇くまで飛べなくなっちゃうの…。」
さやかちゃん「さっきの雨で濡れて池に落っこちた訳か。翼渇くまでゆっくりして行きなさいよ。お腹空いてない?」
[天使と人魚の恋物語]
お空の上に住むまどかという天使と、海の中に住むさやかという人魚が恋をしました。
小さな天使は優雅に海を泳ぐ人魚に惹かれ、美しい人魚は可愛い天使に憧れを抱いたのです。
さやかちゃん「ねぇまどか。あんたは自由に空が飛べて羨ましいよ。あたしも雲の上を自由に飛んでみたいなー。」
まどかちゃん「さやかちゃんは水の中が泳げるでしょ? わたしは泳げないからさやかちゃんが羨ましいなぁ。」
さやかちゃん「それもそうか。でもあたしは一度でいいからさ、空からこの海も山も草原も見下ろしてみたいのよ。」
まどかちゃん「それじゃぁわたしの背中に乗ってみない? それなら空から海も大地も見下ろせるよ。」
人魚のさやかを乗せて飛び立つまどか。いつもより重量が増えた分、思いっきり翼を羽搏かせます。
それは人魚が生まれて初めて海以上の高さへと昇った瞬間でした。
さやかちゃん「おおー!あたしの泳いだ海ってこんなに小さいんだね! ここの運河ってこう繋がってるのかー。」
まどかちゃん「さやかちゃん、空の眺めはどう?」
さやかちゃん「凄く気持ちいいよ! 空気は美味しいし、この風も雲も綺麗でずっと眺めてたいね。」
さやかちゃん「まどかって小さいけど凄いよね。あたしをこんなにも感動させてくれるんだから。ちょっとお礼♪」チュッ
まどかちゃん「わひゃぁ!/// えへへ♪ありがとうさやかちゃん。」
人魚のお礼は空中でも気軽に出来る軽いキス。
勿論これは誰にでもする訳ではなく、心から気を許した相手にだけ許す行為です。
さやかを海辺へ降ろすと今度はまどかが何から物干しそうにさやかを見つめています。
人魚が空に憧れたように、天使にとっても海は憧れの地なのですから。
まどかちゃん「ねぇねぇ。今度はわたしもさやかちゃんの住んでる海を泳ぎたいんだけど…無理かなぁ…?」
さやかちゃん「あんた確か水に塗れると暫く飛べないんだっけ? ならこうすればいいよ。」
人魚のさやかが魔法を唱えると、二人は一つの透明な泡に包まれたのです。
さやかちゃん「この泡で一緒に海の中を行こうよ。こうすれば翼が水に塗れたりしないでしょ?」
まどかちゃん「うん! ありがとうさやかちゃん!」
海の底へ近付くに従って天井の青は暗く、しかし周囲の景色は次第に美しさを増してゆきます。
まどかちゃん「わぁ~、お魚さん綺麗だね。こんなにいろんな色の子が泳いでるんだぁ~。」
さやかちゃん「こっちが珊瑚礁、あたしの友達なんだ。えっ?この天使はあたしの嫁だよ。何何?この欠片持って行けって?」
まどかちゃん「ほぇ? どうしたのさやかちゃん?」
さやかちゃん「珊瑚が枝一本持ってけってさ。まどかにあげるよ。ほらこうすれば…じゃーん!青い珊瑚のイヤリング完成ー!」
まどかちゃん「わぁ~♪ ありがとうさやかちゃん!ありがとう珊瑚さん!」
それからもたくさんの熱帯魚と一緒に泳いだり、イルカにダンス見せて貰ったり。
美しい海の中をたっぷりと堪能してからさやかとまどかは陸へ上がりました。
さやかちゃん「どうよ? 空から見る景色も綺麗だけど海の中も綺麗でしょ?」
まどかちゃん「とっても綺麗で楽しかったよ。でもやっぱりさやかちゃんが一番綺麗かな。」
さやかちゃん「なっ…!/// 何言ってんのよ、まどかの方が翼もあるし綺麗だよ。あたしなんて足無いから歩くの苦手だし…。」
まどかちゃん「でもさやかちゃんは泳ぐのが得意だし人魚の中で一番歌上手でしょ? わたしさやかちゃんのいい所たくさん知ってるよ。」
さやかちゃん「ねぇまどか。わたし達ってお互いに憧れてるのかもね…。」
まどかちゃん「きっとそうだよ…。わたしずっとさやかちゃんと一緒に居たいなぁ。同じ家に住んで、同じ世界で暮らしたい。」
さやかちゃん「あたしもまどかと一緒がいい…。そうだまどか!結婚しようよ!」
まどかちゃん「ふえっ!?け、結婚!?///」
4 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2013/11/22(金) 16:57:25.58 ID:r1zNDRHs0 [2/7]
さやかちゃん「結婚すればいつでも一緒に遊べるよ。空の上だって海の中だって、同じ家に住めば待ち合わせも必要ないじゃん。」
まどかちゃん「そ、そうだよね。でも結婚ってどうすればいいのかなぁ?」
さやかちゃん「うーん…こういう時は猫耳族の牧師さんに訊いてみよう!」
二人は教会に住む猫耳族の杏子に相談しました。
あんこちゃん「アンタら結婚がしたいのか? そうだな…一番証になりそうなのは…お互いの持ってる宝物を指輪として交換するってのはどうだい?」
さやかちゃん「宝物?」
あんこちゃん「例えば人魚だったら真珠とか、天使だったら輝く宝石だとか…そういうのかな。」
まどかちゃん「ピンクのダイヤモンドなんてどうかな? さやかちゃんになら指輪にしてあげてもいいよ。」
さやかちゃん「そんなの貰っていいの!? そんじゃあたしは…水色の真珠でいいかな。まどかのには見劣りしそうだけど…。」
あんこちゃん「そこは気持ち次第だろ。二人共、その指輪を相手の左手の薬指に嵌めてみなよ。」
まどかちゃん「えっと…薬指ってどれかな…?///」
さやかちゃん「………///」
さやかは恥ずかそうに右手で自分の左薬指を指差し、まどかは嬉しそうにそこに自分の宝物を捧げました。
あんこちゃん「ほら、今度はアンタの番だ。」
さやかちゃん「あ、あたしもやらなきゃ駄目…?」
まどかちゃん「さやかちゃん早く~♪」
今度はさやかがまどかの左薬指に真珠を収めました。
これでお互いの左薬指に結婚指輪の証である、お互いの色が交換されたのです。
あんこちゃん「指輪交換が終わったら誓いのキスだ。二人は種族の隔たりにも屈せず、互いを愛する事を誓いますか?」
まどかちゃん「はい!誓います!」
さやかちゃん「あたしも誓います! で、でも改めてキスなんて恥ずかしいよ…///」
まどかちゃん「さやかちゃん時々わたしにしてくれるじゃない! やっぱりわたしじゃ嫌なの?の?の?」
さやかちゃん「そんな事言われても~! だってここ教会だし結婚なんて初めてだし…」
まどかちゃん「~~~っ! えいっ♪」チュッ
さやかちゃん「むぐっ!///」
あんこちゃん「あっはははは! ムードも何もあったもんじゃないな。けどまぁ、これでアンタ等は結婚成立して夫婦になった訳だ。」
まどかちゃん「ありがとう杏子ちゃん!」
さやかちゃん「ありがとね杏子。まどかと夫婦…夫婦…ふへへへへ…///」
教会を後にして二人が向かったのは雲の上に出来たばかりの家。
今日からここがまどかとさやかが住む事になります。
まどかちゃん「ねぇさやかちゃん、ホントにお空の上で良かったの? わたしは海の近くでも平気なんだけど。」
さやかちゃん「いいのいいの、あたしが好きでこっちに来たんだから。水ならお風呂だってあるし全然大丈夫だよ。」
まどかちゃん「これからは毎日海にも遊びに行こうね。わたし達"夫婦"なんだから♪」チュッ
さやかちゃん「へへっ♪ありがとまどか。あたしが毎日海の国の料理をご馳走しちゃいますからね!」
まどかちゃん「他の天使の子達もきっとさやかちゃんのお料理喜んでくれるよね。」
さやかちゃん「何があってもまどかと一緒なら怖くないよ。人魚なあたしだけどよろしくね!」ギュッ
まどかちゃん「うん!わたしこそよろしくねさやかちゃん♪」
[天使と人魚の恋物語]
おしまい。>>1乙ですーv
最終更新:2013年11月26日 07:59