296 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2013/10/04(金) 01:20:40.92 ID:nzgZgZZ00 [1/4]
遅刻ですが[まど誕]のお話です。
あらすじが去年と似た感じになっちゃいましたが…。
225>>278
まどっち幸せそうで何よりです♪鼻眼鏡似合ってますv
[まど誕]
ある日の放課後…
(キーンコーンカーンコーン)
「さやかちゃん!一緒に帰ろ!」
「ごめん!今日用事があるんだ、ごめんね!」
小学校の頃からいつも一緒に下校するのが当たり前になっていたもので、まどかは思わず拍子抜けだった。
大親友のさやかにだってたまにはそういう日もあるだろう。
それならしょうがないよね、とまどかは快く送り出すのだった。
しかし…。
まどかの目に留まったのは、クラスメイトの仁美と二人で住宅街とは別の方角へ向かうさやかの姿。
お店が立ち並ぶ商店街の方面だ。
「(あれっ…? さやかちゃん、仁美ちゃんと一緒に何処行くんだろ…?)」
こっそり後をつけてみたものの、二人が入って行ったのは中学生には不釣合いな高級百貨店。
流石にこんな場違いな店に子供が一人で入るのは躊躇ってしまい、結局追うのは諦めた。
さやかだってお嬢様の仁美と一緒でなければ絶対一人では入らないだろう。
………………………………………………♭♭♭………………………………………………
次の日…
「ごめん!今日もちょっと都合悪くてさ…。」
「そうなんだ…。」
今日も両手を合わせて拝み倒すさやか。
はたから見れば学校でトイレ以外一緒なのだから寂しくなどなかろうに。
それでもまどかにとってはせっかく開放される放課後、やっぱりさやかと一緒に帰りたかった。
そして今日も未練がましくさやかの後を追ってみる。
ちなみに今日のさやかのお連れさんは仁美ではなく、これまたクラスメイトのほむらだった。
「(今日はほむらちゃんと一緒なんだね…。玩具屋さん…?)」
昨日と方角は同じだが相手が違う為か行き先も若干違う。
さやかがほむらを連れて入店したのは玩具屋、しかもプラモデルやミニ四駆が専門の模型店だ。
二人はガンプラコーナーを通り過ぎて奥の方へ進んで行った。
「赤は濃過ぎじゃない? しかもメタリックレッドってさ…。」
「コントラストって大事なのよ。それからメタルブラックも使いましょう。」
「うーん…イメージカラーと凄く違ってく気がする…。」
「大丈夫よ、経験者の私が言うのだから信じなさい。」
「(二人共何お話してるのかな? ここからじゃよく聞こえないよぉ…。)」
二人は何やら塗装の事を話しているらしい。
話の進行具合からするに、さやかはほむらの奨めで塗料を選んでいるのだと思われる。
「(そういえばさやかちゃんの部屋にはガンダムのプラモデルがちょっとだけあった気がするけど…。)
あれっ…!?」
余計な事を考えている間にさやかとほむらはさっさと別の場所へ行ってしまった。
まどかが店内を彷徨っている中、二人はレジを済ませて店を後にしていた。
そんなこんなで、今日はさやかの足取りを掴めたものの、結局見失う結果となった。
………………………………………………♭♭♭………………………………………………
更に次の日…
「ごめんまどか! 今日も駄目なんだ!」
「………。」
流石に今日はまどかも不満たらたらな半眼でさやかを見つめていた。
これは結構さやかに効いたみたいだが、それでもさやかはペコペコ頭を下げてから颯爽と去って行く。
「(今日こそさやかちゃんの行き先を突き止めなきゃ…!)」
今日のさやかは商店街方面には向かわず駅へと向かっていった。
電車に乗られると尾行がかなり困難になってしまう。
しかしさやかが向かったのは改札口ではなく駐輪場だった。
(チリンチリン)
「あっ! さやかおねーちゃんきたよ!」
「お~い! こっちだこっち~!」
「おまたせー!」
さやかは予め停めていた自分の自転車を出して仲間の元へと向かう。
その先に待っていたのは…
「(杏子ちゃんとゆまちゃん!?)」
自転車に跨って手を振る佐倉杏子と、その後ろに乗っている千歳ゆまだった。
二人は隣町から自転車でさやかを迎えに来ていたのだ。
当然自転車に追い付ける筈などなく、結局今日もさやかを見失ってしまった…。
「…はぅ…。」ショボン
まどかが肩をがっくりと落として岐路へ着くと、その途中で先輩の巴マミに遭遇した。
優しいマミはまどかの様子を見て迷わず声を掛けてくれるのだった。
―マミホーム―
「聞いてくださいよマミさん! さやかちゃんってば最近わたしを放っておいて他の子と楽しそうに遊んでるんですよ!」
「美樹さんだって忙しい時期なのかもしれないわよ。」
「そうなのかなぁ…。」
「別に鹿目さんが嫌いになった訳ではないでしょ。話してくれるまでは信じてあげたら?」
まどかの相談には乗ってくれたものの、思いの他上手く受け流されてしまった。
マミは危機感を感じたりせず待ってあげなさい、とまどかを宥めるのだった。
………………………………………………♭♭♭………………………………………………
更に更に次の日…
「ごめん! 今日もちょっと都合が…。」
「さやかちゃん。最近放課後何処に遊びに行ってるの?」
「い、いや、遊びにって訳じゃないんだけどさ…。明日から一緒に帰れるから! それじゃ!」
本当はもっと追求したかったが、"明日から"と言われてまどかは思い留まった。
それに昨日マミに宥められた件もある。
「仁美ちゃん、ほむらちゃん、一緒に帰ろ。」
「ご、ごめんなさい! 今日は自宅でお客様を出迎えなければなりませんので…。」
「今朝家で塗料を零してしまったから掃除しないと駄目なのよ。またねまどか。」
仁美とほむらも慌てて言い訳をしながら去っていった。
ひょっとしてみんなに避けられているのだろうか…?
仕方なくまどかは一人で自宅へ向かう事にした。
約束通りならば、明日になればさやかとは一緒に帰れるのだろうから、それまでは我慢しよう。
自宅の玄関を潜るまどかのツインテールはいつになくショボンと垂れ下がって見える。
―鹿目家、まどか自室―
「さやかちゃーん、ただいまー。おかえりまどかー。ご飯できてるよー。」
"にこにこまどか"のぬいぐるみと"ふわふわさやか(自作)"ぬいぐるみを双方の手にもって一人芝居でもしてみる。
我ながら子供染みた事やってるなと自嘲しつつもだんだん虚しくなって来る。
ベッドに「ボン!」と勢い良く突っ伏してこのまま眠ってしまおうかと思っていた。
そんな時…。
prrrr…prrrr…
陽が沈んだ直後に突然鳴り出した携帯。
発信者の名前を見たまどかは慌てて飛び起きた。
「わわわ!さやかちゃんだ! も、もしもし!」
『もしもし~! まどか今家に居る?』
「うん!居るよー!」
『じゃあ急いで出て来て! 玄関に迎えに行くから!』
「ふええっ!???」
(ブツッ)(ツー、ツー、ツー…)
「(切れちゃった…。)」
"迎えに行くから"というには外に出るのだろう。
夜は涼しくなって来たし、とりあえずジャケットだけ羽織って玄関に向かうとすぐにインターホンが連続して鳴り始めた。
「やっほーまどかー!」
「やっほーじゃないよぉ! いきなりどうしたの?」
「いいからいいから! 知久さん、今晩まどか借りて行きますね!」
するとまどかの返事も待たずにさやかはまどかを両腕で抱きかかえたのだ。
片腕は背中に回し、もう片腕で足元から抱え込む。
「急いでるからこれで我慢してね! おーしさやかちゃんダッーシュ!」
「わわわわわぁ~!?」
思いっきりお姫様抱っこである。
勿論嬉しいが、それ以上に最近の疎遠振りからこの待遇、まったく状況が飲み込めない。
「ちょ、ちょっとさやかちゃん!? 何処行くの~!」
「このカッコ恥ずかしいんだから静かにしててよ!///」
さやかも息を乱しながら決してまどかを降ろそうとはしない。
しかしこの目的地はまどかも幾度か来た見覚えのある通りだった。
「ここって…仁美ちゃんのお家…?」
「ふぅ、お姫様のご到着~。みんなー、着いたよー!」
―志筑亭―
(ガチャ)
さやかはまどかを降ろさず玄関のドア越しに呼ぶと向こうから誰かが空けたそうだ。
中は電気も点いておらず、しかしさやかは躊躇わず足を進める。
(パン!パンパン!パパン!)
「「「「「お誕生日おめでとー!」」」」」
「ふえええっ~!??」
5発のクラッカーが鳴り響いたかと思うといきなり照明が点けられて部屋の様相が露になる。
そこは立派なケーキと幾つかのプレゼント箱が並び、パーティー会場そのものと化していた。
「ど、どどどどどういう事なのぉ~!?」
「今日はまどかの誕生日っしょ? いやー、バレずに用意するの苦労したんだから。」
そう言ってさやかは漸くまどかを床に降ろした。
クラッカーを引いたのは主の仁美にマミ、杏子、ほむら、ゆまと仲間内が勢揃いである。
「何ィ~!家ん中まで抱っこのままで来るとは~! さやかの奴絶対度胸無いと思ってたのにー!」
「私の勝ちね杏子。今度晩御飯奢って貰うわよ。」
「うぐっ…。」
どうやらこの二人はさやかがお姫様抱っこのまま来場出来るかどうかを賭けていたらしい。
クラッカーの紙まみれになったまどかとさやかも仲間達の中へ加わる。
「さやかさんのご提案で、今日はまどかさんのお誕生日会を催す事になりましたの。心から歓迎いたしますわ。」
「最近美樹さんが忙しそうにしていたでしょう? 今日だって私の家でケーキを仕上げてたのよ。」
「さやかおねーちゃん、はやくプレゼントあげようよ。」
「おっとそうだった。じゃぁ最初に…。」
さやかが早速一番大きなプレゼント箱をまどかに手渡す。
ガサゴソとまどかが包みを開けると…。
「何だろ…これお洋服だぁ! コートとジャケット、スカート、ブラウス、ブーツまであるよ~!」
「まどかへのおめかし5点セットでーす! 杏子とゆまちゃんと一緒に隣町のデパートで選んだんだよ。」
「言っとくけどこれは"さやかが"自分で買ったんだからな?」ニヤソ
「い、いいじゃん別にー!///」
「さやかおねーちゃんはね、まどかおねーちゃんの"さいず"までぜんぶしってるんだよー。」
「うわあああ!それ今言わないでよ~///」
「えへへへ♪ さやかちゃんありがとv」
あくまでさやかからの贈り物だそうだ。
杏子に脇腹を小突かれたさやかは真っ赤だった。だがプレゼントタイムはこれだけではない。
「それから…じゃ~ん! MGまどか専用ストフリ~!」
「わぁー!色がピンク系になってる! これもしかして自分で塗ったの…?」
さやかが次にまどかに手渡したのはかなり立派なガンプラ、ストライクフリーダムガンダム。
"まどか専用"と謳うだけあって色がピンク主体のカラーリングに塗装されている。
「これほむらに頼んでまどか専用のカラーに塗装したんだよ。」
「メインはピンクだけど元々黒の部分はブラックメタル、それからメタルレッドも使って色にメリハリを出したの。
私が指導しただけあってさやかにしては上手い仕上がりね。」ファサァ
「(そっか、これの為に玩具屋さんで塗料のお話してたんだ…。)
さやかちゃんが作ってくれたんだ。大事にするね♪」
それからさやかが取り出した最後のプレゼントは小さなプレゼント箱。
これはもう何となく想像が付くだろう。
「わぁ~! ピンクの宝石の指輪だよ~! これって…もしかして本物…?」
「これは流石に仁美に出して貰ったんだけどねー。」タハハ
「さやかさんとお話して誕生石を探す事になりましたのよ。ちなみにこれはピンクのオパールですね。」
「お、おぱ…???」
「まどかってば~、おっぱいじゃないぞー♪」
「わーん!さやかちゃんのえっちー! ありがとぉ~♪」ギュー
抗議しながらも嬉しそうに満面の笑みを浮かべたまどかは送り主のさやかと抱き合っていた。
「ほら次はケーキだケーキ! アタシもう腹減ったよー!」
「キョーコ先に食べちゃ駄目だよー!」
「ちなみにケーキはマミさんと一緒に作りましたー!」
「そんな事言ってだいたい美樹さんが自分でやってたじゃない。私は志筑さんの家まで運んだくらいね。」
「さやかちゃんそんなに上手なんですか?」
「前々から時々練習してたのよ。実はとっても女の子らしいのね♪」
「ちょっ!やめてくださいよ!///」
さやかは仁美と指輪の相談をし、ほむらとガンプラの塗装についての相談。
それから杏子達と隣町で買い物をし、マミとケーキ作り。
さやかの忙しい日程はまどかの誕生日会を迎えて無事終えたのだった。
「みんなありがとう! わたし…わたし…。」ポロ
「わー!まどか泣くなぁー! ほらほらもう…。」ヨシヨシ
「やっぱさやかは王子様だな。」
「王子様ね。」
「おうじさまー!」
「うふふふ♪」
「キマシタワー!」
それでは改めて…
「「「「「「ハッピーバースデーまどかー!」」」」」」
それからケーキを7人で分けて…約1名フライングも居てマミさんの鉄槌が飛んだが気にしてはいけない。
15本の蝋燭を一気に吹き消すのは結構辛かったらしく、まどかはしばらくさやかの膝の上でへばっていた。
「ほらゆまちゃん。残った生クリームをほっぺたに付けて猫さんよ♪」
「うわーいねこさんだー♪ うー!にゃー!」
「こらぁマミ~、食べ物で遊ぶんじゃ………うっ、食い過ぎた…。」ゲプ
「そりゃ残りの料理全部食べればそうでしょ。」クス
「こちらのお皿はもう片付けますわね。」
生クリームでゆまのほっぺにヒゲを三本ずつ書いて猫に見立てて遊ぶマミ。
怒ろうとした杏子は食べ過ぎて動けず、それを見たほむらは苦笑していた。
何気に仁美は一人真面目に片付け係を。流石はお嬢様…。
「ねえさやかちゃん。プレゼントたくさんくれたのは嬉しいけど…お小遣い大丈夫なの?」
「ガンプラと服は自費だから空っぽかな。まぁだいぶ貯めてたから何とかなったけど。
ホントは最初みんなでプレゼントあげようって話したんだけどさ、"あたしがあげる方がまどかが喜ぶ"って話になった訳ですよ。」
「さやかちゃん…。それにみんなも嬉しいよ。わたし、何お返しすればいいかな…?」
「これからもお二人の笑顔をみなさんに振舞ってくだされば、それで十分ではないでしょうか?」
「仁美ちゃん…。」
「それよりまどか、ここんとこ付き合ってあげられなくてごめんね。明日からはまた一緒に帰ろ。」
「うん! さやかちゃん大好き!」
パーティーが終わった後は志筑家の車でそれぞれ自宅まで送って貰い…但しさやかの行き先だけは自宅でなく鹿目家。
指輪付きの嫁に懇願されて断れなかったそうな。
[まど誕]
おしまい。
最終更新:2013年12月04日 14:12