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820 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2013/11/02(土) 22:20:38.60 ID:qNsnQovr0 [2/2]
「私、今のさやかちゃんが大好きだよ。今、こうしてさやかちゃんと一緒に居られるだけで、すっごく幸せだなって思うの。それは絶対に嘘じゃない」

そう言って、まどかは目を伏せた。あたしの好きなあの柔らかい声が、震える。

「……だけどね、どうしてかな、“さやかちゃん”が泣いている気がするの。私の知らないさやかちゃんを、私が知っていたはずのさやかちゃんを、思い出さなくちゃいけないのに……全然っ、思い出せないの……っ!」

髪と同じ薄桃色の睫毛に、光の粒が飾られたかと思えば、それは見る間に頬を滑り落ちてぱたぱたと床に染みを作る。
心臓が貫かれるような衝撃だった。
まどかが泣いている。いつもかみさまみたいに笑うまどかが、時々困ったように眉をしかめたり、あたしや杏子の冗談に拗ねて頬を膨らませたりしながらも、最後には「仕方ないなあ」と笑うまどかが。
この子が泣くのを、あたしは初めて見た。いつもあたしが無茶をして、そのたびにこの子は泣いていた。もっと自分のことを大事にしてって言われちゃったなあ。そういえば初めて会ったときも転んで泣いてい、



……た?

「……ねえさやかちゃん、さやかちゃんは私と初めて会ったとき、まるでずっと前から私のこと知ってるみたいだったよね? 私たち、きっとどこかで、」
「そうだ、あたしたちは」
「もっとずっと前に、私たち出会ってるんだよ」

そう言ったまどかの瞳は、金色だった。

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最終更新:2013年12月05日 18:55
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