134 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/09/10(土) 00:28:40.17 ID:+gmvVz8V0
「――不人気、か」
少なくとも、私――鹿目まどかは、注目を集めるということには長けていなかったように思う。
さやかちゃんはそうではなかった――むしろ長けていたけど、
何せ側にいたのが高嶺の花の仁美ちゃんなら、どうしてもそれは劣ってしまう。
異性的な感情に関しても、だ。……さやかちゃんには上条君がいたけど。
それで良かった。さやかちゃんは、私の――私だけのヒーローで良かったのだ。
私と仁美ちゃんが魔女に捕らわれた時、瞬く間に魔女を屠ったように。
でも、その後ずたぼろになっていくさやかちゃんを見ていて、私は何も出来なかった。
最期にさやかちゃんを救ってみせたのは、杏子ちゃんだった。
会ってまだ数日もなかったというのに、あの人は――私が散々憧れた、さやかちゃんのヒーローになってしまった。
「ごめんね」
でも、さやかちゃんを救うのは、私の手でなければ我慢できなかった。
だから、魔女を滅ぼして世界を改変した後に――さやかちゃんを“私の世界”に引きずり込んだ。
ほむらちゃんは私のことを覚えていていられるけど、さやかちゃんにはその保証がなかったから。
さやかちゃんに私のことを忘れられるのは、間違いなく耐えられなかったから。
そうだ、私は――さやかちゃんのヒーローになりたかったのだ。
さやかちゃんの頭は今、私の膝の上にある。意識は夢の世界の中だ。
魔法少女の真実を知ってからは出来なかったであろう、安らかな寝顔。
頬を撫でた。私はこの人を確かに救えたのだと、一番実感できる時だった。
同時に、心の奥には僅かな嗜虐心もあった。
この身体を滅茶苦茶にしてしまえば、どんな顔をするのだろうか。
……ねぇ、さやかちゃん?
「――あぁ、おはよ、まどか。って何、恐い顔して」
「なんでもないよ、さやかちゃん」
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不人気ネタから色々考えてたら黒まどかさんになった
最終更新:2011年09月20日 07:22