10-83

64 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/09/30(金) 12:43:38.88 ID:p9sVZTgh0
一応一話でやったようなのが普段のまどかだからなぁ
普通に明るい子に見えたけども
ただ魔法少女になってからさやかとの付き合いも減っていっただろうし、何か異変には気付いていたりしたかもね
ワルプル後、そんなまどかの異変にもっと早く気付けなかった事を激しく後悔したりしてそうだ
まどかのキャラソンとか聴いてても、まどか自身バレないようにしていたみたいだしね

83 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/09/30(金) 19:17:30.14 ID:2NrivS640
仁美ちゃんの話で盛り上がっているところ恐縮ですが、SS置いていきます
.>>64のさやかのくだりを読んで、まどか視点のそれに沿った感じのSSのストックがあったのを思い出したので

  • まどかがさやかちゃんに片思いをしています
  • 二週目のお話です
  • とある方のまどさやツイートに触発されています。ツイートの内容を
 そのまま文章化しているところもありますが、どうかご容赦いただけると幸いです


 まどかのラブレター



 さやかちゃんへ

 この手紙がさやかちゃんの目に触れることは決してないだろうけれど、私の気持ちをどうにか形にしておきたくて、こうして手紙にして書き残しておくことにしました。

 さやかちゃん。
 私は、さやかちゃんのことが好きです。
 友達としてではなく、自分自身よりも世界中の誰よりも大切な人として、大好きです。

 さやかちゃんは、こんな私の気持ちには気づいてはいないだろうと思います。そして、ずっと気づかないままでいてほしいと、そう願っています。
 さやかちゃんは、いつだって私のヒーローでした。私が泣いているとき、困っているとき、さやかちゃんは必ず私を助けに来てくれました。
 初めてさやかちゃんに助けてもらったのは、小学校五年生の時でしたね。転校したてでまだ友達もおらず、自分の居場所がどこにもないような気持ちを抱えていた私は、登校中に転んだはずみで水溜まりにお弁当やノートを落としてしまいました。泣きそうな気持ちを一人で必死に我慢していた私を見て、さやかちゃんはそっとハンカチを差し出して私のお弁当箱やノートを拭ってくれ、思わず泣き出した私を優しく慰めてくれました。そして、そのときからさやかちゃんは私の友達になってくれたのです。
 それからの私は、それまでの私とは別の人生を歩み始めたかのようでした。心に常にまとわりついていた寂しさが嘘のようになくなり、世界が明るくなりました。さやかちゃんはいつでも私に話しかけてくれました。さやかちゃんを通じて仲良くなった友達もたくさんできました。わたしがいじめられていたりからかわれていたりすると、さやかちゃんはすぐに飛んできて守ってくれました。さやかちゃんについていけば、いつも何か楽しいことがありました。さやかちゃんといれば、どんなことも怖くありませんでした。さやかちゃんとケンカになってしまった時は、もう二度と仲よくしてもらえないんだと絶望的な気持ちになりました。さやかちゃんが「さっきはごめんね。仲直りしよう?」って言ってくれた時は思わず泣きたいほど嬉しくなりました。

 いつからさやかちゃんのことを好きになったのか、私にもわかりません。気がつけば、私の心はどこもかしこも全てさやかちゃんでいっぱいになっていました。
 さやかちゃんのいる場所は、いつも輝いて見えます。どんなに遠く離れていても、さやかちゃんのいる場所は私にはすぐにわかります。
 さやかちゃんは、いつでも私を守ってくれました。小学校の遠足では、疲れて歩けなくなった私をおぶってくれました。急な雨が降った日、一つの傘に二人で帰ったときは必ず私の方に傘を差しかけてくれました。よくつまづいて転びそうになる私を間髪を入れず支えてくれたこともしょっちゅうです。係の仕事で私が学校に居残りになると、さやかちゃんは必ずそれが終わるまで帰らずに待っていてくれました。私がお弁当箱をひっくり返してしまった時は、自分のお弁当のほとんどを私に分けてくれたこともありました。
 さやかちゃんが私の前に立って私をかばってくれると、それまでどれほどみじめで怖い思いをしていても、そんな気持ちは嘘のように吹き飛んでいきました。私をいじめたクラスの男子をやっつけるさやかちゃんは、まさに私のナイトのようでした。
 さやかちゃんとは、小学校のときから一緒にお風呂に入ったり一緒のお布団で眠ったりしましたね。そのたびに私は、私の心臓の鼓動がさやかちゃんに聞こえてしまうのではないかと心配でたまりませんでした。さやかちゃんの無垢な寝顔は、夜が明けるまで飽かず眺めていられました。
 何気ない風を装ってさやかちゃんのほっぺについたご飯粒に手を伸ばしたとき、さやかちゃんは私の仕草が色気づいたと言って、私の恋の相手を教えろと迫ったことがありましたね。あのときほど、自分の気持ちが表に出ないように押さえつけるのが大変だったことはありません。どうにか笑ってごまかすのが精一杯だった私を、さやかちゃんはどう思ったでしょうね。
 少し顔を赤らめながら嬉しそうに上条君のことを話すさやかちゃんの表情を見るのは、私の心をとてもどきどきさせてくれると同時に、私の心の一番奥がきゅうっと締め付けられるような心地がしました。
 さやかちゃんは、「まどかはあたしの嫁になるのだ!」というのが口癖でしたね。この言葉を初めて聞いたとき、私は心臓が止まるかと思いました。私の気持ちをさやかちゃんに知られてしまったのかと思うと同時に、もし奇跡が起こってさやかちゃんと恋人になれたら、どれだけ幸せだろうと思ってしまったのです。同じ家で暮らして、さやかちゃんのご飯を作って、パパとママがするようなキスをして……。考えるだけでも幸せで、切なくて、残酷な甘い夢でした。

 さやかちゃん、こんな私を気持ち悪いと思いますか? 今まで親友だと思っていた私がこんな気持ちでいたと知ったら、私を軽蔑しますか?
 私もさやかちゃんも女の子同士だけれど、私はこの気持ちが変なことだとは思ってはいません。やましくもないし、私かさやかちゃんが男の子だったらとも思いません。ただ純粋に、一筋に、私はさやかちゃんが好きです。それ以外の気持ちはありません。
 それでも、私はこの気持ちをさやかちゃんに知ってもらいたいとは思いません。なぜなら、さやかちゃんには上条君がいるから。私がさやかちゃんのことを好きなのと同じくらい、いいえ、それ以上にさやかちゃんは上条君のことが好きだから。
 もしさやかちゃんが私の気持ちを知ってしまったら、さやかちゃんは戸惑うでしょう。そして、さやかちゃんは私の気持ちに応えようとしてくれるかもしれません。好きな人に振り向いてもらえない苦しさを誰よりもよく知っているから。さやかちゃんはこんな私を大切に思ってくれていて、その私に自分と同じ悲しみを味わわせたくないと思ってしまうから。
 だけど、それだけは絶対にダメです。さやかちゃんが私の気持ちに応えるということは、さやかちゃんに上条君を諦めさせるということです。さやかちゃんは諦められると言ってくれるでしょうが、それはさやかちゃんに自分で自分の心をねじ曲げさせてしまうことです。
 さやかちゃんに自分の心を裏切らせてまで、私は自分の思いを遂げようとは思いません。それは誰もが不幸になる道だと思います。さやかちゃんを不幸せにすることしかできないならば、私には自分の気持ちを打ち明けることなどできません。
 だから、どうかさやかちゃんはそのままでいてください。私の気持ちなど、知らないままでいてください。

 さやかちゃんは、ここ一か月間の私が、さやかちゃんの知らないところで魔女と呼ばれる存在と戦い続けていたことを知っていたでしょうか。たぶん、知ってはいなかったけれど、薄々私がなにか普通ではないことをしていることには気づいていたでしょうね。それでも、私を問い詰めたりせずに変わらず接してくれたことには本当に感謝しています。
 私は魔法少女というのになりました。願い事を一つ叶えてもらう代わりに、人を襲う悪い魔女と戦うのです。一つ学年が上の巴マミさんと、私たちのクラスに転校してきた暁美ほむらちゃんも同じ魔法少女で、一緒に戦ってくれます。魔女との戦いはとても危険で、ケガをすることもよくあります。怖くないと言えば、嘘になります。
 それでも、魔女と戦うことでこんな私が誰かの役に立って、パパやママやタツヤ、友達のみんな、そして誰よりもさやかちゃんを守れるんだと思うと、体の奥から勇気が湧いてくるのです。挫けそうになることも、逃げ出してしまいそうになることも何度もありました。けれど、その度に私がさやかちゃんを守るんだ、今度は私がさやかちゃんのために戦うんだと自分を奮い立たせました。
 今、見滝原市にやってきている台風も、実は魔女なのです。普通の魔女は結界の奥に隠れていて人目につくことはありませんが、この魔女はとても強く、魔法少女以外の人からは台風や大地震のように感じられるのだそうです。
 私たちは、この魔女と戦います。ほむらちゃんは一度この魔女を見たことがあるらしく、私とマミさんぐらいの強さの魔法少女が二人がかりで戦っても、良くて相討ちに持ち込むのが精一杯だと思う、それほど強い魔女なのだと言っていました。
 この魔女には、私たちが三人がかりで戦っても勝てないかもしれません。勝てても、私たちのうちの誰かは死んでしまうかもしれません。
 怖いです。恐ろしいです。これを書いている今でも、体の震えが止まりません。戦うことが、死ぬことが何よりも恐ろしくて、何もかも放り出して逃げ出したい衝動を体中でおさえつけていなければなりません。もし私が死んでさやかちゃんと二度と会えなくなったらと思うと、例えようもなく恐ろしくなります。私が死んだことを知ったさやかちゃんがどれだけ悲しむかと思うと、言葉にできないほど怖くなります。
 それでも、それでも私は戦って魔女を倒します。私が逃げてしまったら、負けてしまったらさやかちゃんが死んでしまうから。それは今まで考えたどんな恐ろしいことよりも何倍も何十倍も恐ろしいのです。
 さやかちゃん、許してください。さやかちゃんのために戦うことを。マミさんもほむらちゃんも一緒に戦ってくれるのに、まだ勇気が足りないのです。さやかちゃんのためだと、さやかちゃんを守るんだと自分に言い聞かせなければ、さやかちゃんを利用しなければ戦うこともできない私を、どうか許してください。

 もう一つだけ、さやかちゃんに謝らなければならないことがあります。
 このことだけはこの手紙に書くつもりはありませんでした。けれど、今だけは何も隠さなくていいんだ、本当のことを書いてもいいんだと思うと気持ちが抑えられません。こんな私の弱さをどうか許してください。
 上条恭介君の体を治したのは、私です。そういう願い事で私は魔法少女になりました。
 さやかちゃん。どうかお願いです。たとえ私が魔法少女になったことや、私のさやかちゃんへの気持ちを知ったとしても、このことだけは絶対に、絶対に知らないでください。どうかどうかずっと知らないままでいてください。このことを知ったさやかちゃんがどれだけ怒り、悲しみ、苦しみ、自分を責めるか、私には想像もつきません。そして、そんなさやかちゃんを見ることはどんな強い魔女と戦うことよりも恐ろしく、私は絶対に耐えられないと思います。
 私が自分を犠牲にして上条君の体を治すことなど、さやかちゃんは絶対に望まないことはわかりきっていました。私の危険と引き換えに上条君の体が治ったことを一瞬でも喜んでしまったら、さやかちゃんは一生自分を呪い続けるでしょう。私にそんなことをさせるくらいなら自分が身代わりになると、さやかちゃんは言ってくれるでしょう。
 それでも、万が一私がしたことを知られたら今以上にさやかちゃんが辛いことになると知りながらも、私はさやかちゃんの苦しみを取り除いてあげたかったのです。感謝されたかったわけではありません。私はさやかちゃんのために自分ができることをしたかったのです。
 上条君が事故に遭って以来のさやかちゃんは、見ている方がつらいほどでした。いつも明るく笑っていたさやかちゃんが、全く笑えなくなるほど苦しんでいました。それなのに、私は今までいっぱいさやかちゃんに助けてもらったのに、さやかちゃんが大変な時には何もできませんでした。せめて八つ当たりの相手にでもなれれば良かったのに、それすらも私にはできませんでした。
 そうして私がおろおろしているうちに、さやかちゃんは自分の力で立ち直り、上条君の看病を始めました。本当に献身的で、さやかちゃんがどれだけ上条君のことを好きなのか痛いほど伝わってくるようでした。それなのに、神様は残酷ですね。上条君の腕は一生治らないと聞かされて、私は魔法少女になる決心をしました。
 本当なら、リハビリをする上条君を見守り、心の支えになって治療の手助けをするのはさやかちゃんの役目です。だから私は上条君の体が即座に治るのではなく、これから時間をかけて次第に良くなっていき、一年ほどで元通りの体に戻ることを願いました。私のしたことだと気づかれないために、看病を続けたさやかちゃんの思いが上条君の体を治したんだと誰もが思うように、願い事を決めたのです。
 私は、卑怯者です。さやかちゃんが好きなことも、さやかちゃんのために願い事をしたことも、私のしたことがばれないようにさやかちゃんの気持ちまで利用したことも、これから恐ろしい魔女と戦うことも、何もかも隠して嘘ばかりついてきました。私が危険な目に遭うことをさやかちゃんは決して望まないのに、そんなことわかりきっているのに、さやかちゃんに内緒で戦い続けてきました。そして今、再び恐ろしい戦いに出ようとしています。
 さやかちゃん。もし私が死んだら、私のことなんて忘れてください。さやかちゃんに迷惑ばかりかけた私が、さやかちゃんを悲しませることばかりした私が死んだことなど、忘れてください。上条君を支えて、上条君と幸せになってください。勝手なお願いばかりで本当にごめんなさい。だけど、お願いします。どうか誰よりも幸せになってください。

 この手紙は、去年の私のお誕生日にさやかちゃんがくれて、私がいつも抱きしめて眠っていたピンク色のぬいぐるみの中に隠しておくつもりです。私が死んだら、もしかしたらさやかちゃんが形見分けでこのぬいぐるみをもらってくれるかな? そうなった場合でも、決してこの手紙には気づかないでほしいと、勝手だけれど願っています。


 さやかちゃん、今まで本当にありがとう。
 優しくしてくれてありがとう。何度も何度も私を助けてくれてありがとう。私と友達でいてくれてありがとう。
 それなのに、ごめんね。勝手なことばかりして、ごめんなさい。本当に何度謝っても謝りきれないと思います。
 それでも、一つだけ約束させてください。
 どんな結末になろうとも、さやかちゃんは絶対に私が守ります。
 さようなら。



 大好きだよ、さやかちゃん。

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最終更新:2011年10月02日 22:26
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