311 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/09/11(日) 22:35:27.37 ID:KzahAF2QO [1/3]
さぁ、SSの投下はまだまだ続きますよ!
次は自分が投下します!。
―わたしはいつもさやかちゃんに守られていました。
いじめっ子にわたしがいじめられてる時、怖いものがあった時、危ない所に行った時…さやかちゃんはいつもわたしを背中にかばってくれました。
今思い返せばさやかちゃんが震えてる事も多くて、泣きたいくらい怖い時があったはずで。
でもさやかちゃんはそんなことをわたしに感じさせないように笑ってくれていました。
「大丈夫だよまどか、あたしがついてるからね」って、いつもそう言って手を差し出してくれて…
さやかちゃんはわたしにとって王子様でヒーローで…わたしはそんなさやかちゃんが大好きで、大好きで。
でもいつからか…わたしはそんな自分がとても嫌になっていました。
わたしはいつもさやかちゃんに助けてもらって、でもわたしはさやかちゃんに何も返せなくて…
さやかちゃんはきっと言うでしょう、「あたしがしたいんだから気にしないで」と。
でもわたしもさやかちゃんを助けたい…人に言ったら笑われるに決まってるそんな夢をわたしは心のどこかで抱えていて。
「全ての魔女を、生まれる前に消し去りたい。全ての宇宙、過去と未来の全ての魔女を、この手で」
「神様でも何でもいい」
「今日まで魔女と戦ってきたみんなを、希望を信じた魔法少女を、私は泣かせたくない。最後まで笑顔でいてほしい」
「それを邪魔するルールなんて、壊してみせる、変えてみせる」
「これが私の祈り、私の願い」
だから…わたしは心のどこかで喜んでいたのかもしれません。
あぁ…これでわたしは、さやかちゃんに手を差し伸べる側になれるんだって。
もう守られてるだけのわたしじゃないんだって…
「じゃ、いこっか」
「うん」
その願いは叶いました、わたしはとうとうさやかちゃんの手を取ることが出来るようになったのです。
これからはさやかちゃんをわたしが幸せにする、わたしの作り上げたこの世界でわたしがさやかちゃんを助けていく…そんな日々をわたしは夢見ていて。
それからわたしは以前にも増して魔法少女達を救済し続けました。
神様として、誰にも甘えず頼らず…さやかちゃんがしていたみたいに心配するさやかちゃんにはいつも笑顔を向けて。
だけどそんなこと…長続きするわけなくて。
わたしは自分でもわからない内に、色々と溜め込んでいて…もう、限界だったのです。
そして……その日は来ました。
313 名前:311続き[sage] 投稿日:2011/09/11(日) 22:38:52.86 ID:KzahAF2QO [2/3]
††
「…自己満足、か」
それは今日迎えに行った魔法少女の娘に言われた言葉…
「あんたは魔法少女に希望をなくしてほしくないって言うけどさ、そんなのしょせんあんたの自己満足じゃない!!
魔法少女がみんな希望を持って契約したわけじゃない、世界を呪って憎んで魔法少女になった娘もいるんだっ…あんたの見せる安易な希望なんて余計に絶望を味あわせるだけなのよっ!!」
わかっていたはずでした、魔法少女がみんな希望に満ち溢れていたわけではないことぐらい。
誰かや世界を許せなくて、自分の欲望のため、ただ力が欲しくて……そんな願いで魔法少女になった娘もいるんだって。
でも、ただ知っているのと面と向かってはっきり言われるのとでは全然違っていて…
「ひっく、ううっ…」
この願いを後悔なんてしていません、間違っていたとも思いません。
でも、それでも…やっぱり悲しくて、辛くて…わたしは1人涙を流します。
わたしは神様だから…誰かに弱いところを見せるわけにはいかないから…
もう、さやかちゃんにだって頼っちゃ……
「まどか」
「えっ…?」
そんな膝を抱えて泣いているわたしの頭上から聞こえてくる優しい声、今までいつもわたしを助けに来てくれた王子様の声。
「さやかちゃん…?」
「帰りが遅いから迎えに来ちゃった。まどか、帰ろう?」
さやかちゃんがわたしに手を差し伸べます…でも、前ならすぐに取れた手をわたしは掴む事が出来ません。
今のわたしは神様…救われる側じゃなくて救う側なんだから。
「…まどか、神様は救われちゃいけないなんて誰が決めたの?」
「えっ!?なん、で…」
「さやかちゃんをなめないでよね、あんたの考えなんかお見通しだっつーの」
さやかちゃんは怒った時みたいに眉をつり上げると、しゃがんでわたしにデコピンをします。
あうっと情けない声をあげるわたしをさやかちゃんはギュッと抱き締めると、昔ママやパパがしてくれてたみたいにポンポンと背中を叩き始めました。
314 名前:313続き[sage] 投稿日:2011/09/11(日) 22:46:02.83 ID:KzahAF2QO [3/3]
「あたしはさ、悔しいけどまどかの痛みも悲しみもわかってあげられない。あたしは【神様としてのまどか】をほとんど見てないしね」
「うん…」
「だけど、泣いてる【鹿目まどか】を抱き締めるくらいならあたしにだってできるんだよ?」
「えっ……」
「いいじゃん、泣く神様がいたって。あんたは人形じゃない、感情を持ってここにいるんだから。もしそれであんたを責めるような奴がいたら…あたしがやっつけたげるよ!」
そう言って清々しい青空みたいな笑顔を見せてくれるさやかちゃんにわたしは悟りました。
あぁ…結局わたしはただの【鹿目まどか】だったあの頃と何も変わっていないんだ、と…
神様になってもわたしはさやかちゃんに救われているんだと…どうやらわたしは認めるしかないようです。
「さやかちゃんっ…さやかちゃんっ…!」
「うんうん…あたしの前でぐらい思いっきり泣けばいいよ。あたしはわかってるから、あんたは【神様とかそれ以前に鹿目まどかっていう女の子】だってちゃんと知ってるから」
「さやかちゃぁんっ…うううっ…うえぇ…」
わたしはさやかちゃんの腕の中でいっぱいいっぱい泣きました。
大好きなさやかちゃんに頭を撫でてもらいながら、溜め込んでいた全てを吐き出しました。
さやかちゃんを助けたい…さやかちゃんの背中に隠れてるだけなんてやだ…そんなことを考えていた自分。
だけどそれをいつからか【自分は神様なんだから誰にも甘えちゃいけない、救う側でいなければいけない】とわたしは歪めてたんだ…
「帰ろっか?」
「……うん!」
わたしは、さやかちゃんの前に立ちたいんじゃない。
わたしは…【鹿目まどか】の本当の願いは…
【わたしもさやかちゃんを助けたい、引っ張ってもらうんじゃなくて隣を歩いていきたい】なんだ。
「えへへ…」
「何笑ってんの?」
「内緒!」
さやかちゃん…わたしはこれからもいっぱいさやかちゃんに迷惑をかけちゃうと思います。
でもいつかはさやかちゃんと助け合っていけるように頑張るから…
「さやかちゃん」
「んー?」
「大好き!」
これからもよろしくね?
以上です!
最終更新:2011年10月02日 22:44