帰り道、まどかがさやかの手を握ろうとすると、さやかはビクりとして思わず手を離してしまう。
「嫌だった?」
まどかがそう聞くと
「ううん…嫌じゃないんだけどさ…」
と、さやかは口ごもってしまう。
「ねえ、さやかちゃん。前はあんなに抱きついてきたのに、付き合ってから全然そういうの無くなっちゃったし、どうしちゃったの…」
「まどかの事嫌いってわけじゃないんだよ!…うん、それは本当。
ただ、付き合うっていうのがよくわかんないから…まどかのこと妙に意識しちゃって、どうしていいのかわかんなくなっちゃって…」
顔どころか耳まで真っ赤にして恥ずかしそうに、さやかは言った。
かつて上条少年にだけ見せていたであろう表情を、今は自分にだけ見せてくれている。
そう思うと、まどかも嬉しさと同時に顔が真っ赤になってしまう。
「少しずつでいいから、慣れていこう?」
まどかがそう言うと
「…うん。そうだね」
さやかは答える。
顔が夕日に照らされて赤いのか、恥ずかしさで赤いのか、二人にはもうわからなかった。
最終更新:2011年10月11日 22:40