ある日のまど界。
ま「今日のお仕事おーわりっと。さあおうち帰ろ。……あれ、さやかちゃんとエリーちゃん? 二人でなに話してるんだろ?
ちょっとだけ盗み聞きしちゃおっかな」
さ「……初めて出会ったころ? 本当に可愛かったよ。あたしがそばに来るとすぐに飛び付いてきてさ、どこに行くにも
ぴったりくっついてくるわけ。愛くるしいなんてもんじゃなかったね。
仲良かったよ。子供のころからずっと一緒だったから、言葉のいらない関係っていうの? もうお互い相手が
隣にいるだけで相手の気持ちがわかったしさ。ああ今日はあれが食べたいんだなとか、ちょっと風邪気味だなとか」
ま「さやかちゃんがエリーちゃんに私の話を……! なんか照れちゃう///」
さ「撫でてやるとさ、すっごい嬉しそうな顔するの! あたしに甘えてくるのがすっごい上手くて、一日中なでなでして
ぎゅーってしてても全然飽きないんだよね。さわり心地が何とも言えない柔らかさでたまんないの。
寝るときも一緒のベッドだよ。はしゃいじゃってなかなか寝付こうとしないから、くすぐってやって遊んでやると
結局こっちも楽しくなってつい夜更かししちゃったりね。あと、抱きしめて寝ると温かくって気持ち良かったよー」
ま「わわわっさやかちゃんそんなことまで……ウェヒヒヒ///」
さ「毎日遊んだね。公園行ったり隣の町まで一緒に散歩したり。喧嘩を仕掛けてくるようなやつからは
あたしが守ってやるって思ってたんだけど、あたしが守られてた事の方が多かったんだよね。あんときは嬉しかったなぁ」
ま「私がさやかちゃんを……? 覚えがないけど、私でもさやかちゃんのためになにかできたことが
あったんだ……嬉しいな……」
さ「あたしが家に帰ってくると、いの一番に出迎えてくれるんだよね。その様子からあたしが帰ってきて
本当に嬉しい嬉しいって思ってるのがわかるからさ、こっちも嬉しくなってテンション上がっちゃうんだよね。
あ、でも一度ほーらとってこーいをやったときには大変なことになっちゃったなぁ」
ま「あれ? 私さやかちゃんちに住んでたことになってるの? それにほーらとってこーいって、私がさやかちゃんの
ソウルジェム投げちゃったときのこと……? さやかちゃんやっぱりまだあのこと怒ってるのかな……」
さ「あの子が死んじゃったときはめちゃくちゃ悲しかった。けど、一緒にいられた時間が普通より短くても、
その分いつも一緒に過ごして、あの子もあたしもいっぱい幸せだったって、今ならそう思える。
毎日遊んで、たくさん可愛がって……。あの子の首輪もずっと取っておいてあるしね」
ま「えっえっさやかちゃん? 確かに私幸せだったけど、死んではいないよ!? いやある意味死んでるかもだけど、
それに首輪って……さやかちゃんそれは流石に……でもどうしてもって言うなら……」
さ「もう一度会いたいな……ロッキー……」
ま「」
*
さ「もしもし仁美? いま電話大丈夫? うん、こっちは二人とも元気だよ。あ、いや、どうしたっていうかさ、
まどかが怒って部屋から出てこなくなっちゃったんだけど、理由がわかんないんだよ。ドア越しに聞いても
『どうせ私は犬ですよーだ』とか『私の純情返してよ』とかよくわかんないことしか言わないし。
え? 何もしてないよ。ほんとほんと。心当たりがないから困ってるんだよ。
『さやかちゃんは犬が大好きだもんね。いいんだよ。私なんかほっといて犬と仲良くしてればいいじゃない』って、
犬ってなんのことだと思う? まどかが何ですねてるのか全然わかんないよ……」
仁「原因はわかりませんけれど、きっとまどかさんは寂しいんですのよ。ぎゅっと抱きしめて、寂しさなんて感じる暇も
ないくらい愛して可愛がって差し上げるべきだと思いますわ。そう、炎のように激しく嵐のように情熱的に!」
さ「えっ、う、うん。わかったやってみるよ///」
仁(まど界中に張り巡らせた盗撮&盗聴システムのおかげですれ違いが一粒で二度おいしいですわー)
最終更新:2011年10月21日 21:56