410 自分:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/09/22(木) 22:17:02.68 ID:G1u7j6yz0 [3/4]
では、いかせていただきます。
「…う~」
「どーしたのよ、おかずとにらめっこなんかして」
ちょっと苦笑いしながらさやかちゃんは言います。
でも私にとっては今の事態はとても苦笑いでは済みません。
「もしかして、おかずに何か変なとこでもある?髪の毛浮いてるとか」
「うぅん、そんなことないよ。みんなとっても美味しそうだよ」
ちなみに目の前にあるおかずとはオムレツにシチュー、ツナサラダです。
オムレツは『上に何もかかっていない状態』で、ちょっと卵の部分が破けてますけど、それがいかにもさやかちゃん作って雰囲気が出ていてとても素敵な感じです。
シチュー、ツナサラダもお皿いっぱいに盛り付けられ、何だか「早く食べてね」って訴えかけてるような気がします。
後はもう挨拶するだけの状態ですが、それでも私の表情は未だに晴れません。
私のこの表情の原因にさやかちゃんは気づいてくれるのでしょうか。
「ん~、じゃあ、一体何なの…よ…あれ?」
「!!」
気づいてくれたのかな!?
私は思わず顔をさやかちゃんの方に勢い良く向けました。
「もしかして…オムレツ?」
「うん!」
気づいてくれたことが嬉しくて私は満面の笑みとちょっと大きい声で応えてしました。
そう、私の表情が晴れなかった原因はこのオムレツにあったのです。
形が少し歪だとか、卵がちょこっと破れていたからとかは些細なことです。
ただ、どうしても足りないものがあったのです。
「ごめん、先にオムレツできちゃんたもんだから忘れてたわ」
「うぅん、いいんだよ。それより私こそごめんね」
「ははっ、いーのいーの。あんたがアレを気に入ってるのは分かってるから。ちょっとケチャップ持ってくるね」
「あ、いいよ。私が持ってくるからさやかちゃんはもう座ってて、ね」
「そう?ごめんね」
「ティヒヒ、気にしないで」
私は席を外そうとしたさやかちゃんを制止し、変わりに椅子から立ち上がり、ケチャップを取りに行きました。
411 自分:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/09/22(木) 22:17:43.41 ID:G1u7j6yz0 [4/4]
「んふっ♪」
これからやってもらえることを創造し、思わず笑みがこぼれてしまいます。
ほどなく私は冷蔵庫からケチャップを取り出し、テーブルへと戻りました。
そして取ってきたケチャップと、目の前のオムレツの乗ったお皿をさやかちゃんに渡します。
「はい、さやかちゃん。お願いします」
「ん、りょーかい」
さやかちゃんはケチャップのキャップを開き、私のオムレツにどんどんと字を書いていきます。
「ウェヒヒヒ、やった♪」
そしてオムレツに書かれた字を眺めて、喜び一杯の気分になりました。そこにはこう書かれています。
( まどか )
「うん、これで完璧だね!はい、さやかちゃんも」
「ありがと。よろしくね、はいこれ」
さやかちゃんからケチャップとオムレツの乗ったお皿を渡されます。
そしてさっきのさやかちゃんと同様に私もオムレツにうにうにと字を書いていきます。
( さやか )
「はい。できたよ」
わたしはケチャップを隣に置いて、さやかちゃんにオムレツを返します。
「ありがとまどか。お、字に気合入ってるじゃん」
「もちろん。入ってるのは気合だけじゃないけどね」
二人で笑みを交わしあいます。ちょっと照れくさいけど、でもとってもとっても嬉して、幸せです。
「それじゃ、食べよ。さやかちゃん」
「うん。それでは」
「「いただきます」」
以上です。
最終更新:2011年10月22日 21:01