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126 名前:名無しさん@お腹いっぱい[sage] 投稿日:2011/10/16(日) 00:15:35.90 ID:nBJNcN6P0 [1/3]
>>91 私も読みたいですw
>>123GJ まどっち可愛いwそしてさやかww
前スレ1000から電波を受信したので私もSS投下。
なお、アニメ本編とは設定を少し改変(魔獣が存在する世界ですがまどか健在)しちゃってますがどうかご容赦を

放課後のパトロール中、瘴気の溜まった現場にて

「……さやかちゃん」
「わかってるよ、まどか。ここら辺すっごいヤな感じだわ…魔獣の数も結構な数になるかも」

さやかちゃんが険しい表情のまま呟きます。
わたしもこの辺りに漂う嫌な空気に思わず緊張してしまいます。

「まどか?」
「何?さやかちゃん」
「表情硬いけど、大丈夫?」
「大丈夫。大丈夫だよ、さやかちゃん」
「……そっか」

これだけの瘴気が渦巻いてるということは、さっきさやかちゃんも言っていたとおり魔獣の数はかなりになるはず。
もしわたし達魔法少女がいない時にそれが具現化なんてしてしまったら、この場所を通る人たちに被害が出てしまいます。
そんなことは絶対にさせません。なんとしてでもここで食い止めないと…

「まどか」
「えっ?……あ」

もう一度わたしを呼んださやかちゃんの声に反応すると、

「うりゃ」

さやかちゃんの右手がわたしの頭の上に置かれて、そのまま頭をわしゃわしゃと撫で回します。



127 名前:名無しさん@お腹いっぱい[sage] 投稿日:2011/10/16(日) 00:16:24.41 ID:nBJNcN6P0 [2/3]
「あぅ……」

わたしはさやかちゃんに頭を撫でられているうちにだんだんと力が抜け、緊張が解けていきました。

「いやぁ、なんだか一仕事前にさ、あんたの頭をわしゃわしゃしたくなっちゃって、急にごめんね」
「さやかちゃん……」
「久しぶりに結構キツそうな戦いになりそうだから、ちょっと落ち着こうと思ってさ。さやかちゃんは落ち着きたくなるとついやっちゃうんだ♪」
「もう……さやかちゃんったら」
「ごめんね」
「うぅん、いいよ。わたしも落ち着いたから」
「そっか。よかった」

さやかちゃんの、嘘つき。

わたしは心の中でそう呟きました。
だってさやかちゃんはわたしが緊張でガチガチになりかけてたのを見越した上で、そういうことをしてくれたんだってわたしにはわかったから。
そう、それは何も今回に限ったことだけじゃない。
いつだってさやかちゃんは、その暖かくて力強いてのひらでわたしの頭を撫でてくれた。
悲しくて涙した時、恐怖で震えた時、未知なる物に怯えてしまった時、
そんなわたしをさやかちゃんが見かけた時、あなたはいつもそうしてくれたね。

なら、わたしもさやかちゃんがくれた温もりをさやかちゃんに返したい。
ほんの少しだけでもさやかちゃんを勇気付けたい。

そう強く思いました。

「さやかちゃん」
「ん?どしたの?」
「右手、ちょっと借りるね」
「え?あ……」

わたしはさっきのさやかちゃんと同様に、返事を待つことなくさやかちゃんの右手を両手で包みました。
そしてその両手をわたしの胸の前に運び、祈るような形でぎゅっと握りました。

もう心配は要らないよ。わたしは大丈夫だよ。
わたしはずっとさやかちゃんの傍にいるよ。絶対に一人になんてさせないよ。

どうかこの思いと願いがさやかちゃん伝わりますように。
「まどか」

その声にわたしは顔を上げると、その視線の先にはとても優しい顔をしたさやかちゃんがいました。
いつもの元気で朗らかなそれでもなければ、わたしや仁美ちゃんをからかったりする時に見せるちょっと意地悪なそれでもない。
わたしがさやかちゃんと出会って間もない頃、いつも泣いていたり、怯えてたりしたわたしを抱きしめてくれた後に必ず見た、とても優しい笑顔。
わたしの一番大好きなさやかちゃんの笑顔が目の前にありました。

「ありがとう、まどか」
「どういたしまして、さやかちゃん」

さやかちゃんの感謝の言葉に、わたしはやさしく打ち消す言葉で返します。
だって、足りないから。
今日のこの一回だけじゃ足りないから。
これから未来、ずっとずっとさやかちゃんを支えたいから。助けたいから。

大好きなあなた守りたいから。


128 名前:名無しさん@お腹いっぱい[sage] 投稿日:2011/10/16(日) 00:17:12.70 ID:nBJNcN6P0 [3/3]
「よっしゃ!」
「きゃっ」

さやかちゃんは突然大声を上げ、その声の大きさにちょっと驚いてしまいました。

「っと、ごめんごめん。まどかの激励でみなぎりまくっちゃってつい、ね」
「ふふっ、さやかちゃん。気合入ったのはいいけど、油断しちゃだめだよ……っ!?」

わたしの言葉が切れるか切れないか位のタイミングで瘴気の濃さが増した気がしました。
この感覚に間違いがなければ、間もなく瘴気が具現化し、結界と共に魔獣が現れます。

「大丈夫よ。もう頭のスイッチはばっちり切り替えたから。あんたもいきなりぽーっとしちゃだめよ」
「ぽーっとなんかしませんよーだ」
「おっけー。それじゃ、背中は任せるわよ」
「うん。頑張る」

空気が淀み、濁り、それらが形作ると同時に、わたし達のいた空間が何かに閉じ込められるような感覚がしました。
そう。魔獣が結界を張り、わたしとさやかちゃんをその中に閉じ込めたのです
わたしとさやかちゃんは間髪要れずにソウルジェムを指輪の状態から本来の形に戻します。

「やるわよまどかっ!」
「うんっ!」

そしてソウルジェムの魔力を開放し、わたしはピンク色、さやかちゃんは空色の光にそれぞれ包まれた。
そして光がはじけると同時に、わたし達は魔法少女へと覚醒した。
その手に各々の武器を握り締めて。

「行くぞぉっ!」

さやかちゃんが迸る気合と共に、前方に出現した魔獣に突進していきました。
そんなさやかちゃんをサポートするためにわたしは弓を構え、魔力の弦、そして矢を生み出し、力いっぱい引き絞ります。
今も、そしてこれからもわたしの先をどこまでも駆けていくだろうさやかちゃんを助け、守り、支えるために、

わたしは魔獣に向かって矢を放った。


終わりです。

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最終更新:2012年08月04日 11:06
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