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317 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/06/04(土) 21:12:49.35 ID:IudhEiMxO [1/4]
>>311
いえいえ素晴らしいお話でしたよ!
結末こそああでしたが、どんなに傷つけられてもオクタヴィアに笑顔を向けるまどかにグッと来ました!

さてお客さんが来てようと自分の1日1まどさやは変わらない!
それではたまにはまど界ではなく本編前舞台のSSを




「…遅い!」

雲1つない青空から太陽が照りつけ、木々を風が揺らす爽やかな朝。
さやかは通っている見滝原学園へ向かう通学路でまどかを待っていた。

「うわぁ、そろそろまずいって…このままじゃ揃って遅刻しちゃうよ!」

焦りを見せながらもさやかはその場から動こうとはしない。いくら遅刻の危険が迫っているとはいえ、親友を置き去りにするほどさやかは薄情ではないのだ。

「さやかちゃーーーーん…」
「来た!」

微かな声と共にさやかの目は小さいながらもまどかの姿を捉える。さすがにまどかも焦っていたのだろう、いつもはしっかり髪を結わえている桃色のリボンはいかにも適当に結びました!という感じだし、制服もところどころ乱れていた。

「はぁ、はぁ…お、お待たせ…寝坊しちゃった…」
「もう、遅いよまどか!」
「ご、ごめんなさい…えっと…仁美ちゃんは?」
「あの子もギリギリまで待っててくれたんだけどね…今日日直だったから先に行かせといたよ」
「ううっ…」

まどかはしょんぼりと肩を落とす。さやかや仁美に迷惑をかけてしまったこと…優しいまどかはそれを人一倍心苦しく感じてしまうのだ。


318 名前:317続き[sage] 投稿日:2011/06/04(土) 21:15:36.93 ID:IudhEiMxO [2/4]
「まぁ、あたしは気にしてないよ。仁美だって怒るより心配してたしね。だからそんな顔しない!」
「あ…ありがとう」
「いいってこと!そんなことより立ち話してたら今度こそ遅刻しちゃうし、早く行こう!」
「うん!」

まどかがしっかり頷いたのを確認すると、さやかはその小さな手をギュッと握りしめる。いきなり手を握られた事にまどかが目をパチクリさせてさやかを見ると…さやかはどこか悪戯めいた笑みを浮かべていた。

「ねぇ、まどか…」
「な、何かな…?」
「このままじゃ間に合わないからさ…ちょーーっとばかし走るよ?」
「う、うん…」
「じゃあしっかり掴まっててね…超特急さやかちゃん号…行っきまーーーーーーすっ!!」

さやかはまどかの手を握りしめたまま、全速力で駆け出していく。

「ひゃああああっ!?さ、さやかちゃん速い、速すぎるってばーーーーっ!!」
「さやかちゃん号は終着駅見滝原学園までノンストーーーップ!!若いってのは立ち止まらないって事なのだーーーーっ!!」
「何かそれ間違ってるよぉーー!」


さやかにまどかが引っ張られる形で、時折アホみたいな会話を交わしながら2人は学園に向かう。その表情は見ているものが微笑ましくなるほど、生き生きとした笑顔だった…



319 名前:318続き[sage] 投稿日:2011/06/04(土) 21:17:32.56 ID:IudhEiMxO [3/4]
††

「おっはー!さやかちゃん号ただ今到着いたしましたー!」
「お、おはよう…みんなぁ…」

教室に勢いよく飛び込んできたさやかとまどかに一瞬教室中の視線が集まる。しかしそれがクラスでも仲良しで有名な2人であることを認めると、「なんだ、いつもの光景か」とまた各々の時間に戻っていった。

「お二人とも間に合って良かったですわ。いくら日直があったとはいえ1人で先に行くのは心苦しかったので…」
「ははっ、仁美も心配性だなぁ~。あたしの手にかかれば遅刻を回避するなんて簡単簡単!ねっ、まどか!」
「ふぇ…はぁ…ふうっ…」
「…さやかさん、さすがにハイペース過ぎたんじゃありませんか」
「あー……うん。ちょっと調子に乗っちゃったかも…」

息も絶え絶えなまどかの姿にさやかはもうちょっと考えてあげればよかったと後悔してしまう。
まどかは大丈夫だという事をアピールするためなのか手をひらひらさせるが、残念ながらそれはまだ声すら出せない事を教える結果になってしまい完全な逆効果だった。

「ごめんねまどか、お詫びに放課後駅前のクレープ奢るよ!それと…」

さやかは繋いだままだったまどかの手を引っ張り、席に座らせる。まどかが目だけで伝えてくる疑問にさやかは通学路で見せたのとは違う優しい笑顔を浮かべると、ポケットから櫛を取り出した。

「仁美、まどかの制服整えてあげてくれない?あたしは髪をとかしとくから」
「あら、そういえばまどかさん…ちょっと制服が乱れてますわね。わかりましたわ、こちらはお任せを」
「お願いね!ほら男子、これからまどかは身だしなみタイムだからあっち向いとく!」

乱れた制服姿のまどかを凝視していた連中を威嚇しつつ、さやかはシュル…とまどかの髪を無造作に結わえていたリボンを外す。そしてサラリと広がった髪を手に取るとゆっくりと櫛を走らせ始めた。

「いや~…やっぱりまどかの髪はサラサラで綺麗だねぇ…あたしも髪伸ばそうかなぁ…」
「あら、私はさやかさんの髪もステキだと思いますよ?」
「おっ、仁美ったら嬉しい事言ってくれるね~」
「ふ、うぅっ…仁美ちゃんの言う通りだよ。でも、さやかちゃんならきっとロングも似合うと思うな」
「おぉ、まどかも復活したね!でも疲れちゃっただろうしもうちょい休んでなさい!」
「うん…ありがと」


320 名前:319続き[sage] 投稿日:2011/06/04(土) 21:20:40.15 ID:IudhEiMxO [4/4]
目を閉じて身を委ねるまどかの髪や制服をさやかと仁美は優しい手つきで整えていく。

「何かああしてみると…美樹って鹿目の母親みたいじゃね?」
「だよな~…さやかあちゃんってやつか?」
「プッ、誰が上手い事を言えって言ったよ!」
「ちょっと!誰がさやかあちゃんだ!」

くだらない事を言ってくるクラスメイト達に文句を言いながらもさやかの手の動きは変わらない。

(何だか…気持ちよくて、眠くなってきちゃったな…)

その手から伝わってくる優しさに何とも言えない気持ちよさを感じ、まどかはいつしか舟を漕ぎ始めていた。
実はまどか、さやか達には話していなかったがここ最近妙な夢ばかり見ていて寝付きが悪かったのである。

(大きな怪獣と喋る生き物…それと戦ってる女の子…今度、さやかちゃん達にも話してみようかな…)

おぼろげなキーワードしか残っていない夢だが、きっと2人ならちゃんと聞いてくれるはず。なぜなら志築仁美、美樹さやか、そして自分は…強い絆で結ばれた親友なのだから。

(これからも、ずっと三人仲良しでいられたら…いいな…)


††


「よし、出来た!まどか終わ…」
「さやかさん」
「んっ?」

まどかの髪に綺麗にリボンを結わえ付けたさやかが声をかけようとするのを、仁美が微笑みと口に当てた人差し指で止める。その態度に疑問を感じたさやかだったが、回り込んでまどかを正面から見る事でその疑問は解消された。

「スー…スー…」
「…おやおや、お姫様はお眠りですか」
「よっぽど疲れてらしたんですわね…どうします?」
「うーん…何か知らないけどまだ先生来てないんだし、しばらく寝かせとこっか?」
「ふふ、そうですわね」

さやかと仁美はまどかの頭をそっと撫でるとそれぞれの席に戻っていく。

「さやかちゃん、仁美ちゃん…」

さやか達と一緒にいる夢でも見ているのだろう、寝言で2人の名前を呼ぶまどかの顔はとても穏やかで、幸せそうだった…


―それは運命の始まりの3日前の事―



以上です!
今回はどちらかと言うとまどか+さやか+仁美の話になった感じですね…この三人のほのぼのももっと見たかったなあと思う今日この頃です。

それでは失礼いたしました!

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最終更新:2011年08月15日 21:28
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