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114 名前:さやかちゃんが勇気を出すようです[sage] 投稿日:2011/10/28(金) 19:48:25.58 ID:RQsfoYQ2O
「むむ~…」
「……」

その日、あたしの嫁は本を読みながらずっと唸っていた。
ご飯の途中とかは読まないから何も言わなかったけど…さすがのあたしもそろそろ相手にされないのは寂しいわけで。

「ねぇ…さやかちゃん」
抱きつけばこっちに気付くでしょ…と忍び寄っていたあたしはいきなり名前を呼ばれてビクッと止まってしまう。
あ、やば…舐めてた飴飲み込むとこだった…

「な、なに?」

内心の動揺を悟られないよう平静を装ってるあたしをよそに…あたしの嫁はどこか遠い目をしながらポツリと呟いた。

「ファーストキスって本当にレモンの味なのかな?」
「……は、はあっ!?」

何を言い出すかと思えば…朝からずっとそんな事考えてたわけ!?
いや、その手に持ってるのが少女漫画って時点でそっち方面に決まってたか…

「わたしはキスした事ないからわからないけど…」
「あ、あたしも経験ないからわかんない…」
「だよね…でも気になるなぁ」チラッ
「うっ…」

…な、なによ?まどか、遠回しに付き合って何ヶ月も経つのにキスしないあたしを責めてるの?
しょ、しょうがないじゃんか…まどかと付き合うって言っても実感ないし…っていうかデートもしてるし手を繋いだり抱き締めたりはしてるじゃん!
あれ、ちょっと待って…考えたらあたし達やってる事が友達だった頃とあんまり変わってない…?

「わたし…好きな人となら酸っぱいのも我慢できるのにな…」

あっ、そっか…まどかは不安なんだ。
ずっと抱えてきた片想い、それが成就したのにやってる事はまるで変わらない。
そりゃ不安になるに決まってる…あたし自分が恥ずかしいってまどかにそんな気持ちを味あわせて…
だったら…あたしは勇気出さなきゃいけないんだ

「あ、わたし…何言ってるんだろ!ごめんね、さやかちゃん今のは……」

それは一瞬…困ったように笑うまどかの唇をあたしは自分の唇で塞ぐ。
ちょっと経って顔を離した時、ポカンと唇を触っていたまどかは…顔を赤くしてポロポロ泣き出した。

「ど、どうだった…レモンの味した?」
「う、うん…したよ…レモンの味した…えへへ…酸っぱくて涙出ちゃう…」

あたしは何も言わずただ泣いてる(悲しいからじゃないのはわかってる)まどかの唇を優しく奪う…
まどかと交わしたそのキスは確かにあたしの舐めてた飴の…レモンの味が少しだけした…

(不安にさせてごめん。あたしもまどかの事大好きだからね…

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最終更新:2011年11月13日 07:23
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