57 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/11/06(日) 21:45:18.17 ID:1wlWbTDWO [2/6]
ここは誤字や荒らしさえSSにしてしまうまどさやスレ…ならば誤爆さえもSSに出来るはず!
というわけで>>36から受信したSSを投下します!
ただし元ネタはわかりませんのでそこはご容赦を!
「なに、これ…」
「ん…んんんっ!?」
キュゥべぇから話があると呼び出された場所でわたしを待っていたのは、傷だらけになってビルの屋上から吊るされたさやかちゃんでした。
着ている制服をボロボロにされ、猿轡を噛み締めながら悔しさに涙を滲ませているさやかちゃんをわたしは現実の光景として認識できません。
「やぁ、待ってたよまどか」
「キュゥべぇ…これはどういう事…なんで、さやかちゃんがあんな事になってるのっ!?」
いつの間にかすぐ後ろにいたキュゥべぇにわたしは問い質します。
一瞬で魔法少女に変身し、返答次第ではいつでも目の前にいるこの子を射れるように弓を構えて。
「本当はこういうのはボクのやり方じゃないんだけど…あまり時間がないんだ、急がないとエントロピーが増大し過ぎてしまう」
「エントロピー…?何言ってるのキュゥべぇ…」
「だけどせめて君に選択肢を与えなければフェアじゃない。だから選んでよまどか」
キュゥべぇはわたしの問いを無視すると、トテトテとさやかちゃんが吊るされている鉄骨の上に登ります。
さやかちゃんはそんなキュゥべぇをわたしも見たことがない怒りをこめた眼で睨み付けていました。
「まどか、これからこの鉄骨は地面に落ちる」
「えっ!?」
「当然魔法少女じゃない君の友達はこの高さから落ちたらひとたまりもないだろう。まぁ、間違いなく死んでしまうだろうね」
「キュゥべぇっ!!」
「落ち着きなよ、君なら落ちる前に助けるのは簡単だろう?君は強大な資質を持った魔法少女なんだから」
確かにキュゥべぇの言う通りです…わたしは魔法少女、その気になれば今すぐさやかちゃんを助ける事だって…
59 名前:57続き[sage] 投稿日:2011/11/06(日) 21:46:49.85 ID:1wlWbTDWO [3/6]
「だけど…そうなると君の後ろにいる人が死んでしまうだろうね」
「っ!?」
キュゥべぇの言葉に後ろを振り返って見れば、そこにはさやかちゃんと同じように鉄骨に吊るされた人がいました。
ただしこっちは顔を隠されていったい誰なのかはわかりません…でも、1つだけ言えるのは…
(二人とも助けるのは無理…)
そう、あまりにも遠すぎるさやかちゃんとその人の距離は、たとえ魔法少女でも埋めようがなく。
わたしがさやかちゃんを助ければあの人が、あの人を助ければさやかちゃんが…確実に…
「なんで、こんな事するの…?キュゥべぇ…あなたはいったい何なの…?」
「インキュベーター。それがボクの本当の名前だよ」
「インキュベーター…?」
「それよりいいのかい?鉄骨…落ちるよ」
「っ!!」
キュゥべぇが鉄骨からビルに飛び移った途端、まるで魔法が解けたように鉄骨が傾き、さやかちゃんがわたしの視界から消えます。
そして見えてはいませんが、鈍い音がした事で後ろの鉄骨も落ち始めたのだとわかりました。
「っ…(どうすればいいの、わたし、わたし…)」
どちらを選んでも、わたしはどちらかを見殺しにする事になる…わたしは足から根が生えたみたいにその場から動けません。
頭の中では、さやかちゃんとの思い出や魔法少女として過ごしてきた日々がぐるぐると回って…
「なるほど…君は両方見捨てる事を選択するんだね」
「あ…」
だけど…そのキュゥべぇの一言が…わたしの迷いを断ち切らせました。
わたし…わたしは…わたしは…!
60 名前:59続き[sage] 投稿日:2011/11/06(日) 21:49:01.53 ID:1wlWbTDWO [4/6]
「さやかちゃんっ!!」
わたしは急いでさやかちゃんのいた方向に走ると、そのままビルから飛び降ります。
出来うる限り自分の力を使って、さやかちゃんの縛られている鉄骨に向かって走り続けて。
そして…わたしは、鉄骨が地面に落下する本当に直前…さやかちゃんの腕を掴みました。
「さやかちゃん、もう大丈夫だよっ!」
「んんっ…ぷはっ!ダメ…まどか…あたしはいいからあっちを助けてっ!!」
「えっ!?」
さやかちゃんは何を言ってるのかわたしが理解したのと…向こう側に鉄骨が落ちたのは、すぐ後で。
「あっ、そんな…うわあああああああああああああっ!!」
さやかちゃんが喉が潰れそうなくらいの絶叫をあげて気絶したのは…そのまたすぐ後でした。
「…………」
わたしは、さやかちゃんを寝かせるとその落ちた鉄骨に向かって歩きます。
顔は隠されたまま、でも身体は鉄骨の下敷きになってぐちゃぐちゃになってしまっているその人…
身体中から出ている見ちゃいけないという命令を拒むように顔を隠す布を取り払ったわたしが見たのは……………
絶望に顔を歪ませた、仁美ちゃん、でした。
61 名前:60続き[sage] 投稿日:2011/11/06(日) 21:50:57.92 ID:1wlWbTDWO [5/6]
「……あ、ああああ…」
仁美ちゃん、わたしは、さやかちゃんを助ける為に、もう一人の親友を…コロシテシマッタ
「いやああああああああああああああああああっ!!!!」
わたしは、わたしは、違う、違うの!!わたしは、仁美ちゃんだって知らなかた、知らなかった!!
ダケドコロシタンダヨ、アナタハシンユウヲミゴロシニシタ
違う、違う、違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う!!
チガワナイ、アナタハコロシタンダ。ヒトミチャント…サヤカチャンノココロヲ
そんな…わたし、間違ってたの…?わたしは、どうすればよかったの…
ミンナスクエバイインダヨ
救う…?
ソウダヨ、アナタナラ…ワタシナラソレガデキル。
サア、ツクロウヨ。ミンナガシアワセニナレルセカイヲ、ミチビコウヨ、ミンナヲアタタカイケッカイニ
そうすれば…さやかちゃんと仁美ちゃん、わたしを許してくれるのかな…?
モチロン!ダカラ…
「早く魔女になってよ、鹿目まどか」
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」
ピシッ、ピシピシピシピシ!!
パリーン…!
サア救済しよう、ミンナヲ幸せにしてあげよう
ワタシナラできる、だってワタシハ…
魔法少女ナンダカラ
「ありがとう鹿目まどか。これで宇宙は救われたよ」
最終更新:2011年11月20日 12:22