190 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/11/08(火) 11:34:57.46 ID:JIoN2i+i0 [2/2]
>>186
誤字はSSのネタになります
「宇宙の心理……宇宙の心理……」
「まどか? なにうんうんうなってるの?」
「えっとね、もし宇宙に心があったら、なんて考えてるかなって」
「宇宙に……心?」
「うん。魔法少女を救うために私はこの宇宙に新しいルールを付け加えたけど、それはこの宇宙のためにはなってないのかもと思って……」
「それは、魔法少女が魔女になるときのエネルギー回収ができなくなったこと? でもそれは……」
「魔獣から回収できるようになったよね。ほむらちゃんたちが頑張ってくれてるから、今でもまだ宇宙の寿命は伸ばし続けられてはいる……」
「それでいいじゃない」
「でも、エネルギー回収の効率は、以前よりずっと悪くなったんだって」
「そうなの?」
「うん。だから、もしかしたら今のやり方だと以前ほど宇宙の寿命は伸ばせなくって、結果的に宇宙の寿命を縮めちゃったのかなって……そうだとしたら、そのことをどんな風に思ってるかなって……」
「まどか……」
「それに、魔獣が生まれるようになったのだって、宇宙が私の改変を元に戻そうとしてるのかなって思ったこともあって……だって、私が作った新しい世界になってから魔獣が出てくるようになったんだから……」
「でも、それは……」
「大丈夫、後悔してるわけじゃないよ? 今から元に戻せるって言われても絶対に戻さない。でも、時々そんなふうに考えちゃうことがあるの……」
「……」
「……あの、ごめんね? 暗い話しちゃって! 私は大丈夫だから、さ、ご飯食べよ?」
「……まどかはさ、魔獣が生まれるようになったのは自分が世界を改変したせいかもしれないっていま言ったけど、あたしはそれは違うと思ってる」
「……えっ?」
「あいつらは、ぐねぐねになった世界のバランスを戻すために、人間の感情を吸い上げてグリーフシードにしてるって、あたしたちの間では伝えられてた。あたしたちってのは、改変後の世界の魔法少女たちのことね」
「うん」
「で、まどかはこの『世界をぐねぐねにした』のは、自分だと思ってるでしょ? それが違うんだよ。『世界をぐねぐねにした』のはあたしたち人間みんな。
人間の憎しみとか悲しみは常に生まれ続けてるから、それが呪いになって他の人間を傷付けて、世界の歪みになってるんだとあたしは思ってる」
「……じゃあ」
「そう。魔獣に感情を吸われた人間は廃人になっちゃうから、もう憎しみも悲しみも感じない。呪いを生み出すこともない。魔獣はそうやって人間を滅ぼしていくことで、世界を正そうとしてるんだと思う」
「それじゃ、私たち人間こそが、世界の歪みってわけだね……」
「でも、その人間の感情から生まれたグリーフシードを回収することで宇宙の寿命も伸ばせてるわけだから、人間が一概に悪いとは言えないでしょ?」
「うーん……」
「あたしたちは、それが誇りだった。魔獣を倒すことで、人間を守る。グリーフシードを回収することで、宇宙の寿命も伸ばす。そういう正義があったからこそ、あたしたちは後悔せずに戦いぬくことができた。少なくとも、あたしはそうだった……」
「さやかちゃん……」
「そして、そういう世界を与えてくれたのはまどかなんだよ。まどかが、あたしたちをかつての仲間を殺して自分も絶望する魔法少女じゃなくて、人間と宇宙を守る正義の魔法少女にしてくれたの。それは、いっくらでも自慢していいことなんだよ」
「うん、うん……」
「それにさ、今の方が宇宙の寿命が本当に短くなっちゃうかどうかなんて、まどかにもわかんないんでしょ?」
「……うん」
「神様にもわかんないんだったらさ、そんなこと考えなくていいと思うよ。第一以前の宇宙のことなんてほむら以外覚えてないんだし、ほむらだってまどかの選択が間違いだなんて言うはずない」
「そうだね……」
「魔法少女はめいっぱいがんばってる。それでも宇宙の寿命が短くなっちゃったとしても、それを責める権利は誰にもないと思う。ま、もうリタイヤしちゃったあたしが言うのもなんだけどさ」
「そんなことないよ……」グスッ
「あれ、まどか……泣いてる? やっぱり納得いかなかった?」
「ううん……嬉しくて……さやかちゃんは、本当にいつだって私を助けて、救ってくれるんだなって思ったら……」
「へへっ。まどかは本当に泣き虫さんだね。あ、もう一個あったよ。まどかが世界を改変して良かったこと!」
「なに?」
「聞かなくてもわかってるでしょ?」
「でも、さやかちゃんの口から聞きたいな……」
「しょうがないなぁ。えー、コホン。まどかとずーっと一緒にいられること、だよ!」
「ウェヒヒヒ! うん! さやかちゃん、大好き!」
「あたしもだーい好きだよ、まどか!」
最終更新:2011年11月20日 12:34