757 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/11/14(月) 22:59:40.45 ID:n/NR0Z+K0 [2/5]
さてさて流れを無視しますがここでSSでも…
「はぁ…」
…ここ最近のわたしは自分の心を持て余してため息ばっかりついていました。
何となくドキドキして、どこか心地よい胸のつっかえ…わたしはそんな初めて感じる自分の感情がどうしても理解できません。
「わたし病気なのかな…」
とは言うものの熱があるわけでも身体がダルいわけでもなく。
あっ、そういえばこの感覚は決まった時にしか…
「まーどか!」
「ひゃわあっ!?さ、さやかちゃんっ!?」
ちょうど頭の中に浮かんでいた人に声をかけられて、わたしはビクッと身体を震わせました。
そう、わたしのこの未知の感覚は…さやかちゃんの事を考えているときにだけ決まってやって来るのです。
「そ、そんなに驚かなくてもいいじゃん…はい、肉まん買ってきたよ」
「あ、ありがとう。それとごめんね、ちょっと考え事してたから」
「考え事?なになに、悩みでもあるわけ?」
「うん…」
さやかちゃんは【まどかが話したいなら聞くよ?】という視線を向けてくれていて。
あぁ、やっぱりさやかちゃんは優しいなぁ…
トクン…
(あっ、また…)
わたしは静かに音を立てた胸…心臓のある辺りにそっと手を持っていきます。
この感覚、実は法則があってさやかちゃんとの楽しい事を考えるとこうして胸が暖かくなるんです。
逆に悲しい事を考えると胸がズキッと痛んで…酷い時は呼吸も出来なくなって…
とにかくわたしのこの感覚は、さやかちゃんが大きく関わってるのは間違いないようです。
「えっとね…最近のわたし変なの」
「変?あたしにはいつも通りに見えるよ?」
「ううん、でもやっぱり変なの。わたしにもよくわからないけど…わたし、どうしてかあることばっかり考えるようになっちゃったんだ」
「あること?」
「うん、実は…」
さやかちゃんに全て話そうとしたわたしは、だけどちょっと待ってと口にブレーキをかけます。
よく考えたら…わたし、とんでもない事を言おうとしてるんじゃ…
(さやかちゃんの事を考えて変になっちゃってるなんて言ったら…さやかちゃんは傷つかないかな…もしそれでさやかちゃんに嫌われたりしたら…さやかちゃんに、嫌われる…?)
ズキッ…!
「っ…」
「まどか?どしたの、顔色よくないよ…?」
「だ、大丈夫!えっ、えっとね…それで…」
「うんうん、あることって?」
「えーと…ううっ………き、今日の晩御飯なにかなー…って」
758 名前:757続き[sage] 投稿日:2011/11/14(月) 23:03:56.14 ID:n/NR0Z+K0 [3/5]
「…………はっ?」
わたしが咄嗟に言った言葉にさやかちゃんが目を丸くします。
それも当然でしょう…あんなに深刻そうに話して考えてたのが夕御飯の事だなんてわたしでも言われたら呆れちゃいます。
「…なるほど…なるほどねぇ…ははっ、まどかのパパは料理上手だもんね!そりゃあどんなのかなーって楽しみにしてもおかしくないよ」
「えっ?」
あ、あれ?誤魔化せてる…?
「あー、あたしもまた鹿目家の夕飯をご相伴願いたいわー…」
「さ、さやかちゃんならいつでも大歓迎だよ?」
「ほんとっ!?まどかありがとー!じゃあ今度あたしも何か作って持ってくよ!」
「うん…」
よかった…変な事言っちゃいそうだったけど何とか誤魔化せた…
そうだ、いっそのことこのまま相談を続けてみよう…
「でもさー、そんなに夕御飯の事で頭がいっぱいになっちゃうって事は、まどかよっぽどパパの御飯が好きなんだよ」
「そ、そうなのかな」
「間違いないね!」
「…………うん、わたしパパの御飯大好きだよ。考えただけで胸が暖かくなって…」
「うむうむ」
「苦手な物が出るかもって思うとちょっと胸が痛くなっちゃうけど」
「あはは!なにそれ、それってまるで
恋してるみたいじゃん!」
759 名前:758続き[sage] 投稿日:2011/11/14(月) 23:10:42.40 ID:n/NR0Z+K0 [4/5]
「…えっ?」
恋…?
「まどかはまだまだ色気より食い気なんだねー」
恋…えっ、でもこれは夕御飯じゃなくてさやかちゃんの事を考えてる時に起きるんだよ…?
「こんなんじゃいつまで経っても浮いた話は期待できないねー…まぁ、まどかはあたしの嫁なんだけど」
じゃあ、わたしは、さやかちゃんの事が…好き、なの?
トクン…
「あ…」
「まどか?」
「っ!?」
「また考え事?もうまどかはほんと食いしん坊さんだなぁ」
「あっ、うっ…」
さ、さやかちゃんの顔まともに見られない…わたし、だってわかっちゃったから…
わたしは、さやかちゃんに恋してるんだって…
「さ、さやかちゃん!ごめんね、わたし急用思い出しちゃった!わ、悪いけど今日はここでさようなら!!」
「えっ、ちょっ、まどかー!?」
わたしは、戸惑うさやかちゃんを無視して逃げるようにその場を後にします…
今のわたしは、何を言っちゃうかわからなかったから…
「はぁ…はぁ…!(わたしはさやかちゃんが好き、わたしはさやかちゃんが好き、わたしはさやかちゃんが…)」
心臓の鼓動が止まりません…やっとわかったこの感覚の正体があまりにも予想外で…上手くコントロールできません。
「さやかちゃん、好き…」
言葉にすればドキドキ以上に嬉しくて、さやかちゃんの笑顔を思い浮かべると切なくなって…
「…わたし、なんで、こんな…うぇ…うぇぇぇぇぇん…」
ようやく訪れたわたしの初恋…でもそれは…さやかちゃん相手には絶対に叶わないもので…
「さやかちゃんっ…さやかちゃんっ…!好き、好き、なんだよわたし…さやかちゃんが女の子として好、き…」
わたしは泣きながら、当分大好きなパパの御飯が喉を通らないんだろうなぁ…とのんきに感じたのでした…
最終更新:2011年11月29日 08:20