85 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/11/18(金) 03:28:19.48 ID:N9oDf8XU0 [2/3]
あの子と出会ったのは、小学5年生の春だね。
(しか…め?変わった名前だな)
「鹿目(かなめ)まどかです」
(あ、あれでかなめって読むんだ…ふーん…可愛いけど大人しそうな子だな…)
それがあの子の第一印象。
あの子ってば、ほんとに大人しくてね、休み時間でも誰とも話さずに窓の外ばっかり見てたんだよ。
ずっと一人ぼっちでいるから、放っておけないって気持ちもあったけど、
あたしその頃、心から通じ合ってる友達っていないんじゃないかなって変なこと考えちゃっててさ、
一人ぼっちだったあの子に自分と似てるなって妙なシンパシーを感じちゃったわけ。
え?ガラじゃないって?もー!こう見えてもさやかちゃんは繊細なんだぞ!
…だから、気になってしかたなかったんだ。
でも、
「さやかーサッカーやろうぜ!」
「お、おう!」
って感じで、話かけるタイミングが掴めないまま何日か過ぎちゃった。
86 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/11/18(金) 03:28:41.24 ID:N9oDf8XU0 [3/3]
それである日ね、登校してるときにあの子、ランドセルの中身全部ひっくり返して転んでたの見つけてさ、
あの子には悪いけど、これは声をかけるチャンスって正直思ったね。
「大丈夫?」
って声かけて、散らばった物をハンカチで拭いてあげたんだ。
そしたらあの子、泣きだしちゃうからびっくりしたよ。
なんとか泣きやませたらさ、
「鹿目まどか…です」
だって。
あの子ひどくない?あたしと同じクラスだったのに、あたしのこと知らないんだもん。
だから、
「知ってるよ。つか、同じクラスなんだけど」
って言ってやったよ。
「…え」
って目を白黒させてて面白い顔だったなぁ。あの子は昔からどこか抜けた感じだった。
「美樹さやか。よろしく」
それで自己紹介して手を出したら、あの子握り返してくれてさ、ニコって初めて笑ったとこ見たの。
ほら、漫画とかであるじゃん?急に世界が色づくって奴。
あの頃、微妙に灰色がかったあたしの世界がパァッってなるのを感じた。
それからあの子…まどかを大好きになるのはあっとういう間だったなあ。
へこんでるときもまどかの傍にいると元気出てくるし、
不思議と何でも話せて、恭介のことも話したのはあの子が最初。
あたしが泣くとよく一緒に泣いちゃったりもしたなあ。
他にも色んなことあったよね。恭介と仁美…あんたのこととか。
それでも、まどかはずっとあたしの傍にいてくれてさ。あたし達の仲直りのために頑張ってくれて。
ほんと、すごいよね、まどかは。落ち込む度に何度あの子に助けられてきたのか、わかんないや。
あっ、もちろんあんたも大事な友達だけど、まどかはそういうのとは違くてさ…なんていうか…
一番…大事な人。うん…今ならハッキリそう言えるよ。
今日言ったことは、まどかには内緒ね?聞かれたらあたし恥ずかしくてきっと死ぬから!
そりゃ何でも話せるって言ったけど、それとこれとは別だってば!
20XX年 11月某日 美樹さやか
インタビュアー:志筑仁美
最終更新:2011年11月30日 09:18