2-450

450 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/06/10(金) 21:16:30.42 ID:MPofgOaVO [1/4]
話の流れをぶったぎり、今日も1日1まどさや!
>>434-437の続きです!


グー…

「「あ…」」

あの後、しばらく続いていたまどかとさやかのじゃれあい。それに終わりを告げたのはさやかのお腹から発せられた空腹を訴える音だった。

「ご、ごめんねさやかちゃん。私、看病しに来たのにはしゃぎすぎちゃった…」

ようやく自分がここにいる理由を思い出したのだろう、まどかは顔を赤くしてさやかから離れる。一方のさやかもお腹が鳴ったのが恥ずかしかったようで、顔を赤くしていた。

「あぁ、いいよいいよ。さっきのでけっこうまどかから元気をもらったし。それよりさ…手間かけさせちゃって悪いけど何か食べるもの持ってきてくれない?」

この時さやかは冷蔵庫に何かしらあるだろう…それぐらいの気持ちでその言葉を口にしていた。お腹が空いている以上何も食べなければ薬は飲めないから、親が何か置いていってるはずだと。

「うん、ちょっと待っててね!すぐにお粥作ってくるから!」
「えっ」

しかし何をどう勘違いしたかまどかはさやかの言葉を【ご飯を作ってほしい】と解釈したらしい。いくらなんでもそこまでさせる気はなかったさやかは立ち上がって部屋から出ていこうとするまどかを慌てて呼び止めた。

「ま、まどか!あたし、そこまでさせる気は…」
「私達友達なんだから遠慮はなしだよ!さやかちゃんはいつも私を助けてくれるからこんな時くらい甘えてほしいな」

常々まどかに「遠慮しないで甘えて」と言い続けてきたさやかとしてはそう言われてしまうとぐうの音も出ない。まどかは口調こそ柔らかいが譲る気は全くないらしいし、結局さやかには折れるしか選択肢はなかった。

「…わかった。じゃあ、お願いします」
「任せて!頑張って美味しいの作るからね!」

いつも頼っているさやかに頼られたのがよっぽど嬉しいのだろう、まどかは未だかつてないほどの自信をみなぎらせ部屋を後にする。
まどか、張り切ってるなぁ…とその背中を見送ったさやかは、ふとある疑問が頭に浮かんだ。

「……まどか、料理出来たっけ…?」


451 名前:450続き[sage] 投稿日:2011/06/10(金) 21:18:18.03 ID:MPofgOaVO [2/4]
††

「…………」

数十分後、さやかの目の前に現れたのは彼女の記憶にある【お粥】とは到底似ても似つかない代物だった。水気がまるでなかったり、ところどころ焦げているのはもはや未知の領域ですらある。

「ううっ…さやかちゃん、ごめんね。私、まさかお粥も作れないなんて思わなくて…」
あれだけ自信満々だった手前合わせる顔がないのだろう、まどかはさやかと目を合わせようとしない。
しばらくそのお粥(?)を凝視していたさやかだったが、意を決したのかれんげを手に持つと一口分すくい…口に運んだ。

「あ…」
「…………」

モグモグと黙ってお粥(?)を咀嚼するさやかにまどかは審判を待つ罪人のような気分になってくる。そしてさやかがゴクリとお粥(?)を飲み込んだ音が、まどかにはとてもよく聞こえた気がした…

「さやかちゃん…ど、どう?」
「お粥っていうか…おじやだね、これ」
「えっ…それじゃ…」
「お粥としては失敗、でもちゃんと食べられるよ」

さやかは笑ってどんどんお粥ならぬおじやを消費していく。そして空腹も手伝ってか、あっという間に器は空になった。

「ごちそうさま!」
「お粗末様でした」

さやかが無理をして食べ続けていたわけではないとわかり、まどかの頬が安堵で緩む。当初の目的とは違ったものの、さやかを満足させるのは成功したようだ。

「美味しかったよまどか、さすがあたしの嫁!ご褒美になでなでしてしんぜよう!」
「くすぐったいよ、さやかちゃん…」

えらいえらいと頭を撫でてくるさやかの手にまどかはこそばゆさを感じつつも、止めようとはしない。
親友に喜んでもらえたという事実からくる抑えきれない嬉しさにまどかの頬はますます緩んでしまい、止めることなど考えられないのだ。

「まっ、こういう時はあーんで食べさせてくれるともっとよかったけどね」
「そ、そんなの恥ずかしくて無理だよぉ」
「にゃにおー!あたしにされるときは喜ぶくせに、するのは恥ずか…ごほっ…ごほっ!」
「さやかちゃんっ!?」

しかしどれだけ元気そうに見えても今のさやかはやはり病人。はしゃぎすぎたせいで激しく咳き込んでしまうさやかに、まどかはこれ以上ここにいたら無理をして風邪を悪化させてしまうと瞬時に悟った。


452 名前:451続き[sage] 投稿日:2011/06/10(金) 21:19:55.71 ID:MPofgOaVO [3/4]
「さやかちゃん、これ以上悪くなったらいけないし、そろそろ寝た方がいいよ。私もそろそろ帰るね」
「こほっ…そ、そうだね…けほっ、こほっ…薬飲んで大人しく寝るよ…」

さすがにさやかも引き止めようとは思えず、まどかの提案を素直に了承する。薬を飲んで横になると、立ち上がったまどかに苦笑気味に謝罪した。

「ごめんね、気遣わせちゃって」
「いいんだよ、さやかちゃんは病人なんだから。それより1人で大丈夫?」
「あー…大丈夫。寝ちゃえばそのうち親も帰ってくだろうし」

本当はまどかとのやり取りが楽しかった分、帰ってしまうとわかると今まで以上の寂しさがこみ上げてきたりしてるのだが、さやかはそれを面には出さない。

(まどかに風邪移したくはないしね…)

そんな事を考えているとさやかは手首に違和感を感じて咄嗟に手首を見てみる。そこには見覚えのある桃色のリボンが巻いてあった。

「えっ…これ…」

さやかがまどかに視線をやると彼女は片方だけ髪を垂らした状態で笑っている。
そう、さやかの手首に巻かれたのはまどかの髪を結っていたリボン、その1つだったのだ。

「なんで…」
「それがあれば私を近くに感じられると思って…さやかちゃんすごく寂しそうな顔してたよ?」

どうやらまどかはさやかの隠していた寂しさをあっさりと見破っていたようで。親友が自分の心の内に気付いてくれた…嬉しくて思わず泣きそうになってしまったさやかは、慌てて布団を被る。

「あ、ありがとうまどか…治ったらすぐに返すから!」
「うん、待ってる。早く元気になってね」
「ま、任しときなさい!」
「ふふっ…じゃあ、私行くね。お大事に、さやかちゃん」

最後にクスクス笑った気配を残して、まどかは帰っていった。
再び1人になったさやか…しかしリボンを巻いた手首から伝わるほのかな温かさに寂しさなんか全く感じない。

「すごいやこれ…まるで、まどかが手握ってくれてるみたい…」

安心感からさっきまでの比じゃないくらいの眠気がさやかを襲う。親友の温もりをすぐ傍に感じている事に心からの笑みを浮かべ、さやかは眠りについたのだった…


453 名前:452続き[sage] 投稿日:2011/06/10(金) 21:24:43.02 ID:MPofgOaVO [4/4]
††

それから数日後、さやかは恐ろしいまでのスピードで風邪の緒症状を脱していた。咳こそまだ少し残っているものの、学校に行く分には支障はない。

「これのお陰なのかな…」

学校に行く支度をしていたさやかは机の上に丁寧に畳まれているリボンを手にとる。一見何の変哲もないただのリボン…しかしさやかにとってはまるで神の加護を受けたかのような神々しさすら感じるリボン。
これを巻いていると、自分が守られてる…そんな錯覚を覚えたものだ。

「まど神様のご加護ってやつかもね…」

会ったら早速まどかをまど神様と呼ぶことにしよう、そんな事を考えながら…さやかはリボンを手首に巻く。
もう少しだけ、このリボンから伝わる温もりを感じていたかったから。

「よし、さやかちゃんは今日も元気いっぱい、夢いっぱい!まど神様のご加護もあるし、今日のあたしは怖いものなしだ!」

行ってきます!とさやかはいつも以上の元気さで家を飛び出していく。手首に巻かれた桃色のリボンは、さやかが元気になったことを祝福しているかのように風にそよいでいるのだった…

「まどか、仁美、おはようーーーーっ!!」


以上です!これで十日目な1日1まどさや!
さやかの風邪ひき話、後半はお粥ネタとリボンネタです。これがどうしても書きたかった!
唯一無念なのはお粥フーフー→あーんのコンボが出来なかった事ですが…それはいずれさやかからまどかにやってもらいましょう
それでは失礼いたしました!

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最終更新:2011年08月15日 21:31
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