15-402

402 名無しさん@お腹いっぱい。 sage New! 2011/11/30(水) 02:49:15.01 ID:0igujgBJ0
348
ほむほむの照れ具合が絶妙v

版権まどさや+マミさんと聞いてまた投火させていただきます。スケート一切関係無いけど…。


[魔法少女の休日]

とある金曜日の朝、巴マミは尋常ではない身体のだるさを感じていた。ここ一週間程無理をしたからだろうか。
ベッドから起き上がるだけでかなりの時間を費やした気がする。咥えた体温計が標す数字は「39℃」。

「(どうりで身体が重い筈だわ…)」

とてもではないが学校になど行ける状態ではない。学年は違うが、同じ魔法少女仲間にだけメールは送っておいた。
かと言ってあまり大きな心配は掛けたくないので「今日は風邪気味なので休みます」と一言だけ。
少し動いた為か、直の事身体の重さが増した。脈打つ様に頭痛の波が押し寄せて来る。
体調を戻す為と苦痛から逃れる為、とにかく眠りに就く事にした。

………♭♭♭………

どれくらい経っただろうか…マミは後頭部に冷んやりとした違和感を感じて目を覚ました。

「………えっ…???」

頭を少し動すとタオルに包まれた氷枕が視界の隅に入る。
マミにはこの状況が全く理解出来ない。一人暮らしの彼女の家に別の人物が現れたとしか考えられないからだ。
腑に落ちない現在の状況について暫く考えていると、ドアノブの回る音が耳に入った。

「あっ、マミさんおはようございますっ」
「…って言ってももう夕方ですけどね~」

入って来たのは見慣れたピンクとブルーの後輩魔法少女、鹿目まどかと美樹さやかだった。

「あら、貴方達だったのね。
 鍵の掛かった家に入れるなんて魔法少女くらいのものだから…やっとこの状況が理解ったわ。」
「これたぶん不法侵入ですねどね…。」
「あはは…。」

法律上はそうかもしれないが、マミにとっては二人が駆け付けてくれた事が何より嬉しかった。
学校帰りに立ち寄ったのだろう、マミは時計で時間を確認して納得した。

「マミさん、お粥の用意が出来てるのですぐ暖めますね。
 お家のキッチン勝手に使わせてもらいました。」

二人がマミ宅に浸入したのは少し前の様だ。いつ主が目を覚ましても良い様、前もってお粥を作っておいたのだろう。
マミはまどかが運んで来たお粥に早速手をつけ始めた。

「鶏肉と白菜、卵が良いバランスね。とても美味しいわ鹿目さん。」
「えへへ…ありがとうございます!」
「病人の私にも丁度良いくらいの薄味に仕上がっているんだもの。」
「薄味の方がいいんですか?」
「えっ…?」

マミの絶賛を何故か聞き返したまどか。



さて、ここで二人の会話に矛盾が生じた。


403 名無しさん@お腹いっぱい。 sage New! 2011/11/30(水) 02:51:02.41 ID:0igujgBJ0
「このお粥、鹿目さんが作ったんじゃないの…?」
「あっ…!」

口元に手を当てるまどか。動揺が表情にモロに表れてしまい、決定的な墓穴を掘ってしまった。
マミは後方に居るさやかに目線を移すと、途端にさやかもギクリと顔を強張らせる。

「ふふふ…成る程、そういうワケなのね。」
「まどかの馬鹿…あっさりバレちゃったじゃん…。」
「だって、薄味だなんて知らなかったんだもん! それにさやかちゃんだってわたしが料理するの止めたじゃない!」
「お粥が焦げたって泣き付いて来たのはまどかでしょ!
 包丁持つ手は危なっかしいし、もしあんたが怪我でもしたらどうすんのよ!」
「―――…お願い…静かに…して…」

勃発した痴話喧嘩を本来なら叱って止めるマミだが、今日の体調では到底無理な話。
頭を抑えて唸るマミに気付いたまどかとさやかは慌てて我に帰った。

「「すみません」」

………♭♭♭………

「まさか美樹さんが作ったなんて…ってごめんなさい。女の子に対して失礼よね。」
「いやー、まどかの方がイメージ合ってる気がしたもんで。」
「ホントはわたしがお粥作ってたんですけど…焦げちゃって…。
 さやかちゃん凄いんですよ。この前だって手作りハンバーグにロールキャベツ―――」
「わーっ!わーっ! マミさんの前だと霞むから勘弁してよ…。」
「あらあら、彼女の手料理なんて鹿目さんが羨ましいわね♪」
「ぅぅぅ…/// あ、あの!デザートにゼリーとアイス買って来たんで食べてください!」

耐えかねたさやかは自分に向けられた矛先を逸らし、本題のマミに軌道修正した。
冷蔵庫に置いておいたゼリーを持ち出したのだが…

「そんじゃ、患者さんのマミさんはあーんしてください♪」
「み、美樹さん…!?」

さやかは既にゼリー片手にスプーンを持っていた。
お粥の時は不測の事態でタイミングを損なったが今度はそうは行くまいとばかりに。

「さやかちゃん!わたしもわたしも!」
「風邪うつるかもしれないからまどかはうちに帰るまで我慢しなさい。」
「むぅーっ…じゃぁわたしもマミさんにあーんする!」
「ええっ!? ちょ、ちょっと鹿目さんまで…!」

結局マミは、ゼリーが無くなるまで二人に交互にあーんをさせられるのだった。
先程むくれていたまどかもすっかり機嫌を取り戻している。


404 名無しさん@お腹いっぱい。 sage New! 2011/11/30(水) 02:52:03.05 ID:0igujgBJ0
「えへへっ♪ これでさやかちゃんとおあいこだよっ。」
「よしよし、我慢したご褒美になでなでして進ぜよう~♪」
「相変わらずね…二人共。
 よし、こうしては居られないわ!二人のお陰で元気が出たんだもの! 早速頑張らなくちゃ!」
「「え"」」

拳を握り、突然ガバッと勢い良くベッドから出て立ち上がるマミ。
本人は回復したつもりでもまだ熱が引いた訳ではない。途端に力無くよろけてしまった。

「―――…あ…あらぁ…?」
(くらぁ~―――ボテッ)

「わあぁっ!マミさんまだ無茶しないでください~!」
「今日はお休みですよ!魔法少女マミさんは休日です!」

二人はすぐさまマミをベッドに戻し布団を掛け直した。

「マミさんはもう少し自分に優しくした方がいいかなって…思います。」
「やれやれ…ホント頑張るのは風邪治してからにしてくださいね。」
「優しい後輩が二人も居るんだもの…つい良い格好したくなっちゃうわ…。」
「今日はこの辺りはほむらと杏子が見周ってくれてますよ。」
「そう…。鹿目さん、美樹さん、今日はありがとうね。
 いろいろお話出来て凄く楽しかったわ。私はそろそろ寝ようかしら…。」
「じゃぁ、マミさんが寝るまでわたし達が一緒に居てあげますね。」

マミの手をまどかとさやかが握る。二人にはマミのやや高い体温が、マミには二人の存在を暖かく感られた。
二人が見守っていて安心したのか、マミはすぐに眠りに落ちたのだった。

―早く元気になってくださいね―
―一人で抱え込まないでくださいね―
―美味しいお菓子と紅茶、また楽しみにしてます―
―お休みなさい、マミさん―

………♭♭♭………

魔女退治を終え、二人の魔法少女はビルの上に佇んでいた。

「ところで杏子。どうして私と貴女がこっちに残っているの?」
「だってよ、マミ以外でマトモに飯なんて作れるのさやかくらいしか居ねぇだろ。
 まどかは相変わらずさやかにべったりだし…アイツ達離すのも気が引けるからな。」
「…そうね」

それだけ返すと、ほむらは遠くへ視線を向けた。すぐさまそれを追い掛ける様に杏子が訊ねる。

「何だよ、寂しいのか?」
「少し…ね。」
「へッ、何が少しだよ…涙目じゃねぇか。今夜は一緒に居てやるよ。一人ぼっちは寂しいもんな…」
「………うん…。」

………♭♭♭………


405 名無しさん@お腹いっぱい。 sage New! 2011/11/30(水) 02:53:30.65 ID:0igujgBJ0
「ごめんね…今日は急に怒ったりして…。
 せっかくさやかちゃんがわたしを立ててくれたのに、駄目になっちゃったのが悲しくて…。」
「そっか…いいよ、気にしてないから。」
「もしね、わたしが風邪引いたら…さやかちゃんお見舞い来てお粥作ってくれる?」
「そりゃ勿論行くだろうけど。―――ってあんた何やってんの!?」

冷たい風が吹く中、まどかはおもむろに上着を開けリボンを解き襟をはだけていた。

「ちょ、ちょっとまどか!///」
「えへへっ…風邪引いたら看病してもらえるかなって…。」
「馬鹿…そういう大胆な事はあたしの部屋でやりなさいっての。」

襟元で露になった鎖骨覆う様にしてさやかはまどかを抱きしめる。
焼き餅と悪戯心に揺れるまどかが愛おしくてたまらなかった。

「看病か…あたしの嫁は何をして欲しいのかな?」
「口移しでご飯とか、お休みのちゅーとかかな。」
「…それ絶対風邪うつるでしょ!」
「うつったらね、今度はわたしがさやかちゃんを看病してあげるから大丈夫だよっ♪」
「…今度お粥の作り方教えとくわ」

いつかまどかの手料理も食べてみたいな…そんな事を考えながらさやかはまどかの服を着直させていた。

「まどか、今日はうちに泊まるんでしょ。何が食べたい?」
「さやかちゃん手作りのお粥が食べたいなー。」
「あっはっは、それ言うと思ったよ。ほんじゃこれから具を買いに行きますか!」
「わ~い、さやかちゃんとお買い物♪」
「元気なあたし達が食べるんだから、ちょっと豪勢にしてみるのもいいかもね。」
「さやかちゃん、明日はお休みなんだよ。今からたくさん体力付けとかなきゃ!」
「言うなぁ~この嫁は! 一応言っとくけど、手加減無しだよ…?」
「さやかちゃんの為なら…いいよ///」

どうやらこれから訪れる夜は長いものになるらしい。
二人は夜のデパートへと足を運んだ。

[魔法少女の休日]

おしまい。
最後まで読んでくださった方ありがとう。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2011年12月06日 19:14
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。