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508 名無しさん@お腹いっぱい。 sage New! 2011/12/01(木) 01:12:59.05 ID:fuX1CJIB0
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うんうんまどっちは光ですよね♪乙です!
水と光っていうと回復なイメージですね。合成術とか向いてるんじゃないだろうか。


冬の学校行事でこんなのあった気がして私も投火させていただきます。
※話の都合上たぶん魔法少女の力は無し。

[マラソン大会]

かなり肌寒くなってきた空の下、見滝原中学校の全校生徒達はグランドに集まっていた。
冬の学校行事であるマラソン大会が始まるのだ。
季節に似合わぬ半袖生足の体操着の姿で、生徒達は一斉にスタートする。

「ぅぅ~…やっぱり寒いよぉ~…」
「大丈夫だって。雪が降ってる訳でもないんだし、走ってたらすぐあったかくなるって。」
「大丈夫よまどか。苦しくなったら遠慮無く言いなさい。」
「そうですわ。わたくし達四人も居るんですから、困った時は助け合いましょう。」

鹿目まどか、美樹さやか、志筑仁美、暁美ほむらはグループで行動を共にする事にした。
マラソン大会は順位を競う事が目的ではないので、生徒は各々の完走だけを考慮すれば良いのだ。
身体能力に優れるさやかとほむらが先導し、仁美とまどかが付随するといった次第だ。

順調に進み、コースも四分の三程に差し掛かった辺りでアクシデントは起こった。
(ワンワンワン!!)
川原沿いの土手道を進んでいた所、首輪が付いたままの大型犬が乱入して来たのだ。
飼い主が油断した隙にリードを放してしまったらしく、後方に追いかける主の姿があった。

「―――…えっ!? 犬ですわっ!」
「わわわっ!」

タイミング悪く進路上で交錯したまどかに大型犬が襲い掛かる形になる。
慌てて回避を試みた為にまどかは道路脇でつまづき、足を踏み外してしまった。

「きゃぁっ…!!」
「―――まどかっ!!」

(ガシッ!)
そのままでは上体から斜面に転落するところだったが、既の所でさやかが抱き止め難を逃れた。

(グキッ...!)
さやかが傾斜の部分に足を着いたと同時に、鈍く響いた嫌な音をまどかは聞き逃さなかったが…。


509 名無しさん@お腹いっぱい。 sage New! 2011/12/01(木) 01:14:25.07 ID:fuX1CJIB0
「すみません!大丈夫ですか!?」
「ええ…。」

犬に噛み付かれない様にほむらが犬を背中から上手く捕らえていた。
四人が無事な事を確認すると、飼い主は深く何度も頭を下げてから立ち去った。

「大丈夫だったまどか?」
「ありがとうさやかちゃん。さやかちゃんこそ足すりむいたりしてない?」
「あたしは大丈―――…っ!?」

立ち上がろうとして左足から崩れるさやか。
咄嗟に無理な体勢でまどかを抱えた為に左足首を捻ったらしい。

「さやかさん大丈夫ですの…!?」
「ほら、つかまりなさい。辛い様ならゴールまで肩を貸すわ。」
「ほむら…ありがと…。」
「まどかの大切な人を放ってはおけないもの。」

遠回しな物言いとは裏腹にその手は優しく心強いものだった。
さやかは腕を借りて立ち上がろうとしたが、左足に全く力が入らず再度崩れ落ちてしまった。

「ちょ、ちょっとさやか…!?」
「………嘘…なんで…力…入んないの…!?」

尚も繰り返し立とうとするが、捻った左足に激痛を感じてさやかは顔を歪めた。

「さやかさん、お気持ちは理解りますが…無理はいけませんわ。」
「もう少しで学校が見えると思うけど…歩けないのなら棄権するしか無いわね…。」
「………。」

悔しそうなさやかを見てまどかは酷く自己嫌悪に陥っていた。

(わたしの所為だ、わたしが転びそうになったから…)

自分に出来る事は無いだろうか? 何とかしてさやかの力になりたい…。
頭の中で必死に模索した末、まどかはおもむろにさやかの背中と膝の裏に手を回した。

「へ…!? ちょ、ちょっとまどか!何やってんの!?」
「わたしがさやかちゃんをゴールまで連れて行くよ!」
「………これって…」
「所謂"お姫様抱っこ"ですわね」
「だからってこれはないでしょ~!?」

手を回し一気にさやかを抱え上げたまどか。
かなり恥ずかしい体勢にされたままでさやかは猛抗議する。

「駄目だよさやかちゃん、歩けないんでしょ? わたしが頑張るから一緒にゴールしよっ!」
「やだよ!流石にこのカッコは恥ずかし過ぎるわよ!」

暴れるさやかを宥め再び走り始めるまどか。その速度に仁美とほむらが合わせる。
さやかは抱きかかえられている事に加え、まどかの肌が自分の肌に直に触れているのを感じて耳まで真っ赤だった。


510 名無しさん@お腹いっぱい。 sage New! 2011/12/01(木) 01:15:16.46 ID:fuX1CJIB0
程無くして校内のグランドが見え始めて来た頃…
仁美とほむらは目を合わせていた。このままでは共に危険だ、自分達にまで危険が及んでしまう。
二人には申し訳無いが、即時この場を離れるべきだと合意。そこには密かに二人だけ意思の疎通があった。

「わ、わたくし…ちょっとお手洗いに行きたいので先に失礼致しますわ!」
「まどか…貴女が選んだ大切な人を支えてあげてね。」

ほむらはまどかの肩をポンと叩き、仁美と共に薄情にも走り去ってしまった。

「ちょ、ちょっと仁美ぃ!ほむらぁー!?助けてよー!」

先程の事故と、さやかを抱えるまどかのスピードもあってまどかはかなり後方に位置していた。
よって大多数の生徒は既にゴールし、校内のグランドに待機していた訳である。

(キャアァァ!?)(ヒューヒュー!)
グランドに敷かれたコースに入ると同時に聴こえてくる幾多の驚きと歓声。

「鹿目さん頑張れー!
「美樹俺と代われー!」
「さやさや羨ましいー!」
「まどっちかっこいいー!」
「さや姫こっち向いてー!」
「お前等結婚しろー!」

それはもう冷やかしと黄色い声援が飛ぶわ飛ぶわ。注目の的以外の何者でもない。
まどかとさやかは今になって仁美とほむらが逃げた理由を痛い程体感するハメになった。
巻き添えを避けたいが為…というよりは敢えて"二人だけにする"という悪戯心も含まれていたかもしれないが。

「ちょ…ちょっとこれって…! みんな見てるよ!降ろしてよ!降ろしてってば!!///」
「うぅぅぅぅぅ~っ!!//////」

さやかは慌てて顔をまどかの控えめな胸に埋めるも既に時遅し。
まどかは足を止める余裕も、さやかを降ろす余裕も全く無くただひた走り続ける。
ずっと抱えていた為にグランドコース中程で正直バテてきたが、恥ずかしさでそれどころじゃなかった。

ゴールと同時に瞬くシャッターの音。
そこにはカメラを持つ仁美と、申し訳なさそうに舌を出すほむらの姿があった。


―後日、廊下の掲示板前―
校内新聞にマラソン大会の写真が掲載されていた。一面に大きく二人の写真が。

"大きな歓声と共にゴールに迎えられる二人"

「………///」
「………///」

[マラソン大会]

おしまい。

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最終更新:2011年12月06日 19:17
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