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886 ローカルルール追記議論中@自治スレ sage 2011/12/05(月) 01:39:08.94 ID:3i6YvfgJ0
ピアノと言い喧嘩と言い最早公式設定クラッシャーと化してるな私は…。今更後悔なんてある訳無い。
膝枕と聞いて何となく書いてマミたし。


[私の世界を守る為]

すっかり本格的な冬が始まった12月中旬。私達学生にとっての山場である期末テストが無事終了した。
今日は試験最終日であり、生徒達は午前中授業のみで学校を終え帰路に就いていた。

雑談の末、私達は期末終了の祝いついでにゲームセンターで遊ぼうという話になった。
昼食を取ろうと近場のファーストフード店に立ち寄ったが、昼時もあって生憎満席を告げられてしまう。
結局私達は持ち帰り用を注文し、隣の公園で昼を済ませてから遊ぶ事になったのだ。

「いやぁ~…こんなに充実したテストって生まれて初めてだわ。」
「さやかちゃん凄く頑張ってたもんね。」
「まぁ!さやかさんが赤点無しなんて大変ですわ! 今すぐ傘を買いに行きましょう。
「まどかぁ~…仁美があたしをいぢめるよ~…。」
「あははっ、折り畳み傘で良かったら持ってるよ?」
「うがーっ!まどかだけは…まどかだけは信じてたのにー!さやかちゃん泣ちゃうぞー!」

まどか、さやか、仁美…彼女達の平凡な日常を目にするだけで、私の中の消えない蟠(わだかま)りが胸を刺す。
勿論自分がまどかの一番になれなかった嫉みもある。でもそれは甘酸っぱい失恋程度で大したものじゃない。

「今回はほむらが一緒に居てくれたから良かったよ。」
「仁美ちゃんは忙しそうだから仕方ないよね…。」
「お力になれないのは残念ですが、頼れる新しい仲間が出来た事に感謝ですわね。」

私は時を遡る度に、幾度となくまどか以外を蔑(ないがし)ろにした。
見知らぬ魔法少女に襲撃された時なんて、躊躇い無くさやかや仁美を見捨てようとしたのだ。
結果としてまどかの不満を買った挙句、何よりも守ろうとした彼女まで失ったのだ。
仮にまどかだけを救い他を全て失ったとして、果たしてそれがまどかの望む世界だったのか…?
自己中心的な考えを酷く悔やんだ。罰が当たるとは正しくこの事だろう。

「私は…別に大した事はしていないわ。」

罪悪感ばかりが脳裏に蘇り、合わせる顔が無くて…私は顔を背けた。
今更貴女達に何て謝ればいいのよ…。

「ほむら、まだ気にしてるの?」
「―――っ!?」

私の心を見透かした様なさやかの一言に動揺を隠せない。
ワルプルギスの夜との最終決戦前に、まどかは勿論、さやかにも自分の過去は話しておいた。
だからと言ってそうまで他人のモノローグを完全に読み当てるなんて…。


887 ローカルルール追記議論中@自治スレ sage 2011/12/05(月) 01:39:52.99 ID:3i6YvfgJ0
「ほむらちゃん、辛い事は一人で抱え込んじゃ駄目だよ?」
「そだよ。苦しいのはあんただけじゃない…あたしも、まどかも同じだったんだからさ。」
「えーっと…何のお話ですの?」

迂闊だった…志筑仁美は紛れも無い一般人。私に感傷に浸る暇は無かった。
まどかは慌てて言い訳を考えていたが思い浮かばず混乱したのか、顔が面白い事になっている。
でもこんな状況でも、自然体でこの場を取り繕おうとしたのがさやかだった。

「まぁその…あたし達とほむら、前にちょっと喧嘩しちゃってさー。
 もう仲直りはしたんだけど…ほむらの奴、友達想いだから未だに気にしちゃってる訳ですよ。」
「あらあら、ほむらさんはデリケートなのですね。そこが萌えですの?萌えなのでしょうか~?」
「ってこらー!それあたしの台詞じゃーん!」

"友達想い"…その言葉にまた私の胸が痛くなる。
置き換えて誤魔化すさやかにその説明は間違いだと言いたかった。
…違う。間違いだと思ってるのは私だけなのかもしれない。
心の何処で私もきっとそうであって欲しいって望んでいたのかも…。

「ほむらちゃんホントは優しいもんねー♪」

まどかが両手で私の右手を握り締めて嬉しそうに言う。

「テ、テスト勉強なんて…私はただ付き添って自分の分を進めただけよ!
 本当に頑張ったのは貴女達で…私はただ……」
「そんなに照れなくてもいいじゃん~! せめてお礼くらいは言わせてよ。」

今度はさやかが両手で私の左手を握っていた。
実際、学力的に一番厳しいさやかをフォローしたのは私と言える。
かと言ってまどかも楽観視できる程ではないから二人同時に出来る限りの手解きはしたつもりだ。

「ちょ、ちょっと! やめなさい二人共…!」
「羨ましいですわね。それでは仲直りの記念にわたくしからも…。」

背後から頭を撫でられる感覚…この場だと悪乗りした仁美以外には在り得ない…。

「貴女達という人は…またそうやって…人をからかって…」
「ほむらが一人で悩むのが悪いんだぞー!」
「そうだよ、独り占めなんてあんまりだよ。」
「真っ赤なほむらさん、とってもキュートですわ♪」
「~~~っ!!」

慣れない羞恥心で、仁美の言う通り、きっと今の私は耳まで真っ赤なんだろう…。
でも…何故か不思議と、こうしていられると心の痛みが和らいでゆく気がする。
過去の清算はできないし傷は二度と消えない。それでも…癒す事は出来るのかもしれない。
"仲間"って大切なのかな…。こんなに心地良いものなら、もっと早く気付いていれば良かったのに…。



888 ローカルルール追記議論中@自治スレ sage 2011/12/05(月) 01:40:35.08 ID:3i6YvfgJ0
………♭♭♭………

「うーん…12月にしては随分あったかいなー。」
「こんなに綺麗に晴れてるのも珍しいよね。」

各々食べ終え、さやかはベンチに腰掛けて伸びをしていた。その隣には指定席の様にまどかの姿。

「なんか眠くなってきたなぁ~…。」
「ええっ!? これから遊ぶんでしょ? 寝ちゃ駄目だよさやかちゃーん!」

私は知っている。まどかが誰よりもさやかを望んでいた事を。繰り返した時間軸の中で確信していた。
私はさやかに気付かれない様、こっそりとまどかに耳打ちをした。

「えっ? ほむらちゃ………ええっ…??? …う、うん…。」

だから私は背中を押した。
自分が後悔しない様に、まどかを後悔させない為に。

「さやかちゃん…。あのね…お昼寝するんだったら……」
「どしたのまどか?」
「………こことか…どうかな…?」

赤面しながらまどかが指差したのは、スカートから伸びた自分の健康的な足だった。
スカートを伸ばし直す仕草がとても初々しくて、まるで恋人にするそれの様だ。いや、実際そうなのだけど。
横から仁美が私に何かを言おうとしたが、私は人差し指を唇に縦に当てて彼女に静観を促す。

「えっ…と…それって…もしかして…?」
「あ、あのねっ……枕あった方が、頭痛くならないかなって。」
「へ!? そ、そんじゃ…お言葉に甘えて…。」

膝枕という夢の世界へ恐る恐る頭を降ろしてゆくさやか。
まどかの熱を感じると安心したのか、触れた瞬間にさやかの緊張した表情は解けた。
まどかがさやかの頭を優しく撫でると、戸惑いながらもさやかは気持ち良さそうに軽く首を捩(よじ)る。

羨ましい筈なのに、そんな様子を微笑ましく思ってしまう私が居た。
けど、まだまだ終わりじゃない。



889 ローカルルール追記議論中@自治スレ sage 2011/12/05(月) 01:41:21.25 ID:3i6YvfgJ0
「まどか、これを使いなさい。」
「え…これって…」

私は時と止め、僅かな時間でコンビニから購入した耳かきをまどかに手渡した。

「(ほむらさん、今日は随分と太っ腹ですわね。)」
「(友達が上手く行く為ならこの程度は当然よ。大切な仲間は私が守る。仁美、勿論貴女もね。)」
「(???)」

囁きながらの仁美との会話。意味は明確に伝わなくても構わない、意思だけでも十分だ。
言葉の疎通は完全ではないものの、意思の疎通はあった様で、私と仁美は膝枕の二人を静かに見守っていた。

「痒いところはありませんか~?」
「あはは!それ美容院でしょー。」
「えへへ…。痛かったら言ってね?」
「あ、うん…なんか…気持ち良い感じかな…。」

………♭♭♭………

「………………」
「………すぅ…すぅ………」

5分と経たない間にさやかはぐっすり眠り込んでしまった。
どういう訳かまどかも釣られてウトウトと眠っている。夫婦水入らずとはこの事ね。

「あらあら、お二人とも気持ち良さそうですわね。ゲームセンターはどうしましょうか?」
「仕方ないでしょう。食べたばかりもどうかと思うけど、喫茶店に予定変更でいいかしら?」

自らの膝を枕にし、さやかの頬に触れたまま幸せそうに眠るまどか。
まどかの暖かさと柔らかさを感じ心地良さそうに眠るさやか。
私は授業中用いていたストールを広げ、横たわるさやかの身体に置くと、仁美と共にその場を後にした。

まどか、今度は貴女以外もきっと守ってみせる。貴女が望む大切なもの、それは私にとっても掛け替えの無いもの。
仲間が居れば負けない、負ける筈がないわ。
それが私の戦う意味であり、見つけた新しい強さだから。"私の世界を守る為"の。

[私の世界を守る為]

おしまい。なんじゃこりゃー…。

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最終更新:2011年12月08日 21:16
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