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594 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/06/16(木) 04:28:12.69 ID:d8p6Yb8u0 [1/4]
まどかは悩んでいた。つい先ほど『こちら側』に迎え入れたさやかとひとしきり再会を喜び合った後、さやかは神妙な面持ちで
『これからはまどかと一緒にいたいんだけど、いいかな?』と切り出してきたのだ。

密かに想いを寄せているさやかのその言葉は歓迎したかったが、その申し出を素直に受けるわけにはいかなかった。
宇宙を構成するシステムと化したまどかと共に有るということは、永遠に近い時間を生きるということ。
さやかにまでそんなことを課したくはなかった…しかし、さやかも譲らなかった。

「あたしは周りが見えなくなってまどかに酷いことも言ったのに、それでもあたしを支えようとしてくれたよね…
 そして呪いをまき散らすはずだったあたしを救ってくれた。だから、今度はあたしの番だよ」
「だめだよそんなの…だって、だって終わりなんてないんだよ?わたしと同じ時間を過ごすって、辛いことなんだよ…」
「そっか、辛いんだ…じゃ、尚更だね」

さやかはまどかの腕を引き、そっと抱き寄せた。こんな細い身体で世界の全ての悲しみを背負うなんて…
自分がどれほどまどかの支えになるかわからない。でも、それでもまどかに今自分の想いを伝えなきゃいけない。
優しくまどかの背中を抱き、かつてもそうしてきたように頭を撫でる。

「同情や負い目だけで、こんなこと言ったりしない。ねぇまどか、あたし達今までずっと楽しいことも、
 悲しいことも、一緒に感じて来たよね?だからあたし、これからもまどかの傍で同じ想いを
 分け合っていきたいなって思うんだ…近すぎてわからなかったのかな、この気持ち。
 こんな時にならないと伝えられないなんて、あたしってほんとバカだよね…」
「うぅっ…ひぐっ…さやかちゃん…でも…でも……」
「ほんと、まどかは強情だよ…そうだね、こういうのはハッキリさせないとね」

595 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/06/16(木) 04:28:25.95 ID:d8p6Yb8u0 [2/4]
不意にまどかを引き剥がすように彼女を体から離す。
突然のことに呆然とするまどかと目があったが、さやかは躊躇わずに彼女の唇に自分のそれを重ねた。
まどかの驚愕に見開かれた瞳に自分が映っている。慣れないキスは長くは続かず、さやかは名残惜しそうに唇を離す。

「ねぇ、これでどうかな?あたしの『約束』、だよ」
「さやか、ちゃん……」
「あたしがまどかと一緒にいたいからそうするの。それじゃダメ?」
「そ、そんなことない!わたし、さやかちゃんと一緒にいたいよ…もうどこにも行かないで…!」

さやかは自分の胸に顔を埋め、縋りつくように泣きじゃくるまどかの髪をあやすように撫でる。
まどかと一緒に笑い合い、まどかが泣きたい時に涙を流せる場所になりたい。抱きしめる腕に力がこもる。

「大丈夫、あたしはもうまどかを置いていったりしないよ…
 それにこんな泣き虫な神様ほっといたら、地上は年中どしゃ降りになっちゃうもんね?」
「も、もうさやかちゃん…わたしそんなに泣いてなんか――」

まどかの頭を胸元に押し付け、わしゃわしゃと撫でる。そうだ、まだ大切なことを言ってない。
それを伝えて、まどかの笑顔が見たい。あたしの見たかった笑顔を――

「大好きだよ、まどか」
「わたしも、さやかちゃんが大好き!」

731 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/06/21(火) 02:16:36.92 ID:T552vleAO
>>594
>>595
の続き風に、非常に個人的解釈を含みつ考えてみました。

 …あれからどれ程の時を、共に過ごしたのだろうか。
 まどかは、あたしのあの不甲斐ない魔女化の瞬間を宇宙改変の起点に選んだ。それは、あたしだけをまず天界に導く事を意味した。
彼女はテヘヘと笑って言った。「契約で改変できたのはあっちの宇宙だけ。だから[みんな]を迎え入れるこの世界は、これから創らなくちゃいけないんだ……」

 見渡す限りの白の世界。どこまでが地面でどこからが空なのかも分からない中、ただずむまどかの笑顔がとてつもなく愛らしかったのを覚えている。

 「神」となったまどかの魔力を以てしても、一つの「宇宙」を創る事は遠大な道のりだった。土、水、大気に始まり、街らしきものが型になるまで試行錯誤の連続だった。

 そして、時に、まどかがぐったり疲れると、そっと抱きしめながら回復魔法を掛けるのがあたしの役回りだった。
 やがて気が付けば、かつて私たちが慣れ親しみ、そして必死に守ろうとした、あの見滝原を模した街が創られていった。
 二人きりの天地創造を経て、ついに今日、まどかが人類最古の魔法少女を迎えに行く。彼女の眼にこの「天国」はどう見えるのかな?

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最終更新:2011年08月15日 21:39
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