606 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/06/16(木) 23:18:10.72 ID:uae+6aEbO [1/5]
いつまでも落ち込んでてもしょうがないので、気を取り直してまどさや投下することにします!
>>573-577の続きです!
ずっと親友だと思っていたまどかが、自分に恋愛感情を抱いていると知ってしまったさやか。
その事をきっかけに今までと違う運命の車輪は動き出す…
まどかの想いを知り、気持ちの整理を色々つけようとしていたさやかだったが、あのまま通学路に突っ立てるわけにもいかず、とりあえず学園にまでは来ていた。
「はぁ…」
下駄箱で靴を上履きに履き替えながら、今まで生きてきた人生の中で一番深いだろうため息をつく。
いつもなら交友関係がそれなりに広いさやかがこんな様子を見せていれば誰かしらが寄ってくるのだが、生憎今の時間はどのクラスもホームルームが始まっていて周りには一っ子一人いない(まぁ、今のさやかにはその方が好都合なのだが…)
「授業…どうしようかな」
本来なら早く教室に行くべきなのだろう。
しかしまどかにどう接するか結論を出していない今では、無駄にまどかを傷つけてしまうような気がして…正直、行くのが怖い。
「…やっぱサボろ」
教室に向かおうとしていた足を屋上に続く階段に方向転換すると、さやかは他のクラスの迷惑にならないよう静かに階段を昇っていく。
とにかく気持ちの整理をつけなければ…何も出来そうになかった。
607 名前:606続き[sage] 投稿日:2011/06/16(木) 23:19:23.95 ID:uae+6aEbO [2/5]
††
さやかが授業のサボりを決めたちょうどその頃、まどか達のクラスではホームルームがつつがなく進行していた。
「美樹さん…あら、美樹さんはお休みですか?」
「先生。さやかさんは体調が優れないそうで、遅れて来るそうです」
「そうですか…わかりました。では次…」
さやかの不在を仁美がフォローしている中で、まどかはじっと今は誰も座っていない席を見つめる。
まどかはさやかのいない理由が今朝の一件であるという事をちゃんと認識していた。
(私のせい…だよね、やっぱり)
むしろ他にどんな理由があるというのだろう。
今朝あれだけ元気だったさやかが急に体調を崩すわけがないし、態度だっていつもと変わらなかった…自分が余計な事をする前までは。
(さやかちゃん…きっと、私の事変だって思ってるよね…)
まどかは後悔していた…どうしてあんなことをしてしまったのかと。
我慢すればよかったのだ…心が悲鳴をあげても押さえつければよかったのだ…そうしておけば、少なくとも友達としては円満にいられたのに。
608 名前:607続き[sage] 投稿日:2011/06/16(木) 23:20:25.12 ID:uae+6aEbO [3/5]
「うっ…ううっ…」
自分の行動への後悔ばかりとさやかにどう思われたかわからない恐怖が募って、まどかの目から涙が流れ出てくる。
「まどかさん、どうかしたんですかっ?」
まどかの異変に気付いた仁美が声をかけてくるが、まどかはただ首を横に振るばかり。結局まどかは仁美に何も言うことなく机に突っ伏してしまった。
「まどかさん…」
(ごめんね、仁美ちゃん…でも、これだけは話せないよ…)
心配そうに名前を呟く仁美に心の中で謝りながらも、まどかは1人で泣くことを選ぶ。仁美の心遣いは嬉しかったが、こんなこと…話せるわけがないではないか。
(さやかちゃん…)
もし時間を巻き戻せるなら、昨日少しでもさやかに想いをぶつけようなんて考えた自分を浅はかだと笑い、何としてでも止めたかった。
(バカだなぁ、私…そんなこと出来っこないのに…)
しかし現実は漫画やゲームではないのだ…時間を巻き戻すなど出来るわけがない、一度言ってしまった言葉は、見せてしまった態度は二度と取り消せない。
(この世に、そんな都合のいい魔法なんてないもんね…)
もう、眠ってしまおう…夢なら…自分の思い通りの世界に行ける。
まどかはこの事が夢にも影響を与えなきゃいいな…などと思いながら、目を閉じた…
609 名前:608続き[sage] 投稿日:2011/06/16(木) 23:24:28.58 ID:uae+6aEbO [4/5]
††
「あっ、チャイム……これでサボり決定だね。さやかちゃんは不良少女になっちゃったのだ…」
さやかは屋上のフェンスに寄りかかって青空を見上げていた。だが、清々しい青空と柔らかい光で辺りを照らす太陽とは裏腹にさやかの心はひどく重い。
「まどか…泣いてなきゃいいんだけど」
きっとまどかは自分に変な風に思われてると思い込んでるはずだ。そうすればまどかの性格上泣いてしまうのは目に見えていて…
「はは…」
ふと、さやかの口から乾いた笑いが漏れる。
今までまどかが抱えてきた気持ちには気付かなかった癖にこういうのはわかるんだな、と考えたら可笑しくなってしまったのだ。
「でも、まどか…すごいよね」
はっきり好きだと言われたわけじゃない。だけど、あれがまどかにとって精一杯の告白だったのだと考えると…さやかはまどかを尊敬せずにはいられなかった。
(あたしは勇気がなくて告白まがいの事すら出来やしないのに…ほんとすごいよ、まどかは)
異性に恋をしているさやかでもそれなのだ、同性相手であるまどかがどれだけ勇気を振り絞ったのか…想像する事も出来なくて。
だからこそ、さやかは中途半端な気持ちでまどかと向き合いたくないのだ…他でもないまどかが相手だから。
610 名前:609続き[sage] 投稿日:2011/06/16(木) 23:28:49.15 ID:uae+6aEbO [5/5]
「あー…もう!ダメだっ…!今のあたしじゃきっとまどかとちゃんと向き合えない!」
さやかは頭をかきむしると空を見る。雲1つない空は、まるでさやかがこれから選ぼうとする選択を後押ししてくれてるみたいで。
「まどかはあんな形だけど気持ちを伝えたんだ…あたしもいい加減、はっきりさせなきゃいけないのかもね…」
だが、この時さやかは気付いていなかった…
まどかに恋愛感情を向けられているという事実を自分があっさりと受け入れている事に。
「…決めた!はっきりさせよう…恭介に、伝えよう…あたしの気持ちを!」
あれだけ関係を崩すのが怖かった恭介に告白する事をまどかが関わった瞬間決意した理由に。
「まどか…待ってて。絶対にあんたの気持ちにはちゃんと向き合うから…」
そして…まどかの笑顔を思い浮かべた自分の鼓動がほんの微かに跳ねた事に…
今のさやかは全く気付いていなかった。
以上です!まどさやなんで次の話はさやかに玉砕してもらうことになります。
魔法少女関係なしのまどさや告白SS書くに当たって最大の障害って、いかにしてさやかが上条君にフラれるか?なんですよね。
最初からフラれた設定とかに出来れば楽なんですがね…色々な意味で
それではいつにも増して拙い文になってしまいましたが、これにて失礼します!
最終更新:2011年08月15日 21:40