180 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/12/19(月) 15:58:40.49 ID:Hcu2/OnW0 [1/2]
まどかちゃんが狼に食べられる気満々のようです
さ「ほむら、ちょっと腑に落ちないというか変なことがあったんだけど聞いてくれる?
こないだまどかの家に泊まりに行ったんだよ。まどかのママの仕事の都合でパパとママとタッくんだけ先に帰省したんだけど、
まどかはまだ学校があって一人じゃ心許ないからってまどかのママに頼まれてさ。
それで合いカギ渡されたんだけど、そのときまどかのママがあたしを値踏みするような目で変なこと言ってたんだよね。
『さやかちゃんなら心配はしてないけど、まどかを泣かせたら承知しないよ? まあ、がんばんな』って。
それだけでもわけわかんないのに、まどかの家に行ったら今度はエプロン姿のまどかが玄関で三つ指ついてお出迎え!
『お帰りなさい。ご飯にします? お風呂にします? それとも……』とか言うから、鋭いあたしはピーンときたね。
ああこれはまどかの料理の試食係にされるなって。まどかも料理下手ってわけじゃないんだけど、ゆで時間見るの忘れたり
塩と砂糖間違えたり皮むきがアクロバティックになってたりして、結果的に前衛的な料理ができちゃうことが多いからさ。
そこんとこをフォローしつつやんわりと注意して、でもしっかり褒めてやるのが今日のあたしの役目かなと悟ったわけですよ。
それでまあ、まどかも待ちかねてたんだろうと思って『じゃあご飯!』って言ってすぐにキッチンに行ったら、
なーんにも用意されてなかったのね。あれ? と思ってまどかの方見たらなんか恨めしそうな顔してあたしを見てるから、
ああこれから作るところだったんだなって気づいて、『ああ、ごめんごめん。これから準備するところだったんだね』って言ったら
『私の準備はできてるもん……』とか赤い顔でごにょごにょ言うわけ。まったく素直じゃないと思わない?
まだご飯できてないのは見ればわかるのに、できてるって言い張って子供みたいな言い訳するんだもん。
でまあ、可愛い嫁の言うことだから否定するのも可哀想だし、まどかが料理する時間を作ってやろうと思って
『うん、じゃああたしは先にお風呂もらおうかな。あたし長風呂だから、結構時間かかると思うけど』って言ったら
『わ、わたし背中流します!』とこうですよ。せっかくあたしが時間作ろうとしてるのに、一緒に入っちゃ意味ないじゃん。
『大丈夫大丈夫。まどかに背中流してもらわなくても自分で洗えるから』って言っても『わ、わたし、おおおおよ、お嫁さんだもん!
お嫁さんは一緒にお風呂入るんだもん!』とか意味わかんないこと言って一緒に入ろうとするから、
30分くらい押し問答してからようやくお風呂入れたんだよね。
ところがあたしがお風呂から上がってもテーブルの上はからっぽのまんま。あたしがのぼせる寸前までお風呂で粘ってたっていうのに、
まどかはその間ずっとすねてたらしくて部屋の隅っこで体育座りしてたの。『ご飯どうするの?』って聞いたら『知らない』って。
せっかく気合入れて料理しようと思ったのにあたしが早く来過ぎたせいで何もできなくてすねちゃったんだよ。可愛いよね。
しょうがないからあたしがありあわせで夕飯作ったよ。まどかもお腹すいてたらしくていっぱい食べたけど、表情はずっと沈んだまんま。
『わたしが……せっかくわたしが……』とかぶつぶつ言ってて。ほんとにあの日はまどかの様子変だった。
いつもだったらお腹いっぱいになれば自然にご機嫌になるからさ。料理できなかったのがよっぽどくやしかったんだろうね。
181 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/12/19(月) 15:59:55.33 ID:Hcu2/OnW0 [2/2]
……とまあこんな感じで、あたしはその時までまどかの気持ちに全然気づいてなかったわけ。
今思えば、まどかの様子がおかしかったのも全部説明がつくのに、我ながら不覚だったわ。さやかちゃん反省。
あたしがようやく気付いたのは、食後にあたしがテレビ見てたときに、まどかの部屋から『さやかちゃーん』って呼ばれて
ああ機嫌直ったのかなってまどかの部屋に行って、まどかがどこで買ったのかスケスケのネグリジェ着てベッドに横たわってるのを見たとき。
枕はでかでかと『YES』ってプリントされてるやつで、それも普段使ってる抱き枕とは似ても似つかないやつで。
ここにきてあたしは本格的になにか思い違いをしていると気付き始めたね。まどかの顔は赤いし、なんか目は潤んでるし。
『さやかちゃん……来て……』って震える声でまどかが呼ぶから、あたしはすぐさまベッドに駆け寄ってまどかを抱きしめて言ったよ。
『まどかのバカ! 口で言ってくれなきゃわからないじゃない!』って。まどかは『だって……恥ずかしくて……』ってあたしの胸に頭を預けて。
もう一刻の猶予もならないと思ったからさ、あたしはすぐに言ったよ。『風邪ひいてるなら早く言わなきゃダメじゃない!』って。
まだバレてないとでも思ったのかね。まどかは『へ?』とか間抜けな声出してぽかんとしてるけど、それからのさやかちゃんは素早いですよ。
うっすいネグリジェやらパンツやらを脱がそうとしたら、まどかが『さやかちゃん、そんな、急に……』とかうわごと言ってるからさ、
いよいよ急がなきゃと思って、まどかの持ってるパジャマで一番生地の厚いやつを出してきて着替えさせた。
熱があるから体が熱くてあんな薄い服着てたんだろうけど、風邪には逆効果だっての。
全身温かくさせてリボンも外してやってまどかを布団に放り込むまで1分とかからなかったね。
むしろ『ち、違うのさやかちゃん! わたしは……』ってぐずって起きようとするまどかを寝かしつけるのに苦労したよ。
おでこ当てて熱測ったら明らかに熱いのにさ、『わたし風邪じゃないもん!』ってバレバレの嘘ついて。
きっと久しぶりにあたしが泊まりに来るのが嬉しくて、前の日に眠れなくって体調崩しちゃったんだろうね。ただでさえいまは
インフルエンザとかに気をつけなきゃいけない時期なのに。
いつもだったらまどかの家にお泊りした日は夜遅くまでおしゃべりしたりするんだけど、これ以上無理させちゃいけないから
ココア飲ませて薬飲ませて濡れタオルと冷えピタ用意して無理やり寝かせて、眠りにつくまでしっかり見張ってたよ。
『お願いだから一緒に寝て』って言われたけど、まどかの方が体温高いから一緒に寝るとあたしがまどかの体温奪っちゃうんだよね。
『お母さんずっとまどかの手を握っててあげるから』ってまどかをあやして、寝付いたのが11時過ぎだったかな。
で、そうまでして色々世話焼いて次の日の朝にはけろっと直ってたんだけど、まどかの機嫌の方は直んかったんだよ。
あれだけ様子おかしかったのに早く気付いてあげられなかったあたしも悪かったと思うけどさ。
ずーっとふくれっつらでどんなに話しかけてもひとっことも口きこうとしないの。看病されるのが恥ずかしかったんだろうね。
まどかもお年頃だから。まあそれは仕方ないと思うんだけど、感謝もされなかったのはどう思う?
感謝してほしくて看病したわけじゃないけど、一言『ありがとう』くらいは言ってくれても罰は当たんないよね。
まどかのママにすら『さやかちゃんがそこまでさやかちゃんだとは思わなかったよ。安心なんだか不安なんだかわからねえわ』
ってため息つかれたんだけど、さやかちゃんがさやかちゃんなのは当たり前じゃない? どういうことなんだと思う?
いやー、まどかやまどかんちとも結構長い付き合いだけど、あんときのことはいまだにわけわかんないわ。ほむらもそう思うでしょ?」
ほ「ええ……そうね……(なんという保護者……)」
ま「えぐっ、うう……さやかちゃんのばか……にぶちん……わたしが、わたしがどれだけ勇気を出してがんばってたと思ってるの……」
仁「よしよし。めげてはなりませんわ(まどかさんはこの狼さんに獲物じゃなくて娘だと認識されてるのですね……)」
最終更新:2011年12月31日 11:29