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660 名前:「サンタのプレゼント」(1/2)[sage] 投稿日:2011/12/24(土) 20:25:38.45 ID:QMan0VQj0 [1/2]
>>655
0080久しぶりに見直そうかなぁ。

SSを書いた……けど、イヴの夜を書くつもりが、イヴの夜の前で力尽きた。……伏線っぽい話で終わってるけど、続かないよ!

「お、まどか発見」
 おもちゃ屋さんに入っていくまどかが見えた。
 たっくんへのクリスマスプレゼントは毎年まどかが買っている、ってのは聞いたことがあった。
 今日はクリスマスイヴ。準備にしては遅いんじゃないの?
 ちょっと心配になった私は、後を追ってお店へ入った。

「まさか売り切れてるなんて~」
 心配どおりというか、予想通りというか……。
「この時期に買う人多いかんねー。何でもいいなら別だけど、これがほしい、って言われてるなら数件回る必要あるかもねー」
 たっくんご所望のプレゼントは、私たちが小さなころからテレビで続いてる番組のおもちゃで、「発売日だから」と、休みの日に大人から子どもまでお店の前に並んでる姿を何度と無く見たことがあるほどの人気商品だ。
「ここら辺のおもちゃ屋さんって、他にどこがあったっけ……」
 携帯で次の戦場を探すまどか。大体戦いは終わっていると思うけど……。
「ここからなら歩いて10分ぐらいのところの電気屋さんでもおもちゃ売ってなかったっけ?」
 動くなら早くしないとね。
「あ、そっか。まだあるかな……」
 一瞬安堵したけれど、不安で一杯な顔に変わるまどか。
「とりあえず行ってみるしかないじゃん」
 先に一歩歩き出した私をまどかは追いかけてくる。
「あ、待ってよ~」
 まどかが追いつける程度の速度で歩き続けて、結局7分で目的地に着いた。
「おもちゃ売り場、何回だろう……」
 案内板に駆けていくまどかを、今度は私が追いかける。

 見滝原では見つからず、電車で出かけた先でも売り切れの札しかなかった。
 見滝原駅に戻ったときには、もう日も暮れていた。
 電車の乗降客もはけてしまったホームのベンチで、二人並んで腰を下ろす。
「どうしよう。買えなかったよ……」
「別のもの用意するしか無いっぽいね」
 そうは言ってみたけれど、まどかはそれで妥協……ってタイプじゃないし。
「うん……」
 やっぱりまどかは同意するけど、悔しさがにじみ出ている。
 だから、やっぱりまどかの助けになりたいけれど……!
 後ろから物音が聞こえた。二人で振り返る。
 煌びやかな紙に包まれ、リボンのついた箱が一つ、落ちていた。
「包装されてる……クリスマスプレゼントかな?」
 まどかは首をかしげながら、状況を整理しようとしている。
「誰かが落とした……って、周りに人なんていないし」
 右に左に首を動かしながら私が出した結論は、それだけだった。
「とりあえず、誰かが落としたんなら、その人が改札を出ちゃう前に……」
 サッとそれを拾って走り出すまどかの手元から、カードが一枚落ちた。
「あ、まどか待った!」
 プレゼントに添えるクリスマスカードなら、セットで持ち主を探したほうがいいだろう、とまどかを止めながら拾い上げたカードには、予期しない言葉が書いてあった。
 ――Merry Christmas, Dear Madoka & Sayaka.
「どうしたの、さやかちゃ……ええっ!」
 カードに目を落としたまどかは私の分まで含めたほどの勢いで驚く。
 いや、わたしは正直驚きの声を上げられないくらい驚いただけなんだけどね。

661 名前:「サンタのプレゼント」(2/2)[sage] 投稿日:2011/12/24(土) 20:31:41.47 ID:QMan0VQj0 [2/2]
 とりあえず私たちへのプレゼントらしい、と私の家でそれを開けてみると、一日探し回った「たっくんへのクリスマスプレゼント」が入っていた。
「本物のサンタさん……?」
 そうつぶやくまどか。
「クリスマスカードが私たち宛てにしか見えなかったしね……」
 それが無ければ私たちのようにクリスマスプレゼントを買いに行って、成功した人の落し物って答えになるけど。
 ただ、さすがに私たちも「じゃあ、サンタさんだ!」って喜ぶ歳じゃない。
 正直どうすればいいか悩んでいた私の携帯に、仁美から電話が来た。
「あ、もしもし仁美? 何?」

「素敵ですわね……本当にサンタクロースがいるなんて」
 電話の向こうのさやかさんは承服しかねているようですが、ここで落し物と勘違いされては何の意味もありません。
「でも、カードはお二人宛てだったのでしょう?」
 お二人がお暇でしたらクリスマスパーティーでも、という体の電話ですが、お二人にサンタクロースの存在を認めていただきませんと、影で苦労した甲斐も無いという物です。
「確かにそうですけれど……あら?」
 「サンタクロース」の差し出してくださったカンニングペーパーに虚を付かれて、図らずも指示通りに聞こえるような声を出してしまいました。
「ええ、ちょっと……私のところにもサンタクロースが来たようなので」
 「あなたもプレゼントをもらったことにすれば、配った人が誰かは別に宛名が間違ってないことを強調できる」……いい作戦ですわね。
「ちょっと重たいですけど……デジタルカメラですわ!」
 中身を聞かれたので、とりあえず開けたフリと喜んだフリをします。
 お二人は電話の向こうで話された結果、プレゼントである事は納得なされたようです。
「ええ。もうお店は予約を取れますわ。何時にしましょうか」
 おとりであると同時にお二人の時間を用意する為の仕込であるクリスマスパーティーの予定を立てて、電話をお切りしました。
「……うまくいったようね」
 電話が切れたのを確認して、今日の立役者になってくださった暁美ほむらさんが私に尋ねます。
「ええ」
 明美さんはプレゼントの用意自体はすぐ出来たのですが、ただそのまま渡しても、心配や心労をかけるだけですし……と悩んでいた私に「サンタクロース役」を買って出てくださったのです。
「不思議ですわ……駅構内にいたお二人にすぐに渡して、気付かれずに戻ってくるなんて」
 「サンタクロースのプレゼント」として渡すことを決めたときには、もうお二人は見滝原を出ていたので、戻ってきたところでお渡しするしかない、と駅前で待っていたところに、たまたま通りかかって、事情を把握して、万事上手く運んでくださって……
 と、御伽噺の魔法使いのようにすべてを綺麗に片付けてくださった暁美さん。
「ありがとうございました」
「礼には及ばないわ」
 一度長い髪を掻き揚げてそうおっしゃるとさばさばと帰途に着かれる暁美さんを見送って、私は「二人の夜」演出のためにお店に予約の電話をお掛けしました。


肝心の二人の夜は他の人に任せた!

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最終更新:2012年01月02日 20:28
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