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830 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/12/26(月) 23:57:14.89 ID:UqtsOlVj0 [3/5]
まどか「どう、さやかちゃん。私の説明で解りにくい所。あったかな?」
さやか「うぅん。ちょっと時間掛かっちゃったけど、その分ちゃんと細かく教えてくれたから大丈夫よ、まどか」
まどか「そっか。それならよかった」

まどかは自身の説明で不明な点がないように、多少時間を長めに使ったがその効果はあったようだ。
さやかの自信たっぷりな様子に、まどかは一先ず胸をなでおろした。

さやか「まどか。これからお風呂もも待ってるしさ、ぱぱっと着替えちゃうよ。協力、お願いね」
まどか「うん、任せて」

さやかはドレス着衣のためソファーから立ち上がり、先ほどの女神化したまどかと同じ様にそこから三歩離れた。
まどかもソファーから立ち上がり、さやかから1メートル程離れたところで待機していた。

さやか「それじゃ、いきますかっ」

その言葉が終わると同時にさやかの体から青い光が発せられ、さやかの体の輪郭をなぞった。
やがてその光が弾け、ほとばしる魔力と共に、魔法少女となったさやかがその姿を現した。

さやか「……よし。こっちは問題無しよ、まどか」

さやかは体に走る魔力の状態を確認し、自己の調子を良好だと判断した。


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まどか『さやかちゃん。これから私が説明することは、さっき私が少し触れたところと被ることがあると思うけど、その時にはまた改めて説明するね』
さやか『うん、わかった』
まどか『それじゃあまず最初。このドレスの素なんだけど……』
さやか『大丈夫、さすがにこれは覚えてるよ。このドレスの素はあんたの魔力でしょ?』
まどか『うん、その通りだよ。それでね、さやかちゃんがこのドレスを着るためには、これを構成する素、つまり私の魔力ををさやかちゃんの体内に送る必要があるの』
さやか『なるほど』
まどか『それで、私のドレスの素…私の魔力とさやかちゃんの魔力が体内で融合させて、そこからさやかちゃんのドレスを構成するの。ただそのときに前提なのはさやかちゃんが魔法少女でいることなの』
さやか『そうなの?』
まどか『うん。理由はね、魔法少女じゃない通常の状態だと、魔力が体に絶えず流れているわけじゃないから、私の魔力が肉体を必要以上に刺激しちゃう恐れがあるの』
さやか『あんたの魔力が、あたしの体の中で抵抗がないのを良いことに好き勝手するって事?』
まどか『そう、そんな感じ。でも魔法少女になっていれば常に魔力が体の中を流れてるから、私の魔力が入ってきても肉体に対してクッションになってくれるよ。それにその方が魔力同士の融合もスムーズに行くからね』
さやか『うん、わかったわ。魔法少女になることが前提っと。んじゃあ、あんたからの魔力を受け取るにはどうすればいいの?』
まどか『えーとね……』
さやか『ん、どしたの?』
まどか『えへへ……それはね♪』
さやか『あ……何となく予想ついたわ』

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831 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/12/26(月) 23:57:47.62 ID:UqtsOlVj0 [4/5]
まどか「じゃ、次は魔力の注入だねっ!」
さやか「そ、そうね……よろしく頼むわ」
まどか「さやかちゃん、そんな緊張しないでよ。これは魔力を送るのに必要なことなんだから、ね」
さやか「あんた、色々と本心が透けて見えるわよ」

まどかがすばらしく良い笑顔なの対し、さやかは少しばかり緊張の面持ちであった。

まどか「大丈夫、さやかちゃんだってすぐに夢中になっちゃうから」
さやか「……ま、それもそうなんだけどね。じゃあ、まどか」
まどか「うん」

まどかとさやかは正面から向かい合う。
次に、まどかが魔力を注入する側のため、まどかがさやかの頬を両手で挟んだ。
するとまどかの全身から薄い光がうっすらと現れ、それはまどかの体の輪郭をなぞるように発光していた。
そしてこれこそが、まどかのドレスの素となっている魔力だった。

まどか「さやかちゃん……受け取って」
さやか(コク…)

まどかは一言小さく呟くと、さやかは応じるように頷き、目を閉じた。
さやかが目を閉じたのを確認し、まどかはさやかに魔力を注入すべく、ゆっくりと顔を近づけた。


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さやか『やっぱり口移しか』
まどか『うん。私がさやかちゃんの体内に魔力を送るには、これが一番効率が良いの』
さやか『まぁ、言ってることは理解できるけど……どーも今のあんたが言うと別の目的がメインに聞こえるのよねぇ』
まどか『そんな、ひどいよ……もしそうだったとしても、それはきっと、愛のなせる業だよっ』
さやか『ま、そういうことにしときますか。それだったら、その愛をちゃんとこぼさない様に注いでよね』
まどか『大丈夫!私の口でしっかりと蓋するから。ただ、もし途中で息苦しくなったりしたらその時にはテレパシーなり私の体を叩くなりしてね。すぐに魔力の注入をとめるから』
さやか『うん。わかったよ』

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まどか「んっ」
さやか「んぅ……」

二人の唇が触れ合い、そして重なった。

まどか「んぅ、んむ、んんっ……」
さやか「んっ、んふぅ、んむぅっ」
くぐもった声が二人の周りを支配すると同時に、まどかの全身を覆っていた魔力が少しずつ、少しずつ二人の繋がった唇を通って顔中へ、頭部全体へと広がっていく。

まどか「んふぅっ!んんぅっ、んむっ」
さやか「んむぅ、んむ、んんぅ」

二人はいつしか舌を絡め、魔力の注入のことを覚えているのか怪しさを感じさせるほどに、互いを貪り合っていた。
それでも繋がった唇だけは離そうとしない、わずかな隙間も開けないのは二人が本来の目的を忘れていない事の証左である。おそらく。
やがて光は頭部から上半身、腕へ、指先へ。下半身は足の先まで広がった。
足の先まで広がったタイミングと同時に、まどかとさやかの唇は別れを告げ、二人の繋がりを示す銀の糸も重力に引かれて切れた。


832 自分:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/12/26(月) 23:59:50.51 ID:UqtsOlVj0 [5/5]
まどか「ふぅ……どう?私の魔力、ちゃんと入ったかな?」

まどかがまとっていた光は今や完全に消え去り、その光は現在さやかの体を包んでいた。
それはまどかの魔力が、さやかに無事に移行したことを意味していた。

さやか「……うん、大丈夫。今、あたしの中を」

ドクンッ!!

さやか「ぐっ!?」

駆け巡ってるよ、と言う言葉をつむぎだす前にまどかの魔力がさやかの魔力に反応し、さやかの肉体に刺激を、更にその刺激が肉体に変化をもたらし始めた。

ドクンッ!ドクンッ!ドクンッ!ドクンッ!

さやか「あぅっ……くっ、はぁっ…あ、熱いっ……!」

魔力の融合による影響かさやかの体が急激に熱くなり、それと共に鼓動が激しくなっていった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

まどか『魔力が注入し終わったら後はさっきも言ったとおり、さやかちゃんの体内で私とさやかちゃんの魔力が融合、
    ドレスの素になってる私の魔力がさやかちゃんの魔力を得て、それがドレスやリボンとかに変化するの。ただここでも気をつけて欲しいことがあるの』
さやか『え、なぁに?』
まどか『私の魔力が体内に入って肉体を少なからず刺激するとは思うけど。人の魔力が自分の体内に入ったからってそれが毒なんてことは絶対にないから。
    ただ、どうしても痛かったり、熱かったりして我慢が出来なくなった時には、さっきの息苦しくなったときと同じですぐにテレパシーを飛ばして。
    もしくはそれも出来ないって私が判断したら、すぐにさやかちゃんの体内に流れてる私の魔力を消すから。だからその時に痛覚を遮断したりして無理して続けないで欲しいの』
さやか『わかった。色々気遣ってくれてありがとね。まどか』
まどか『うぅん、私のリクエストでさやかちゃんが辛い思いをするかもしれないんだもん。これくらいの措置は当たり前だよ』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


まどか「さやかちゃんっ……!」
さやか「はぁっ、まど、か……あぁっ、大丈夫、熱い、だけだから……もうすぐ、だから……!」

苦悶の表情を浮かべるさやかを見て、まどか思わず声を掛けた。
そんなまどかにさやかは無理矢理笑顔を見せて、心配するまどかの事を励ました。

その直後の事だった、


さやか「くっ!あぁっ……あああああああああっっ!!」

絶叫と共に、さやかの体が、女神化したときのまどかと同様、淡い光を放った。
ただ、まどかの時は純白だったのに対し、さやかが放った光は青白いものであった。


833 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/12/27(火) 00:00:42.33 ID:gt19bTHK0 [1/9]
その光の中で、さやかの肉体と衣装に変化が訪れた。
さやかの着用していた魔法少女の衣装全てに光が集まり、そのまま光の粒子と化して辺りに漂い始めた。
それと同時に、魔力の融合による肉体の刺激の影響か、腕が伸び、脚が長くなり、そして胸が膨らみ、それぞれ成長を開始する。


さやかが絶叫と共に光に包まれ、その姿を確認できなくなってからまどかはずっと、その光を見守り続けていた。
さやかの中に入ったまどかの魔力は、無事にさやかの魔力と混じり合い、融合し、順調にドレスへ変化していくのを感じ取ってはいたが、さやかの姿を直で確認するまでは、決して気を緩めなかった。
そしてついに光が収まり始め、ゆっくりと光が薄く、小さくなっていく。
その小さくなる光に反比例して、さやかの姿が徐々に露になる。

髪形は変わらぬものの、その両側にはまどかと同じ純白のツインリボン。
そしてこれまたまどかと同じくチョーカー、手袋も白で統一。
そしてドレスも形状はまどかのものと変わりはなく、差異があるのは5つのクリスタルの色が青であることくらいである。
ロングブーツも、まどかと同様にひざ上辺りまでのものである。
ただし、まどかのはひざ上あたりまでの部分がピンクであり、さやかのは青であり色が異なる。


やがて光が完全に消失し、女神の衣装を着衣したさやかがその姿を披露した。


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まどか『じゃあこれが最後の説明ね、さやかちゃん』
さやか『うん。最後は何かな』
まどか『このドレスの扱い方だよ』
さやか『扱い方か……』
まどか『うん。このドレスは何回も言うようだけど自分の魔力で出来てるの。だから自分の意思一つで着たり消したりすることができるの。ほら、今私ブーツ履いてないでしょ』
さやか『おお。そう言えばそのドレスに着替えてから、あんたずっと裸足だったわね』
まどか『うん。初めはちょっと慣れてないから一つ一つ意識すると思うけど、慣れればすぐにコントロールできると思うよ。コントロールさえ出来れば、後はどの部分でも自由自在に着たり消したり出来るよ。     
    さやかちゃんは器用な方だからすぐにコントロールを覚えちゃうじゃないかな』
さやか『まぁ、そこはやってみないと何とも、ね』
まどか『だね。それじゃ、私からの説明はこれで全てだよ。長くて大変だったと思うけど、聞いてくれてありがとうね』
さやか『うぅん、ちゃんと説明してくれて助かったよ。こちらこそありがとねっ』

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まどかは、さやかのドレス姿を目の当たりにして、思わず声を掛けることも忘れていた。

短く、しかし綺麗に整えられた髪。
スラッと美しく伸びた手足。
そして何よりも一番目を引いたのは、大きく開いた胸元のその膨らみ具合である。
もうここまで見せ付けられては嫉妬する気も起きず、むしろこの胸を自由にできる自分は幸せ者なんだというある意味プラス思考に切り替えた。

まどか「はぁ……」

その余りの綺麗さに無意識にため息が漏れた。
そのため息に反応したのか否かは定かではないが、さやかはゆっくりと目を開いた。そして

さやか「お待たせ、まどかっ」

目の前にいるまどかに微笑んだ。


834 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/12/27(火) 00:03:06.14 ID:gt19bTHK0 [2/9]
まどか「っっ!」

先程まで声を掛けるほどを忘れるほどに見惚れてしまった人が今、優しい微笑を浮かべている。
まどかは内なる衝動のままにさやかを抱きしめた。目覚めた心は走り出したのである。

まどか「さやかちゃんっ!」

がばっ!ぎゅ~っ

さやか「うぉっ!ちょっ、いきなりどーしたのよ……」

さやかはまどかの急なハグに驚いてしまい、少し呆然とするが

まどか「さやかちゃんっ……ん~」
さやか「……もう、いきなりはびっくりするでしょ?」

ぎゅっ

さやかも力強くしっかりとまどかを抱きしめ返した。

まどか「あ……」
さやか「ふふ、いきなりどうしちゃったのよ、まどか」
まどか「あのね、その……」
さやか「うん、どした?」

さやか、まどかの背に回していた腕を一時解除。
まどかも同様に、さやかの背に回していた腕を一旦解いた。
まどか、頬を赤くしながらもさやかと視線を合わせる。

まどか「さやかちゃん……綺麗過ぎて、あと可愛過ぎて、我慢できなくなっちゃった」
さやか「へ……どゆこと?」

まどかの言動に、さやかの思考は追いついていなかった。
そんなさやかの様子がまどかには些かご不満だった様だ。

まどか「もうっ、だからこんなに綺麗で可愛い恋人が目の前に居るのに、見てるだけなんてやだってこと!」

まどかのこの言葉に対してのさやかの反応は

さやか「えっ?綺麗で可愛いって……」
まどか「私の目の前に居る人の事なんだけどね」
さやか「うぇ!い、いや……そ、そう…ぅぅ」
まどか「もう、さやかちゃん、そう言う所は相変わらずなんだね」
さやか「ほ、ほっといてよ、もぉ」

まどか(でも、こっちのほうがさやかちゃんらしいっていうか……見てて落ち着くなぁ。いつも可愛かったりカッコ良くなられちゃったら、精神的に絶対私がもたないよ)

まどか「さやかちゃん」
さやか「ん……何?」
まどか「それじゃ、自分の姿を確認してみようか?」
さやか「え……?」
まどか「鏡で自分の姿を見てみようってこと。やっぱり自分でちゃんと確認したほうがスッキリするでしょ」
さやか「……うん、それもそうね」

まどかは鏡で自分のありのままの姿を見てみることを提案。
その案にさやかも同意した。

835 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/12/27(火) 00:04:15.97 ID:gt19bTHK0 [3/9]
まどか「それじゃ、用意するね」

まどかは一旦さやかから離れ、ある程度スペースに余裕のある位置を確保した。

まどか「えいっ」

まどかが掛け声と共に指をパチンと鳴らしたその瞬間、どこからともなく光が集まってきた。
やがて高さにして大体2メートル、幅にして約70センチ位の長方形が完成する。
すると集まった光は突然弾け、中からは鏡が出現した。

さやか「あれ、それあんたの部屋のやつじゃない?」
まどか「うん。一々もってくるの面倒だから魔法で転送しちゃった。さ、さやかちゃん、どうぞ」
さやか「ありがと。それじゃ使わせてもらうね……とその前に」

さやかは歩き出そうとしたときに、自分がブーツを履いてることを思い出した。
よって、先にブーツを消すことにした。
さやかはしゃがんで右手で右足のブーツに触れ、『消す』イメージとともにブーツを一撫でした。すると、一撫でされたブーツは光の粒子となって消えた。
さやかはもう片方も同様に、光の粒子に変えた。

まどか「あっ。さやかちゃん、もうコントロールできてるんだ。さすがに器用だなぁ」
さやか「ありがと。でも、もっと自在にコントロールできるようになるんでしょ?」
まどか「うん。イメージと力のコントロールだけで、もっと細かいことだってできるようになるよ」
さやか「なるほどね。まだまだそうなるまで道は遠いわ。さて」

さやかはドレスの裾を踏んで転ばないように慎重に歩き、そしてまどかの用意したスタンドミラーから一歩分離れた所にまで到着した。

さやか「いよいよ自分とご対面っと。あー、やば、ちょっとドキドキしてきちゃった……」
まどか「さやかちゃん、緊張してる?」
さやか「まぁ……少しね」
まどか「そっか……でも大丈夫!私の目から見てもさやかちゃんに変なところなんてどこにもないよ!
    それに、さやかちゃんのその姿を仁美ちゃんがみたらきっとうっとりしちゃうよ。イヒッ♪」

今、ここにはいない親友の名を出され、その子が今のさやかの姿を見たときに何て言い出すのか。さやかの頭の中にその内容が、ふと鮮明によぎった。

仁美『まぁ、さやかさん!上品で素敵ですわぁ…!』

きっとこんな感じで目をキラキラ輝かせながら、真っ直ぐにさやかを見つめるのだろう。

恋人に力強く励まされ、親友の姿を思い浮かべたところで、さやかは腹を括った。

さやか(よぉしっ!)

さやかは、自分の内から這い出そうとする不安を踏み潰し、ミラーの前に立った。


さやか「へぇ……」


鏡の中には、今までの自分とは全く違う装いの自分がいた。

白いリボンを左右に結び、
白のチョーカーを首に巻き、手袋をはめ、
前が短く、両サイドと後ろが異様に長い特殊なスカートと、
胸元が大胆に開いた、まさしく『女性』を強調するような特徴のあるドレスを立派に着こなしていた。

838 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/12/27(火) 00:40:20.88 ID:gt19bTHK0 [5/9]
さやか「これが、あたしなんだ……」

さやかは、初めて見る自分のこの姿にドキドキしていた。
だけどそのドキドキは決して不快なものではなくて。
ドキドキするくせに、何故か心が落ち着くような、そんな不思議な感覚に囚われていた。

さやかは時折鏡に背を向けて、首を回して鏡に映る背中を見てみたり、
鏡越しではなく直接自分の手ドレスの裾を見てみたり、色んな角度から『自分』を見てみた。

何の気なしに正面を向いたときに、鏡に映る自分と目が合い、そしてこう思った。

『イイ笑顔してんじゃない、あたし』

まどか「さやかちゃん」

あたしの右隣には、いつの間にかまどかがいた。

さやか「なぁに?」
まどか「さやかちゃん、そのドレスどう?気に入った?」
さやか「うんっ!凄い気に入っちゃったよ!ありがとっ、まどかっ」
まどか「あはっ、良かったぁ!さやかちゃんがそこまで気に入ってくれたならさ、私もリクエストした甲斐があったよっ」

自分のわがままに近いリクエストでさやかがこんなにも喜んでくれたことを、まどかは大いに喜び、そして嬉しく思った。


だが、まどかの驚きはまだ止まらない。

さやか「ねぇ、まどか。いきなりだけどリクエストいい?」
まどか「え?うんっ、いいよ。何かな?」
さやか「あのね、明後日までの休みの間はさ、あ…あんたとこの格好でペアルックしたいなって思ってて……」
まどか「えっ……」

まどかは、余りの予想外のリクエストに驚きを隠せない。
さやかはなおも話を続けた。

さやか「一人で着るのはまだ正直恥ずかしいって言うか……それならあんたには迷惑かもしれないけど、
    まどかと一緒に着ていたいなぁって。これから二日間の間に行けるんだったらデートにも行きたいし……どう…かな?」


(私、夢でも見てるのかな?)


まどかは率直に思った。

839 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/12/27(火) 00:40:52.07 ID:gt19bTHK0 [6/9]
今までまどかが好んで着るような可愛い服は『あたしには似合わないから』とずっと敬遠してきたさやかが、
この純白のドレスでデート、しかもペアルックでしたいと言ってくれるなんて。

(神様……クリスマスプレゼント、私はもう十分です。さやかちゃんから抱えきれないほど大きなプレゼントをいただきました)

まどか「さやかちゃんっ。それはもうこっちから望むところだよっ!休みの間はず~っとこの格好で、それでデートの時にはずっと腕組んでようっ。ねっ」

さやかからのとんでもないリクエストを、顔が緩みっぱなしのまどかは即承諾。しかもデート中はずっと腕組みというオプション付きだ。

さやか「ありがとっ!まどかっ!」

がばっ!

まどか「きゃっ!」

ちゅっ。

感謝と同時にまどかの体を抱き締めたさやかは、まどかの唇をあっさりと奪った。

まどか「んぅっ……」
さやか「んふ……まどか」
まどか「さやかちゃん……」

一度、キスを交わした二人はすぐに離れ、それからまた目を細めながら接近する。

さやか「はぁっ……」
まどか「はむぅ……」

そして二度目のキスは、しっかりと密着した。

さやか「んむ、んはぁ、はぁむ、んちゅうっ」
まどか「んふ、ふぁっ、あぁっ、ちゅっ」

少しずつ激しくなる唇同士の触れ合い。しかし今の二人がこの程度で止まるはずがない。

さやか「はむっ」

れろぉっ

まどか「んむっ!?……んふっ」

さやか側から伸びてきた舌が、タイミングよく伸ばしていたまどかの舌を捉える。

ぴちゃ、ぴちゅっ、れろ

さやか「はぁむ、んく、ちゅ、まどかぁ……」
まどか「んはぁ、ちぅ、さやかちゃぁん、あはぁっ」

二人はまたも離れ、お互いに見つめあう。
さやかからは、もはやまどかしか見えない。
まどかからも、さやかしか見えない……

840 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/12/27(火) 00:44:48.10 ID:gt19bTHK0 [7/9]
はずだった。

まどかの視線は、さやかの向こう側にあるガラス張りのドアの先にあった。

まどか「あ……さやかちゃんっ」

このまどかからの呼び掛けで、スイッチの入りかかったさやかは元に戻った。

さやか「まどか……どうしたの?」
まどか「さやかちゃん、後ろっ。ドアの向こう」
さやか「ドア?……あぁ、そう言うことか」

さやかも後ろを向き、ドアの向こう側を見た瞬間に何故まどかが自分を呼んだのか即座に理解した。

まどか「さやかちゃん、雪、降ってきたね」

そう。ドアの向こうではまだちらほらとではあるが、確かに白い粒が天から舞い落ちていた。

さやか「だね。もしかして…今年…って言い方でいいのかわかんないけど、とりあえず初雪だよね?」
まどか「うんっ、ちょっと近くで見てみよっか」
さやか「あいよっ」

二人はドアの近くまで歩き、雪の降る光景を寄り添って眺め始めた。
時間が経つにつれ、雪の粒は段々大きくなり、降ってくる数が徐々に、徐々に増え始めていた。

まどか「ねぇ……さやかちゃん」
さやか「ん、どうしたの?」
まどか「イヴ、終わっちゃったね」
さやか「……うん、そうだね」

壁にかかっている時計は短針が12を指し、長針が短針より少し右側に来ていた。

まどか「一日のうちの数時間しか、一緒に居られなかったね」
さやか「そうね……でもさ」
まどか「え?」
さやか「あたし、凄く楽しかったよ。十分に楽しんだよ」
まどか「……そう?」
さやか「うんっ。だって胸枕したでしょ、あんたにそのドレス姿で膝枕してもらったでしょ、
    その合間合間でなんだかんだでいちゃいちゃしてたし。」
まどか「……うん、そうだね。色んなことやったね」
さやか「でしょ?それにさ、あんたからこんなに素敵なドレス、プレゼントされたし」

さやかは目を細めて嬉しそうに言った。


841 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/12/27(火) 01:06:01.99 ID:gt19bTHK0 [8/9]
さやか「まだまだ休みはあるんだよ。今日一緒に居られなかった分はさ、明日明後日で取り替えそうっ。ね、まどか」
まどか「うん……うんっ!」
さやか「それにさ、まだ終わってないよ」
まどか「え……それって…っ!!」
さやか「これからお風呂入って、上がったらさ……」
まどか「うん、わかったよ。さやかちゃん」
さやか「よっしゃっ!それじゃお風呂行こうっ。」
まどか「うんっ!……さやかちゃん」

浴槽へ向かおうとしたさやかにまどかが呼びかける。

さやか「まどか?」
まどか「ごめん。私、さやかちゃんに大事なこと言うの忘れてたよ」
さやか「ん、なになに?」


まどか「さやかちゃん、メリークリスマス」

まどかの言葉を聞いて、さやかもここでハッとした。

さやか「…ごめんっ。あたしも忘れてた」

さやかも舌をぺろっとだして謝った。

さやか「まどか、メリークリスマス。また今日も楽しんでいきましょっ」
まどか「うんっ!いっぱい楽しもうねっ!」
さやか「よっしゃ!それじゃ、とりあえずお風呂にはいるぞー!」
まどか「おー!」

二人は腕を組んでソファーを出て、浴室へと歩き出した。

二人の楽しそうな声と共に、二人の今年のクリスマスイヴは終わり告げた。


以上ですっ!最後、投下時間に間が空いたことをお詫びします

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最終更新:2012年01月02日 21:09
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