18-168

168 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/12/31(土) 23:40:25.86 ID:RW43eLxm0 [1/7]
年越しSS間に合ったー! コミケ&超絶寝不足の影響でかなりグダグダですが灯火させてください。
今まで拝見させていただいたSSから学んだ事も結構あって、そういった表現も使わせていただいてます。



さやか「こんばんわー…って詢子さん大丈夫ですか!?」

さやかは鹿目家の扉を開けた瞬間、玄関マットに倒れこんているまどかの母、詢子にギョッとていた。
そんな彼女の背中を擦っているのはまどかの父、知久だった。

知久「おっ、待ってたよさやかちゃん。いきなり驚かせてごめんね。
   こっちは大丈夫だから、さやかちゃんは台所の方をお願いできるかな?」
さやか「えっ…? あ、はい…」

知久に手を貸すより先に促されるまま、さやかは第一目的である台所へと向かった。
専業主夫である知久が妻の介護に手を取られている以上、現在台所の主は自ずと見当が付く。
リビングに隣接した目当ての場所に辿り着くと、案の定情けない声が聞こえてきた。

まどか「あっ…さやかちゃぁ~ん…ぐすん。」
さやか「……やれやれ、大晦日に急に呼ばれて来てみれば…。」


[わたし達の年の越し方]


大晦日の夕方、さやかは母の受けた電話を通じて鹿目家に救援に向かう事になった。
何でも詢子が酔い潰れたとかで知久の手が空かず、娘のまどかが年越し蕎麦を作ろうとしたらしい。
"わたし頑張るよ!"と意気込むまどかだが流石に一人任せる訳にもいかず、親交の深いさやかに白羽の矢が立ったのだ。
到着したさやかを待っていたのは涙目の親友兼恋人と、その恋人が作り出した台所の惨劇だった。

………………………♭♭♭………………………

169 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/12/31(土) 23:42:07.53 ID:RW43eLxm0 [2/7]
(トントントントン…)
まどか「わぁ…さやかちゃん速い…!」

さやかは包丁を手に取りほうれん草と葱を手際良く刻んでゆく。

さやか「こんなもんか。カマボコは…まぁあんたが切ったので大丈夫でしょ。」
まどか「…ごめんなさい。」
さやか「今更気にしてもしょーがないわよ。助ける為にあたしが呼ばれた訳じゃん?」

まどかはすっかりしょげた様子でひたすらさやかの様子を見詰めていた。
普段から父の料理を手伝っておけば良かったな今更ながら後悔するが既に遅い。
ゴミ箱には上手く切れずすっかり潰れてしまった葱、海老天にしようと試みた塊、固まったままの蕎麦…
使う予定だった食材はいずれも無残な最期を遂げていた。

知久程の腕となれば揚げ物程度は購入するまでもなく、自宅で揚げるなど造作も無い。
海老天の失敗は、まどかがそのまま用意された具材を見よう見まねで調理しようとした故のものだった。

一方で大皿には揚げたばかりのエビフライが一つ、また一つ並とんでゆく。

まどか「凄い…このエビさん、お料理屋さんで出てきたみたいだよ…!」
さやか「面倒でもちゃんと一個ずつ揚げればこんなもんよ? っと次もそろそろか。」

救援に伴い、そのままさやかは大晦日の夕飯を鹿目家で共にする事になった。
電話を受けたさやかの母は快く"うちの馬鹿娘をよろしくお願いします"と了承の返事を返した。
さやかは足りなくなった具材の補充も兼ねて、向かう途中で買い物を済ませておいたのだ。

湯だった麺に野菜とカマボコを盛り付け、五人分(一人はお子様用)の年越し蕎麦が完成した。
せっかくなので手作りの海老天だけ別皿で置いておいたが。

まどか「ごめんねさやかちゃん。わたし料理の才能無いのかなぁ…。」
さやか「そんな泣きそうな顔する事ないでしょ…。
    慣れれば誰でも出来るんだけら、今度からパパさんのお手伝いしてみなよ。」

まどかは親友さやかの手際の良さと腕前にすっかり元気を失くしていた。
心成しか普段よりツインテールが幾分か垂れ下がっているかの様にも見える。
だがさやかによしよしと頭を撫でて宥められると、まどかは頬擦りして少し嬉しそうにていた。

………………………♭♭♭………………………

170 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/12/31(土) 23:43:23.12 ID:RW43eLxm0 [3/7]
知久「いやぁ、本当に助かったよさやかちゃん。でも貴重な家族の時間を奪うみたいでごめんね。」
さやか「うちはオッケーもらったから全然大丈夫っすよ。」
詢子「おー!今日の亭主はさやかちゃんかー!あたしの奢りだぞー、ほら一杯ぐい~っと!」
まどか「もうママってば、さやかちゃんは未成年だよ~。」
さやか「すみません詢子さん、そういう訳なんであと六年くらい待ってください。」
タツヤ「さやか、パパになる!」
さやか「…あのねたっくん、あたし女なんだけど…?」

鹿目家リビングのテーブルに五人が並ぶのはそれ程珍しい光景ではなかったりする。
両親の多忙も影響し、さやかはかなり前から鹿目家で一家団欒を共にする様になっていた。
一方今日の詢子はだいぶ落ち着いたらしいが、半ば酔っ払ったままでテンションは異常に高いままらしい。

詢子「水臭いねぇ~。さやかちゃんはうちの家族みたいなもんだから。
   お義母さんって呼んでくれなきゃ詢子ママ泣いちゃうぞぉ~?」
さやか「…詢子さん、まだ酔ってますよね…。」
知久「ハハハ、けどママの気持ちは強(あなが)ち冗談でもないみたいだよ?」
まどか「パ、パパ! わたし達まだ14歳だよ!? さやかちゃんのご両親にもちゃんとご挨拶しなきゃ…」
さやか「まどかまで!ちょっとストップストップ!」
タツヤ「まろか、さやか、ふーふ!」
さやか「うわぁぁぁぁぁ!?」

決して拒む訳ではないが、流石に面と向かって将来の結婚などを夢見られると小っ恥ずかしいものがある。
食事も一家団欒も一通り終えたところで、さやかはまどかの部屋にお呼ばれする事になった。
ここからは二人きりの時間が始まるのだ。

………………………♭♭♭………………………

171 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/12/31(土) 23:44:59.30 ID:RW43eLxm0 [4/7]
―2Fまどか自室―

さやか「うー…やっぱこの部屋はいつ見ても照れるなぁ…///」
まどか「おはようからおやすみませさやかちゃんに囲まれてるのは嬉しいけど、やっぱりリアルさやかちゃんが一番だよ。」
さやか「リアルとか言うなー! あー恥ずかし…///」

まどかの自室の壁には所狭しとさやかの写真、ポスター、壁時計が飾られている。
勉強机や棚の上にはフォトフレームで飾ったさやかのブロマイド、さやかフィギュア、さやかドール、
棚の中にはさやか同人誌までありとあらゆるものがさやかで埋め尽くされていた。

他にもさやかがプリントされたさやかクッション、さやかティッシュケース、
ベッドの上には抱き枕(たぶんR18)、シーツと枕にまでさやかがプリントされているという徹底振りである。
勿論全て違う写真のさやかであり、これらが市販品なのか個人製作なのかは定かではない。

まどか「今年もあと三時間くらいだねー。」
さやか「ああ…なんかこうぬくぬくしたまま年を越せそうな気がするわ。」

部屋にはこたつが設置されており、その上にはみかんとうんまい棒が置かれていた。
二人は敢えて向き合わず、同じ場所から足を入れて温まっている。

まどか「さやかちゃん、みかんあーん。」
さやか「あ、あーん…まぐまぐ…。
    あんがと、美味しいよ。じゃぁ今度はあたしがお返しに…んぐんぐ…」

二人きりになったので、早速恋人定番のあーんがここでも発動していた。
だがさやかはまどかに食べさせる分を自分の口に運んでしまったのだ。

まどか「さやかちゃん? 何やって…―――んむむっ!?」
さやか「…んっ…」

突然のさやかの口移しによる反撃だった。
あーんより高度(?)な技により、みかんはさやかの唇を通してまどかの咥内へと進入した。

まどか「んんっ…」ゴクン
さやか「ど、どうだった…?」
まどか「えへへ…びっくりして飲み込んじゃった。」
さやか「」

割と大きなものを不意に移したのは失敗だった。
今度は食べやすい様に、内側の薄い皮まで剥いてから、さやかはもう一度口移しを敢行する。

さやか「…ん…ちゅっ…」
まどか「…れろっ…みかん甘いね…さやかちゃんの所為だよ…ちゅ…」

………

さやか「はぁっ…はぁっ…。」
まどか「えへへ…///」
さやか「あはは…///」

ただの口移しだった筈がいつの間にはエスカレートしてしまったらしい。
気が付けば大人のキスに夢中になっていた…。


………………………♭♭♭………………………

172 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/12/31(土) 23:46:43.61 ID:RW43eLxm0 [5/7]
(サクサクサク…)
みかんに続き今度はうんまい棒食べようとするさやかだが、何故かまどかが真っ直ぐ反対に向き合っていた。

まどか「ねぇねぇ、反対から食べていい?」
さやか「へ…?」

答えを聞く前にまどかは反対側に口を付けていた。言わばポッキーゲームの極太版である。
しかしこれはなかなかに食べ辛く、進めるにつれてポロポロと粉が床に毀れてしまう。

さやか「(これ後で掃除機掛けないと駄目だなー…)―――んぐっ!??」
(ぶちゅっv)

さやかが別の考え事をしていた為、二人はモロにキスをするハメになった。

まどか「えへへ…///」
さやか「あはは…///」

………………………♭♭♭………………………

まどか「そ、そろそろお風呂でもに入ろうかなー。」
さやか「そんじゃまどか先にどうぞ。」
まどか「えー、さやかちゃん一緒に入ろうよー。お背中流そうよー?」

先程のキスで少し気が変な方向に向きかけて嫌な予感がしたさやか。
だがまどかの眼を見る限りは幸いそっち方面への心配は無い様だ。
また以前お風呂で事に及んだ時に失敗した経験がある為に同じ過ちは犯さないだろう。
※柚子風呂R18参照

―浴室―

さやか「痒いところはありませんかー?」
まどか「それ美容師さんだよ~…。でも気持ちいいよ、さやかちゃん。」
さやか「そっかそっか。今でもこうやって背中流したり出来るのって、あたしら幸せなんだなって思うんだ。」
まどか「さやかちゃん…?」
さやか「いやぁ~…この一年いろいろあったなって思っただけだよ。
    でもあたしは小さい頃みたいにこうして…またあんたとこういう付き合い出来るのが嬉しいんだ。」
まどか「えへへ…そうだねっ♪ じゃぁ次わたしの番だよ。さやかちゃんあっち向いてね。」
さやか「ははは、やっぱし…?」
まどか「さやかちゃんは~…うーんと…うーん…。来年から髪伸ばしてみない?」
さやか「へ…?」
まどか「さやかちゃん、美人さんなんだから伸ばせばきっと似合うよ~。」
さやか「…んーそうかなー…。」
まどか「そうだよそうだよ!」
さやか「じゃぁ…考えとくよ…。」

………………………♭♭♭………………………

173 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/12/31(土) 23:47:14.12 ID:RW43eLxm0 [6/7]
逆上せてしまう前にお風呂を上がり、二人はパジャマに着替えて再びまどかの自室へ。
ちなみにさやかはちゃんと着替えも持参していた。

―2Fまどか自室―

まどか「残念だな~。」
さやか「どしたの?」
まどか「わ、わたしの貸してあげても良かったかなって…///」
さやか「あはは…身長違うからまどかの服が伸びるって。」
まどか「ううー…。わたしはちょっと大きくてもさやかちゃんのが着れるのに不公平だよ。」
さやか「貸すのは別にいいんだけどさ…できたらそのうち返してね…?」
まどか「(ぎくーっ!) な、何の事かなー…」(目を逸らす)

そんな感じで冗談なんか言いあって過ごす中、年越しまで残すところあと一時間弱となった。
二人は十二時を回ってから床に就く予定なので、もう少し時間を潰そうと考えていた。

まどか「さやかちゃん、このゲームやろうよー。今月出たけどまだやってないよね?」
さやか「うーん…楽しそうだけど夜更かしになりそうでマズいんじゃない? 明日は初詣とかあるから流石に…ね。」
まどか「じゃぁ続きはまた明日夜やりたいなーって。」
さやか「へ?明日夜…? 夕方くらいからなら普通に遊べると思うけど。」
まどか「あのね…明日はさやかちゃんの家にお泊りしたいなーって、思ってしまうのでした。」
さやか「まぁたぶん大丈夫だろうけどさ…そんなにお泊りしたいの?」
まどか「だって毎日さやかちゃんと一緒がいいんだもん。冬休みなんだから毎日お泊りだよ!」
さやか「全く甘えんぼだなぁ、あたしの嫁は♪」

じゃれる様にさやかはまどかを抱き寄せて髪をくしゃくしゃとする。
どうやらこの冬休みも二人は四六時中一緒に過ごす事が決定したらしい。

さやか「そんじゃ、あと一時間DVDでも見てから寝ようか。」
まどか「う…怖いのはやだよー…。」
さやか「じゃぁ…これにしようか。」

さやかはジャケットに女の子学生が写っているDVDをPS3で再生した。
液晶画面には、ジャケットの通りほのぼのした雰囲気の学生生活が流れ始める。

さやか「この女の子二人仲良さそうだね。」
まどか「胸枕なんて羨ましいなぁ~。」
さやか「こらこら、あたしを見ながら言うなー!」

だが暫くして女の子二人の様子がおかしくなる。
最初は軽い頬へのキス程度だったのだが…

さやか「…えっ…? …ねぇこれちょっと過激じゃない…?」
まどか「あれ? このマークって…18歳未満禁止って書いてあるよ!」
さやか「わぁぁぁ!ストップストップ!あたしらまだ中学生よ!」

慌てて動画を停止するさやか。だが今度はまどかの様子がおかしくなっていた…。

まどか「…女の子同士は…あんな風にするんだね…。」
さやか「…まどかどうしたの…?」
まどか「…さやかちゃん、わたし達もあんな風に…してみたいなぁ…。」
さやか「………へ?」

まどかの眼が本気だった。

………………………♭♭♭………………………

174 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/12/31(土) 23:48:46.71 ID:RW43eLxm0 [7/7]
―リビング―

(ぎっしぎっしぎっし…)

詢子「おおー、やってるやってる。」
知久「まどかもちゃんと成長出来てるみたいで一安心かな。昔は泣き虫でいじめられっ子だとかで正直心配だったけど。
   ただ…女の子同士なんだよねぇ…。」
詢子「何言ってんだ知久、さやかちゃんは下手な男よりずっとまどかに相応しい子さ。
   まぁ、孫の顔が見れないのが唯一の心残りだけどねー。」
知久「…それもそうか。さやかちゃん以上に素敵な相手なんてそうそう居ないだろうからね。
   なら、せめて僕達が何とか見守ってあげたいものだよ。」

娘にとって最高に相応しい相手なら性別は厭わない、それは酔いから醒めた詢子の真面目な意見だった。
夫の知久も多少の躊躇いはあったものの、まどかが二人の関係を望むのなら止めはしないだろう。
だが数年後、奇跡が起きる事をこの夫婦はまだ知らない…。

[わたし達の年の越し方]

おしまい。二人の年越しはベッドの上でしたよーっと。

なんか改行が多過ぎたみたいで無駄にレス消費してしまいゴメンナサイ。
それでは皆様良いお年を。お休みなさい…まどまどさやさや。

あっ、二人の年越しの内容が気になる方はこちらへどぞ。
http://ux.getuploader.com/madosaya/download/17/%E3%80%9018-168%E3%80%91actex+toshi.txt
さやまど気味なR18、バスは[shinnya]です。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2012年02月19日 01:36
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。