961 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/01/11(水) 20:08:57.88 ID:zW1r9Z7r0 [1/2]
話題終わっちゃったけど、懐かしくなったので勉強ネタでSS書いた。
中学時代はこんな風にコタツを囲んで勉強したりしたもんです。もちろん全員男でしたが。
「さやかちゃん、出来た?」
「んー、一応……」
日々の鍛錬は、魔法少女においてだけではなく、勉学においても重要である。
「私も、かなり不安なんだよね、今度のテスト」
むしろ、基礎的な資質や能力を底上げすることが難しい魔法少女よりも、意識的に励む必要があるだろう。
「この前の小テストも赤点だったし、このままじゃ成績下がっちゃうよ……」
見滝原を含む学区における高校入試選抜のシステム上では、2年生の学年末に裁定される五段階の成績が公立入試にかかわってくる。
その段階で「志願するだけ無駄」という状態になる高校もあり、そうでなくとも学校での成績が高いほうが得なシステム。
つまり、「普段からがんばりましょう」ということである。
「普段から魔法少女としても活動している」まどか達には、それは重荷といえるだろう。
そのために、まどかとさやかは仁美を講師として勉強会の場を設けた。
今は、仁美製作の模擬テストを終えたところ。
「それにしても、すごいよく出来たテストだよね」
まどかの感想に対して、
「試験勉強の基礎ですわ」
と仁美は返す。
「学年末考査という都合上、先生方も範囲指定の内容を網羅したテストを製作せざるを得ませんので、出せる問題のバリエーションも自然と決まる物です」
「その割には、問題数多くない?」
さやかの指摘するとおり、各教科100問ずつを、1教科100分かけての模擬試験。
「それは多分、まずはバリエーションをすべて抑えて、自分の解らない所を割り出してから、ってことじゃないかな?」
まどかの指摘に首肯をして採点を終えた仁美は、答案用紙を返す。
二人のテスト中に前の科目の採点をしており、ぶっ続け500分の成果を突きつけられるまどかとさやか。
「42点……68点……」
「71点……32点……」
まどかは平均して取りこぼしがあり、さやかは高低が激しい結果となった。
「私に出来るのはここまでですわ」
仁美はコタツから足を抜き、帰宅の準備に入る。
「後はお二人の頑張り次第になってしまいます。ケーススタディでは肝心のテスト本番には対抗できませんし、後々のことを考えると、助言もなく考えられる素地を作る必要もありますもの」
臨時講師を頼んだ二人には耳にいたい言葉だった。
「幸い、テスト範囲より前の知識で必要なものが欠けているようではありませんでしたし、これ以上は逆におせっかいになりそうなので、今日はおいとまさせていただきます」
仁美を見送るのも忘れ、答案用紙に目を凝らす二人。
「つまり、こうして、ん?」
とりあえず間違えたところを書き直そうと鉛筆を走らせるさやかと、
「……」
黙って考えた末、書き直しに入るまどか。
互いの様子をちらちらと見て同時に思うことが一つ。
「まどかみたいにやってみようかな」
「さやかちゃんみたいにやってみようかな」
言葉の上では正反対のようで、中身はまったく同じ結論。
二人してしばし笑いあう。
「でもさー、あれだけ長く考えてて、最初に考えたこと忘れちゃわない?」
「私は、それよりさやかちゃんの書き直す手間のほうが大変そうに見えるよ?」
忌憚なく指摘した後も、やはり同じ結論が出た。
「それぞれで監視しあうってのはどう?」
「そうだね、同じところを間違えてるんじゃないんだから、少しは役に立てるかも」
二人は、テストまでの一週間、共に勉強することを決めた。
コタツをはさんだり、並んで座ってみたりと勉強漬けの一週間から、テスト週間の前日対策を入れて5日。
「仁美ーテストどうだった?」
「疲れ果てましたわ……」
日々変わりなく稽古事の入っていた仁美より悠々とテストを終えられるほど、二人の学力は上がっていた。
「仁美ちゃんのおかげで、何とかなったよ」
まどかはテストから解放された喜びを隠さず、帰宅の準備をする。
「ねえ、さやかちゃん。最後の問題だけど……」
「やっぱりあれ、答え二つあるよね?」
二人の仲のよさに一服の清涼剤をもらいうけた気がしながらも、稽古道具も入って重いかばんが恨めしい仁美だった。
「お稽古さえなければ、お二人ともっと勉強をご一緒できますのに……」
最終更新:2012年01月20日 22:58