2-673

673 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/06/19(日) 10:32:18.97 ID:GgoyTGDlO [1/6]
昨日から書いていたまどさやSSがやっと完成したので、投下させていただきます!
付き合いだした後のお話です!


その日…さやかには何とも言えない予感があった。それはそれはとんでもない事が起きそうなそんな予感が…

「さやかちゃん、さやかちゃん!」
「んー…?どしたの、まどか」
「ポッキーゲームしようよ!」
「……はぁっ!?」

そしてそれはポッキーの箱を持って現れたまどかと、ニコニコ笑顔で放たれた彼女の言葉に確信に変わることになった…

††

「あのさまどか…とりあえず聞いときたいんだけど、ポッキーゲームの意味わかって言ってる?」
「えっと…マミさんとかほむらちゃんに聞いた時はちょっとわからなくて、杏子ちゃんにも教えてもらったんだけど…」
「……どんな風に?」

上手く説明できなかったらしいマミさんとほむらはともかく、杏子のやつあたしの嫁に何変な事吹き込んでるんだ…っていうか食べ物で遊ぶのは嫌いじゃなかったのか、と心の中で杏子にサーベルによる制裁を加えながら、さやかはまどかに問う。

「えーっとね…『2人で一本しかない食料を奪い合うまさに弱肉強食を体現した勝負』だって言ってたけど…」

ちょっと大げさだよね、と笑うまどかをよそにさやかは妙な納得をしていた。
…あぁ、やっぱり杏子は杏子なのだ…変な事を教えたのでは?なんて危惧した自分がバカだったのだと。


674 名前:673続き[sage] 投稿日:2011/06/19(日) 10:35:00.39 ID:GgoyTGDlO [2/6]
「で、まどかはその弱肉強食を体現したゲームをあたしとやりたいわけ?」
「ち、違うよ!変だと思ってちゃんとその後自分で調べたもん!」
「へぇ…じゃあこのゲームが場合によっちゃどうなるかも知ってるわけだ?」

さやかの言葉にまどかはうっと唸り、顔を紅くする。
そもそもまどかはポッキーゲームってどんなものなんだろう、面白そうならさやかちゃんとやってみたいな…ぐらいの気持ちだったのだ、最初は。
だが、純粋な疑問として身近な人々に聞いた時の反応は…

「えっ、ポッキーゲーム?あの、鹿目さん…それは1人で出来るゲームなのかしら?」
「…ごめんなさい、マミさん」

「ポッキーゲーム…いいわ、実演で教えてあげる。さぁ、まどかポッキーの端を…」
「ご、ごめんほむらちゃん、やっぱりいいよ!」

「ポッキーゲーム?おいおい、あれは血を見る危険なゲームだ、アンタが手を出していい領域じゃないよ」
「えぇ~…?」

こうしてマミ、ほむら、杏子の意見がことごとくあてにならなかったため自分で調べた結果、まどかは知ったのだ…

ポッキーゲームは自分とさやかがやるべきゲームなのだと。

「…まっ、いいや。まどかもちゃんとルールわかってるみたいだし、あたしは全然構わないよ」
「本当にっ!?ありがとう、さやかちゃん!」

よほどしてみたかったのだろう、まどかはパアッと顔を綻ばせる。
さやかはそんなSGが一瞬で浄化されそうな笑みを浮かべてくるまどかを抱き締めてナデナデしたい気持ちに襲われたが、
そんなことしたらポッキーゲームどころではなくなるのは目に見えていたので必死に自分を抑えた。


675 名前:674続き[sage] 投稿日:2011/06/19(日) 10:36:39.06 ID:GgoyTGDlO [3/6]

「じゃあ早速始めよっか。まどか、ポッキーちょうだい」
「うん!…食うかい?」
「いや、似てないから」

杏子の真似のつもりだろうか…ポッキーをくわえ、箱を差し出してくるまどかに厳しいツッコミを入れつつ、さやかはポッキーを一本箱から抜く。

「そうだ、いっそのこと負けたら罰ゲームってルールにしよっか?」
「えーっ、罰ゲームってどんなの…?」
「ここは定番の【負けた方が勝った方の言うことを何でも聞く】って事で!」
「うう…わ、わかったよ!」

負けなきゃ大丈夫だよね…?なんて呟いているまどかにさやかは思わず哀れみの視線を送ってしまった。
どうやらこのお姫様はこのゲームの真の恐ろしさを知らないらしい。

「いや~、それにしてもまどかも大胆だねぇ?」
「ふぇ?」

何の事?と首を傾げてくるまどかに近付くと、さやかはそっと耳打ちした。

「そんなにあたしとキスしたかったんだ?」
「っ!!?」

その囁きにまどかはボンッ!と音が鳴りそうなほど急激に顔を真っ赤に染める。

(甘い甘いよまどか!既にゲームは始まっているのだよ、心理戦という勝負がね!)

さやかは金魚みたいに口をパクパクさせているまどかに自分の勝ちを確信すると、スッとそれはもう嫌味ったらしいくらい華麗な動作でポッキーを口にくわえた。

「さぁ、始めましょうか、お姫様?」
「うううっ~…さ、さやかちゃんのバカァ…!」

まどかのそんな台詞は当然ながら何の意味もなさず…

一回目の勝負はあっさりとさやかの勝利となったのだった。

676 名前:675続き[sage] 投稿日:2011/06/19(日) 10:39:40.45 ID:GgoyTGDlO [4/6]
††

「~~~~っ…!」

パキッと小気味のいい音と共にまたポッキーが一本折れた。折ってしまったまどかが肩を落とすのとは対照的に、さやかはニッコリ笑って残りのポッキーを口の中に入れる。

「はい、またまたあたしの勝ちだね。これでさやかちゃんは7連勝なのだ~!」
「ううっ…」

ゲームはあんまりなぐらい一方的な様相を呈していた。最初にさやかに言われた台詞が未だに尾を引いているのか、まどかはどうしてもキスしそうになる直前で顔を背け、ポッキーを折ってしまう。

「ううっ…こんなのってないよ、あんまりだよぉ…」
「はっはっはっ、勝負の世界は厳しいんだよまどか!」
「さ、さやかちゃんがいけないんだもん!さやかちゃんの…綺麗な顔があんな風に近付いてきたら耐えられないもん!」

さっきのお返しのつもりだろうか、まどかは恥ずかしい言葉をぶつけてきた。
だが…それはさらに自分の羞恥心を刺激したようで、言ったまどかの方が言われたさやか以上に顔を紅くしている。

「あ、まどか…そろそろ終わりみたいだよ?」
「えっ…」
「いや、ポッキーがさ…最後の一本なんだよ」

見てみると確かにポッキーの箱は空、さやかが手に持っている一本しか残っていない。
いくらまどかにやる気があろうとポッキーそのものがなければゲームの続行は不可能だった。

「そんなぁ…」
「そんなに落ち込まなくても…うーん、じゃあ最後だし特別ルール!まどかがこれに勝ったらあたしの勝ち分は全部チャラ!あたしが勝ったらそのまま8回分の罰ゲームを受けてもらう…これでどう?」

さやかの提案にまどかは半ば諦めかけていながらも頷く。今までの勝負からしてもう自分は勝てない…勝負はもうついているようなもの。

「それじゃ、最後のゲーム始めよっか」

さやかがポッキーの端をくわえると、まどかもおずおずとポッキーの端をくわえる。
ああもうどうにでもなればいい、そんな気持ちで…まどかは目を閉じた。

677 名前:676続き[sage] 投稿日:2011/06/19(日) 10:40:42.03 ID:GgoyTGDlO [5/6]
††

「っ!?」

まどかが目を閉じた瞬間、さやかはかなしばりにあったように動けなくなっていた。

(あっ、ちょっ、嘘っ…)

さやかの心から先ほどまであった余裕はあっさり消え、緊張と焦りが彼女の心を支配する。
その原因は…今まさにまどかが取っている体勢だった。

少し上向きになった顔…しっかり閉じられた瞳…上気している頬…胸の前で小さく組まれた手…

それはまるで、キスを待っているかのよう…

(そ、それは…反則だよ、まどかぁっ!)

実はさやか、まどかとそういう関係になってから自分からキスをしたことが数えるほどしかない。
何と言うか…しようとすると言い様のない恥ずかしさが襲ってくるのだ。
だからキスを思い起こさせる今のまどかの体勢は…さやかにとって最悪の体勢だった。

(あっ、ま、まどか近付いてきて…ちょっ、ちょっと待って!)

目を瞑っているためだろう、まどかは今まで以上のスピードでポッキーをかじり、さやかに近付いてくる。
そして今のさやかにそれを耐えるなんて…出来るわけがなくて。

「っ!!」
「あ…」

パキンッと半分もいかない内に、ポッキーは折れた。まどかが目を開けると自分の方は折れておらず、口を押さえたさやかが肩で息をしている。

「…はっ、はは…最後の最後で敗けかぁ…やられたよ」
「えっ…えっ?」

ガックリと項垂れるさやかの姿にまどかはようやく自分が勝ったのだと実感した。
どういうわけかは、よくわからないが…とにかくまどかは勝ったのである。

678 名前:677続き[sage] 投稿日:2011/06/19(日) 10:43:05.42 ID:GgoyTGDlO [6/6]
「約束通りあたしの勝ち分はチャラ…後まどかが勝ったからまどかの言うことを何でも1つ、聞いてあげるよ」
「…いいの?」
「さやかちゃんに二言はない!」

さぁ、煮るなり焼くなり好きにしろぉっ!と覚悟を決めた…というよりやけくそになってるらしいさやか。
そんなさやかを見てまどかは…

「えっと…じゃあ………してほしい」
「えっ、何?ごめん、よく聞こえなかったんだけど…」
「キ、キス!さやかちゃんからしてほしいかなって…」
「えっ…ええええええっ!?」

まどかのモジモジしながらのお願いにさやかは一瞬頭が真っ白になった。 さっきのゲームではそれが原因で負けたようなものなのに…解放されたと思っていた恥ずかしさが再びこみ上げてくる。

「ま、まどか…あの…それじゃなきゃ…ダメ?」
「ダ、ダメだよっ…さやかちゃんに二言はない…んだよね?」
「うああ…」

何という事だ、既に逃げ道などどこにもない。
さやかに残された選択肢は、最初からただ一択しかなかった。

「わ、わかった…じゃあ、目閉じて…」
「う、うん…」

改めて目を閉じたまどかの肩に手を置き、さやかはさっきの比ではない恥ずかしさを抱えながらゆっくりと顔を近付けていく。

こんなことなら、ポッキーゲームの時勢いでキスしてしまえばよかった…なんて、思いながら…


以上です!
えっ、ポッキーと言えば杏さやだろうって?いいじゃない、まどさやでポッキーゲームしたっていいじゃない!
という気持ちで書かせていただきました!
それでは失礼いたしました!
たまには砂糖に埋まるぐらいの甘々SSを書きたいもんです…

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2011年08月15日 21:42
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。