937 名前:小説のまどさや最期の会話シーンのさやかちゃん視点を考えてみた1/2[sage] 投稿日:2012/01/26(木) 19:03:57.28 ID:U1aJM4620 [2/4]
恭介と仁美が仲睦まじくやってるのを見てしまった翌日。
あたしはいつも通り学校に来てはみたものの何にも頭に入らずに昼休みを迎えていた。
(あたし、何してんだろ…)
もう人間じゃないくせに人間のふりして学校に来て…
……あぁ、違うか、もう人間じゃないからあたしはここにいるんだ。
学校に来るっていうあたしにとっての日常まで捨てたら…本当に人間じゃなくなっちゃうような気がしたから。
(ははは…バカだねあたしは…こんな事したってもう…)
未だに人間のふりをしたがる自分を自嘲しながらあたしは教室を出る。
食欲はない…ただここにはいたくなかった。
もうあたしには戻れない日常の輪には。
「さ、さやかちゃん!」
どこか独りになれる所に行こう…そう考えてたあたしを呼ぶ声が後ろから聞こえる。
あたしにとってとても大切で、かけがえのない友達の、声。
「……なに?」
気付いた時にはあたしは振り返ってた、そのまま立ち去る事だって出来たのに。
でも、それでも、この子の…まどかの声だけは無視したくなかった。
「わ、わたし――」
まどかは必死に何かを言おうとしてた…その目に悲しみと罪悪感を滲ませて。
なんで?なんでそんなに申し訳なさそうな顔してるの?
あんたは何も悪くない…悪いのは勝手に嫉妬して八つ当たりしたあたしなのに。
「わたし……あの」
なんで、こんな事になっちゃったんだろう?
少なくとも数日前のあたし達はこんな気まずい空気になるような関係じゃなかった。
ケンカしてもそれはくだらない理由ばっかであたしが謝ってまどかが謝って…それでまた笑えてた。
あっ、そうだ、そうだよ……あたし、まだ謝ってない。
あんなにまどかを傷つけたのに、まだ謝ってない。
謝ろう、あたしはそう決意していた。
まどかが許してくれるかはわからない…でも、それならもっと謝ろう。
だってあたし達は親友で…あたしはまどかが大好きなんだから。
938 名前:小説のまどさや最期の会話シーンのさやかちゃん視点を考えてみた2/2[sage] 投稿日:2012/01/26(木) 19:07:19.62 ID:U1aJM4620 [3/4]
(あっ…)
まどか、泣いて…早く何か言ってあげなきゃ、謝らなきゃ…
まどかの涙を止めるのはあたしの役目なんだから…だから…!
(ごめんね、さやかちゃん)
(えっ…)
今、確かに聞こえた、まどかの心の声が…
まどか、あんた謝ろうとしてるの?
あんたに八つ当たりしたあたしに、あんなに酷い事言ったあたしに…謝ろうとしてる?
(ダメ……それだけは聞けない)
あたしはまどかに背を向けた、言わせるわけにはいかなかったから。
まどかに謝らせたりなんかしたら……あたしはきっとまどかに、また同じ事をしてしまう。
どうしようもなく弱虫で最低なあたしは……またまどかを傷つける。
「用が無いなら、行くね」
だからあたしは逃げ出した……こんなバカに謝ってくれようとした親友から。
その涙を拭いもせず、今度は振り返ることすらしないで。
あの子が勇気を振り絞ろうとしてやろうとした事を、最悪の形で踏みにじったんだ。
(あぁ……もう、あたしには……)
――まどかの涙を止める資格なんて、ない。
――まどかを笑顔にする資格すら、ない。
――まどかの……………………友達である資格すら、ない。
(明日は……休もう)
もうあたしには魔女を殺すしか価値はない。
自分の気持ちから、親友から、何もかもから逃げ出したあたしに残されたのはただそれだけ。
「…………ごめんね、まどか…………」
あの場で言えなかった謝罪……それに答えを返してくれる人はもう、あたしの隣にはいなかった。
最終更新:2012年02月04日 07:38