28 名前:エリー…いかにして彼女がまど界の苦労人となったか1/4[sage] 投稿日:2012/01/28(土) 00:12:03.67 ID:byOiAEzg0 [1/5]
「さやかちゃーん大好きー!」
「あたしも大好きだよー!」
「キマシタワーが来てますわ!さぁ、エリーさん、記録をお願い致します!!」
「うぷっ…!だ、だから桃色思考を垂れ流すなああああああっ!!こんのバカップルー!!」
†
「はぁ…はぁ…甘い、口の中が甘すぎる…」
「お疲れ様エリー。はい、ブラックコーヒー」
「ゴクゴクゴク……あ~、ちょうどよくなった。ありがと、エルザ」
「どういたしまして(まぁ、やってるのはセバスチャン達なんだけど)」
「しかし毎度毎度イチャイチャイチャイチャ…………あの二人、実は私を殺す気なんじゃないの…?」
「それはないでしょ…そういえばエリーっていつから神様達とこんなに親しくなったの?」
「…………」
「エリー?」
「いや、まぁ、その……それには聞くも涙語るも涙な話が…」
「へぇ、そんな感動的な話があるんだ…聞かせてくれるわよね?」
「うっ…そんなに期待はしないでよ?そう、あれは……」
†
「さやかちゃん、もうこの世界には慣れた?」
「うん、風景が見滝原のまんまだから結構あっさり順応出来そうだよ」
「えへへ、よかった。それで、えっと…」
「今日もいい天気ですわ…」
「仁美ちゃんは、どう?この世界に来てなんか体調が悪くなってたりとかない?」
「ふふ、心配してくださってありがとうございます、まどかさん。ご安心ください、むしろお久しぶりに三人で揃うことが出来て元気いっぱいになっていますわ」
「それならいいんだけど…でも、どうして仁美ちゃんはここに来られるのかな?こんな事今までなかったからわからないよ…」
29 名前:エリー…いかにして彼女がまど界の苦労人となったか2/4[sage] 投稿日:2012/01/28(土) 00:17:14.01 ID:byOiAEzg0 [2/5]
「んー…ねぇ、まどか。別にわかんなくてもいいんじゃない?」
「えっ?」
「理由はわかんないけどあたし達三人、またこうして話せる。きっとさ、これはまどかへのご褒美なんだよ。まどかは頑張ってるから…本当に」
「…………」
「…って事で納得してもいいんじゃないかなー…ってあたしは思うんだけど。あはは、柄にもないこと言っちゃったかな?」
「クスッ…いいえ、素敵な考えだと思いますわ」
「うん……そうだよね、いくら概念になったって言ってもこの世界にはわたしにもわからない事がたくさんある。
だったら悩むより今の時間を大切にするべきだよね……ありがとう、さやかちゃん」
「えっ、いやいや、そんな大層な意味で言ったわけじゃないって!」
「クスクス…謙遜なんてらしくないですわ、さやかさん」
「だ、だから違うんだってばー!」
「えへへ、さやかちゃん顔赤くしてかわいい!…………ところで、あなたはいつまで黙って見てるつもりなのかな?」
「えっ?」
「まどか、どうしたの、急に…」
「さっきからわたし達を見てる娘がいるの。最初は魔法少女じゃない仁美ちゃんが珍しいのかなって思ってたんだけど、どうもわたし達三人とも見られてるみたいだから…」
「ふーん…で、どうするの?」
「たぶんもうすぐ出てくると思うんだけど…さやかちゃん、喧嘩しちゃダメだよ?」
「はあ?あのねぇ、いくらあたしが喧嘩っぱやいって言っても…」
「……」
「あっ!」
「片翼の、天使、ですか…?」
「やっぱりあなただったんだね…エリーちゃん」
30 名前:エリー…いかにして彼女がまど界の苦労人となったか3/4[sage] 投稿日:2012/01/28(土) 00:20:51.21 ID:byOiAEzg0 [3/5]
「……さすがだよ。ダニエルとジェニファーを通して遠くから見てたのに気付くなんて…」
「うん、だってわたし神様だからね」
「そりゃそうか…」
「まどかと仁美を襲った使い魔を連れてるってことは、あんたが…」
「…そう、だよ。私はかつてそこの仁美って娘を集団自殺に巻き込んで、神様を文字通り引き裂こうとした、ハンドルネームエリーって名前の魔女だった魔法少女だよ」
「えっ、私そんなこと…」
「仁美ちゃんは魔女の口づけをされてたから覚えてないのも無理ないよ。
……それで、エリーちゃんはどうしてわたし達を見てたのかな?ここに来たのはお話があるから…なんでしょ?」
「……」
「何か言ったら?あたしには何も言う権利はないし、まどかは何も言わないだろうけど…少なくとも仁美には責められる事、覚悟してたんでしょ?」
「………め…なさい」
「えっ…」
「ごめん、なさい…私は、魔女になった時、あなた達を殺そうと、したっ…!ごめん、ごめんなさいっ…!」
「エリーちゃん…」
「こ、怖かったっ…私が殺そうとした娘が神様になってっ…いつどんな目にあわされるか怖くて、導かれた後もずっと逃げてたっ…!」
「……」
「で、でも神様は優しくて、そんな事考えてた自分が嫌になってっ…許してもらえなくても謝らなきゃってっ…だから、だから…!」
「……もう、いいです」
「っ…!」
「私は魔法少女じゃありません。まどかさんやさやかさんのように魔女になって誰かを殺めてしまいそうになった苦しみはわかりません」
『……』
「でも、私も自分の行動が引き金になって親友を死に追いやった事があります」
「仁美、それは…」
「すいません…でもどうしてもそう思わずにはいられないんです。私が余計な事をしなければ、さやかさんはっ…」
「違う、違うよ…あれはあたしが弱かったから…」
「ですがっ…!」
「ストーップ!!」
31 名前:エリー…いかにして彼女がまど界の苦労人となったか4/4[sage] 投稿日:2012/01/28(土) 00:23:13.86 ID:byOiAEzg0 [4/5]
「まどか?」
「まどかさん?」
「もう、二人とも。エリーちゃんを置き去りにしちゃダメだよ!ほら、エリーちゃん困ってるじゃない」
「あっ、いや、神様、私は…」
「す、すいません…コホン。エリーさん…つまり私が何が言いたいかと言いますと…私はもう気にしていませんという事です」
「っ…でも」
「あー、もうやめやめ!本人が気にしてないって言ってんだから!」
「そうだよ!それにわたしなんかいくつか世界を滅ぼして仁美ちゃんもさやかちゃんも死なせちゃったし…それでも二人ともこうしてわたしのそばにいてくれてるよ?」
「……でも神様は元々友達だし」
「ふう…そんなに気になさるならどうでしょう…私達とお友達になるというのは」
「へっ?」
「おっ、それはいいアイデアだね!友達になればエリーが気に病む必要もないし」
「へっ、えっ?」
「うん、そうだね!さすが仁美ちゃん、いい考えだよ!」
「へっ、えっ、はい?」
「ふふふ、それではエリーさん、よろしくお願い致しますね」
「よろしく!」
「よろしくね!」
「……よ、よろしく」
†
「へぇ、今からじゃ考えられないわね」
「でしょうねー…私だってまさかこうなるとは思わなかったわよ…あー、もう、やんなるわ」
「そうなの?」
「当たり前でしょ…ってまたあいつらは!」
ガラガラッ!
「くおら、神様、さやか!イチャイチャすんなら心の声は抑えろー!うわ、仁美まで来たっ!勘弁してよ、もう!!」
「クスッ……そのわりには嬉しそうじゃないエリー」
「やめて、また頭が砂糖まみれになるー!!」
まど界は今日も平和です…>>1乙
最終更新:2012年02月04日 07:53