378 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/02/14(火) 23:57:53.30 ID:PzssZSnz0 [3/3]
ラブラブ系や友情系は他の方が書いてくれそうなので自分は日常系を投下
知久「今年は作らないのかなぁ・・・チョコレート」
2月某日、誰にともなく呟く男が一人
知久「毎年今くらいの時期になるとレクチャーを頼みに来る筈なんだけど・・・」
カレンダーに目をやると、2月14日はもう間近
例年ならまどかとさやかちゃんが台所を占拠している頃だろう
知久「面倒臭くなっちゃたのかな。確かに、少し難しい事を要求した事もあったかも知れないけど
僕は二人には美味しいチョコレートを作ってほしかっただけなんだけどな・・・・・・」
そう言って知久はこれでもう何度目か分からない溜息をつくのだった
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その頃、同時刻 マミ宅
マミ「うん、これでいいわ。後はこれを型に流しこめばOKよ」
さやか「了解、まどか型は?」
まどか「はい、全部綺麗に洗って拭いてあるからすぐ使えるよ」
さやか「あんがと、まどか。後はチョコレートを零さないように・・・」
~~~~~作 業 中~~~~~
さやか「よしっ、っと! 後は冷蔵庫に入れれば完成ですね」
まどか「一回で成功してよかったね! あんまり失敗したらチョコレート代でお小遣いが危なかったかも」
マミ「二人ともよく頑張ったわね。テンパリングは初心者には難しいからある程度の失敗は覚悟していたのだけれど、とても手際が良かったわ
私に手伝いを頼むくらいだからてっきり初心者と思っていたけれど、ひょっとして二人ともある程度経験があるのかしら?」
まどか「えっへへ、実は少し」
さやか「まどかが越してきてからだから・・・え~っと、今回で四度目かな?」
マミ「なるほどね、経験があるなら納得だわ。もし今回が初めてでこの手際なら私自信を無くしちゃう所だったわ」
さやか「いやいやマミさんの腕には到底及びませんって、その花弁の形したチョコとか滅茶苦茶凄いじゃないですか」
まどか「こんな立体的なチョコお店でしかみた事ないです」
マミ「これ? これはプラスチックチョコレートっていうのを作ってそれで造るの、慣れればそこまで難しい技術じゃないわ
少し練習すれば鹿目さんも美樹さんもこれくらい簡単に造れる様になるわよ?」
さやか(嘘だ・・・)
まどか(そんなの絶対嘘だよ・・・)
マミ「その顔は信じてないわね、本当よ? まぁ、それは今度にでも教えてあげるとして・・・・・これで二人が作りたいチョコは全部かしら?」
さやか「あ、はい。ちゃんと数えながら型に入れたから間違いないです」
まどか「わたしも冷蔵庫に入れる時に確認したし大丈夫です」
マミ「そう、間違いがないならいいわ。当日になって数が足りないなんて事になったら大変だものね
それにしても美樹さんは随分と沢山作ったわね、一体誰にあのチョコをあげるのかしら?」
さやか「ふふん、皆のアイドルたるさやかちゃんはクラス全員にチョコレートをあげる事にしたのです!」
マミ「友チョコと義理チョコの合わせ技ね、誰とでも仲良くする美樹さんらしいわ」
さやか「ちょっ、マミさんそこは素で対応しないで。突っ込み入らないと恥ずかしいじゃないですか///」
マミ「あら、私何か間違ったかしら?」
まどか「ウェヒヒヒ クラスのみんなにチョコをあげれば上条君にもあげれるからだよね?」
さやか「ナ、ナンノコトカナ? サヤカチャンワカンナイナー」
マミ「ふふっ、そういう事だったの。乙女ね美樹さん」
さやか「うぅぅぅ////」
マミ「でもいつまでもそんな風に誤魔化していたら、その内誰かに上条君を取られてしまうわ。来年はちゃーんと本命チョコ作らなくちゃ、ね?」
さやか「ぜ、善処します」
まどか「林檎みたいに真っ赤だねさやかちゃん♪」(ツンツン
さやか「うー、つつかないでよまどかぁ」
379 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/02/15(水) 00:00:17.03 ID:KoABx4jM0 [1/3]
マミ「でもそれだと変ね、二人の他よりも大きいチョコレートは一体誰にあげるのかしら
少なくとも美樹さんの方はてっきり上条君にあげるものだと思っていたのだけれど、今の話じゃそれは違うのよね?」
さやか「あー、それはですね。知久さんにあげるためのチョコなんです」
マミ「知久さん・・・っていうと、鹿目さんのお父さんよね?」
まどか「はい! わたしの自慢のパパなんです」
さやか「さっき、マミさんにチョコ作りの経験を聞かれた時『今回で四度目』って言いましたよね?
その以前の三度って言うのが、知久さんにバレンタインチョコを作るの手伝ってもらった時の事なんです」
マミ「知久さん、お菓子まで作れるのね。ん・・・? それならなんで知久さんに頼まなかっ―――あぁ、だからね
チョコをあげる相手にその手伝いをしてもらっちゃ格好が付かないもの」
まどか「パパにはいつもたくさんお世話になってるのにチョコをあげた事ないな、って
それで今年はマミさんがいるし、パパにチョコを渡すのは今しかないって思ったんです」
さやか「あたしも知久さんにはすっごいお世話になってるし、ここらで気合の入ったチョコの一つくらい贈ってもバチはあたらないかなぁ、と」
マミ「良い考えね、美味しいチョコを贈ればきっと喜んでくれるわ。教え子の成長が先生の一番の喜びだもの」
まどか「パパ喜んでくれるといいな♪ マミさんに手伝って貰ったけど。それでも昔よりずっと上手に作れるようになったんだもん」
さやか「そうだね、後はデコレートをしっかり成功させなきゃ」
マミ「ホワイトチョコで文字を入れるんだったわね、どんな言葉を入れるか二人とももう考えてある?」
まどか「はいっ!入れる言葉はとっくに決まってます!!」
さやか「入れる言葉なんて一つしかないしね」
マミ「うふふ やる気は十分みたいね、もう少しでチョコも固まるわ。そうしたら仕上げに掛かりましょう、しっかり仕上げて喜んでもらわないとね」
二人「はい!マミさん!!」
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その頃、同時刻 鹿目宅
知久「―――っ痛!」
失態である、料理の最中に包丁で指を切るなんてどれ程ぶりの事だろうか
知久「我ながら身が入ってないなぁ・・・・・」
こんな心持で料理をしていては美味しいものは作れないだろう
これでは詢子に「今日の晩御飯はなんか今一だな?」と言われてしまうかも知れない
知久「女々しい男だな、僕は」
二人がチョコレート作りの手伝いを頼みに来なかった事が思いのほかショックだったらしい
知久にして見れば、自分の特技を直に娘とその友達に役立ててあげる事ができる機会であり
言ってみれば年に一度の「晴れ舞台」でもあったのだ
年に一度の行事とはいえ、経験を重ねる度に二人はチョコ作りが上手くなっており
知久としては今年辺り、もう一段上の技術を教えてもいい頃かと思っていたのだが・・・
知久「はぁ・・・」
指に絆創膏を貼り終えると、知久は再び晩御飯の支度に取り掛かった
結局―――――
バレンタイン当日、「パパ(知久さん)いつもありがとう!」と
大きく感謝の言葉が飾られたチョコレートが二人の手から渡されるまで
鹿目家では今一な味の料理が続くのであった
― お し ま い ―
最終更新:2012年02月28日 01:00