2-805

805 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/06/23(木) 23:08:16.08 ID:J2B5NFL5O [3/7]
さやまどは至高…まどさやは究極…
つまりさやまどさやは至高にして究極の絶対勝利なんですね、わかりm(rty

ふと思いついたのでこんな話を


「ふぃー…今日は暑いねぇ…飲み物が手放せないよ」
「そうだねぇ…」

サンサンと太陽が輝く夏の日、まどかとさやかは教室で駄弁っていた。
それぞれの手には先ほどさやかが自販機で買ってきた紙パックのカフェオレとイチゴオレが握られている。

「そういえばさ、まどかのイチゴオレってこの前入ったばっかのやつだよね?」
「うん、IQBって会社の新製品だって!一回飲んだ時すごく美味しくて、また飲んでみたいなぁってずっと思ってたんだけど今までは売り切ればっかりだったんだ…新しいのが入ったら次の休み時間にはもうなかったし」
「そんなにかい…」

道理で最後の一個買った時周りがガッカリしてたわけだ、とさやかはつい数分前の光景が起こるべくして起こったものだと理解する。
中には二倍の値段で売ってくれと持ちかけてきたり、何を血迷ったか奪い取ろうとしてくる生徒もいたから、すごい人気なのはわかっていたのだが…

「だから、さやかちゃんがこれ買ってきてくれた時本当に嬉しかったな…ありがとうさやかちゃん!」
「あはは~…そこまで言われると照れちゃうな…あたしは偶然それを買ってきただけだし」

こんなことを言っているさやかだが、この言葉、実は嘘である。
本当は数日前自販機にジュースを買いに行った時に、まどかがポツリと漏らした「イチゴオレ、また売り切れかぁ…」という言葉を覚えていたから買ってきたのだ。
が、さすがのさやかもそれを正直に伝える気にはなれない。
何となく…恥ずかしいではないか。

807 名前:805続き[sage] 投稿日:2011/06/23(木) 23:11:42.64 ID:J2B5NFL5O [4/7]
「ま、まぁ、あたしとしても嫁であるまどかにそこまで喜んでもらえて大満足だね!」

照れ隠しにさやかはまどかの髪をクシャクシャと撫でる。まどかは口でこそ「さやかちゃん、くすぐったいよー!」と言っているが決して不快ではないのだろう、手を払うような真似はしなかった。

「おーおー、可愛い反応しちゃって…もうあたし、お持ち帰りしちゃいたいぐらいだよ!」
「か、からかわないでよぉ…」
「あははは!ところでさ…それ、そんなに美味しいの?」

ふと気になって、さやかはそんな事をまどかに訪ねてみる。
何せこれを自販機から教室に持っていくだけで大変な目にあったのだ、さやかがそのイチゴオレに興味を持つのは当然とも言えた。

「うーん…美味しいのは美味しいんだけどなんて説明したらいいのかなぁ…」

だが、まどかは自身の感じた美味しさを上手く説明できないようで、ストローをくわえながら唸っている。
別に無理に聞きたいわけでもないし、あんまり考え込まなくても…とさやかが言おうとしたその時、まどかはいいことを思いついたといった風に笑うとさやかに向けてストロー口を差し出してきた。

808 名前:807続き[sage] 投稿日:2011/06/23(木) 23:13:23.08 ID:J2B5NFL5O [5/7]
「はい、さやかちゃん。飲んでみて」
「いいの?」
「うん。さやかちゃんが買ってきてくれたんだし」
「いや、でもあたしはお使いしてきただけだしな~…そうだ!」

まどかがあれだけ飲みたがっていたものをただでもらうというのも悪い気がして。
さやかはまどかが今しているように自分が飲んでいたカフェオレのストローをまどかに向けて差し出した。

「さやかちゃん?」
「あたしのもあげるよ。それならおあいこでしょ?」

言いながら屈託のない笑みを浮かべるさやかにしばらくキョトンとしていたまどかだったが、やがて笑顔で頷くと躊躇うことなくさやかの持つカフェオレ、そこに挿してあるストローに口を付ける。
チュー…という音と共にまどかがカフェオレを飲みだしたのを確認すると、さやかもまどかが持っているイチゴオレのストローを口にくわえた。

「……」
「……」

2人分の紙パックから飲み物が吸い上げられる音と喉を鳴らす音が、2人以外誰もいない教室ではやけに大きく聞こえる。
互いの持っているジュースを飲んでいるせいか2人の顔は近く、仁美辺りが見たら思いっきり勘違いされそうだ。

「……」
「……」

そもそもこんな形でなくても、ただ互いのパックを交換して飲めばいいはずなのだが、2人の頭には端からそんな選択肢はないらしい。
結果まどかとさやかは勘違いされそうな体勢のまま、ジュースを飲み続けていた。


809 名前:808続き[sage] 投稿日:2011/06/23(木) 23:15:22.52 ID:J2B5NFL5O [6/7]
「……はぁ」
「どう、さやかちゃん?」
「…美味しい、すんごく美味しい」
「えへへ…よかった。さやかちゃんも気に入ってくれたんだね」

そう言って笑うと、まどかは再びイチゴオレに口を付ける。
しかしその瞬間まどかはあれ、そういえばこれって…と何かに思い至ったようで動きをピタッと止めてしまった。

「しっかし不思議な味だね…今まで飲んできたイチゴオレとなんか違……まどか?」
「ね、ねぇさやかちゃん…」

顔を少し赤らめながら何か言おうとしたまどかは、さやかに視線を向けた途端黙り込んでしまう。
まどかの目は…今まさにさやかが飲んでいるカフェオレに向けられていた。

「ん…また飲みたい?」

さやかはまどかの視線がカフェオレに向けられていた事に勘違いしたのだろう、再びカフェオレを差し出してくる。
まどかはとんでもないという風にブンブンと首を振ると、イチゴオレを机に置き、大きな音を立てて立ち上がった。

「おわっ…どうしたのよ、急に!?」
「ご、ごめんさやかちゃん!そういえば私、早乙女先生に呼ばれてたんだ!」
「えっ、ちょっとまどかっ…」
「あ、後そのイチゴオレ全部飲んでいいから!じゃあ、ちょっと行ってくるね!」

さやかに有無を言わせる事なく、まどかは教室から走り去っていく。
さやかは机に置いていかれたイチゴオレと開きっぱなしになった教室の扉を交互に見ていたが、やがて諦めたようにイチゴオレを手に取った。

「…早乙女先生、3日ぐらい前から傷心旅行に行ってていないじゃん」

親友に嘘をつかれた…自分も人の事を言えないとはいえ…ちょっぴり切なくて。
心にちょっとしたしこりを感じながら、さやかはまどかの残したイチゴオレを飲み始めたのだった…

「なんか…さっきほど美味しくないや…」


810 名前:809続き[sage] 投稿日:2011/06/23(木) 23:19:37.01 ID:J2B5NFL5O [7/7]
††

「ううっ…」

教室を走り去ったまどかだったが、さやかもわかっていたように先生に呼ばれていたと言うのは嘘だったわけで。
結局行く当てなどなくまどかはトイレの個室に閉じ籠っていた。

「どうして…」

まどかが嘘をついてまで逃げてしまった理由…それは気付いてしまったからだ。
自分とさやかがいわゆる間接キスを普通にしていた事に。

「なんで私、胸がドキドキしてるの…?」

だが、まどかにとって本当に問題なのはそこではない。
間接キスをしていたと気付いた時…跳ねたのだ、自分の心臓が。
まるで、恋する乙女のように。

「嘘だよ…だ、だって…私達、女の子同士なんだよ…?」

現に今に至るまでさやかと回し飲みなどさんざんやってきたし、間接キスみたいな事だってたくさんあった。
なのに、今回は違った…いつもと違うのなんて互いに飲ませ合いをしたぐらいなのに。

「こんなの、絶対おかしいよぉ…」

わからない…自分はどうしてしまったのか、自分の心を渦巻くこの切なさを伴った痛みは何なのか…

今のまどかには、何もわからなかった…


以上です!
まぁ、2人は親友ですし間接キスくらい平気でやってるとは思うんですが…好きだったら平常心ではいられませんよねー…たぶん。
ちなみにイチゴオレの製造元に大した意味はありません…本当デスヨ?
それでは失礼いたしました!

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2011年08月15日 21:45
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。