413 名前:なければないで落ち着かない!1/2[sage] 投稿日:2012/03/25(日) 23:53:09.09 ID:vdGaj6Gj0 [1/2]
「ふあ~ぁ」
その日魔法少女&魔女同時存在世界…通称まど界住人にしてまどさや同盟まど界支部特攻隊長であるエリーの目覚めは爽やかなものだった。
「うーん…よく寝たぁ…ダニエルー、ジェニファー、朝ごはん持ってきといてー」
自身の使い魔に一言指令を出すとエリーは起き抜けにお気に入りのデスクトップパソコンを立ち上げ、起動するまでの間に顔を洗いに行く。
最低限の身だしなみを整え無造作に髪をいつものツインテールに纏めていたエリーはようやく今日がいつもの朝と違う事に気がついた。
「そういえば…今日はずいぶん静かね」
いつもなら公害レベルで垂れ流されている、まど界創造者鹿目まどかとその旦那たる美樹さやかの甘いやり取り。
それが今日は実際に聞こえる声どころか心の声すら聞こえてこないのだ。
「珍しいわね…まぁ、たまにはこんな日があってもいいけど」
泣いてる声もしないなら喧嘩したわけではないはず…それならこちらが心配するような事はないだろう。
今日は久しぶりにコーヒーに砂糖を入れてみようか…そんなことを考えながらエリーは自室に戻るのだった…
†
「――――」カタカタ…
パソコンでネットサーフィンを始めてから数時間。
しかしエリーはディスプレイに映る文字の羅列に全く集中出来ないでいた。
「――――」カタカタカタ…
理由は言わずもがな…お昼を過ぎてもまどかとさやかの心の声が全く聞こえないのが原因である。
この世界はいわゆる死後の世界であるからそういった類いの心配はしなくてもいいはずなのだが、ここまで音沙汰がないと邪推もしたくなってくるというものなわけで…
「…いや、なんでこんなに気にしてんのよ私は。神様とさやかの事なんだから心配なんかいらないでしょうが」
集中集中…といつものようにM(女神)ちゃんねるにあるいくつものスレに書き込んでいくエリー。
しかしいつもなら時間を忘れるくらい熱中しているその行為が今日はどうにも素直に楽しめず…
そして誤爆が過去最悪の回数を超えた瞬間…エリーは弾けた。
414 名前:なければないで落ち着かない!2/2[sage] 投稿日:2012/03/26(月) 00:00:38.68 ID:/7zsvomD0 [1/2]
「――――あぁ、もう!ほんと毎度毎度何かしらで私に面倒かけさせてくれるバカップルね!」
バンッとキーボードと叩く音にダニエル&ジェニファーがびくついているのにも気付かずエリーはそう毒づくと、指輪をソウルジェムに変化させ魔法少女に変身、窓からまどかとさやかの同居する家に向かって飛び立つ。
口調こそ刺々しいものであるがその実エリーは焦っていた、さやかに電話をかけることを忘れるくらいに。
「――――頼むから、無事でいなさいよ…!」
†
「神様!さやか!」
まど界鹿目家にたどり着いたエリーはいてもたってもいられずドアを蹴破るように家の中に乗り込む。
「ねぇ、ちょっといないの二人、とも…」
そしてリビングに繋がる扉を開けたエリーが見たものは…
「くかー…」
「むにゅう…」
見事に夢の中にいるまどかとさやかの姿だった。
「はあ~~~…そりゃそうだ…全く」
折り重なって寝息を漏らす二人の姿に一気に緊張の糸が解けたエリーはぐったりと床に座り込む。
しょうがないなぁとばかりに息を吐いてはいたが、その顔には隠しきれない安堵の色がたしかにうかがえた。
「むにゃ…まどか…」
「えへへ…さやかちゃぁん…にゅう」
「――ったく、人騒がせなバカップルだよほんと」
除けられていた毛布をかけ直し、エリーはこれだけの騒ぎにも起き出してこない二人の寝顔をジッと見つめる。
夢の中でも一緒にいるのだろう、寝言でお互いの名前ばかり呼び合う二人は本当に幸せそうで…
「人の気も知らないでいい顔しちゃって…ふふっ、かなわないわよ、あんた達には」
無事なのもわかったのだしこれ以上の長居は無用、そう結論付けたエリーは足音を殺しリビングを出ていく。
「おやすみ二人とも、いい夢…はもう見てるか」
明日にはまた騒がしい日常が戻ってくるのを確信しながら…
†
―後日
「そういえばエリー、聞いた?」
「何を?」
「この前神様の家に侵入者が出たらしいの」
「へー…命知らずの物好きもいるもんだね。で、何か盗られたの?」
「いいえ、ただドアが蹴破られていたらしいから警戒を強めるそうよ。神様も不安がっていて犯人は探しだし次第剣の錆にしてやるってさやかさんがご立腹で…」
「――――」ダラダラ…
「早く捕まるといいんだけど…」
「ソ、ソウネー…アハハハハハハ(絶対にばれませんように…!)」
最終更新:2012年04月02日 07:42