ぴちゃぴちゃという音で目が覚めた。
目を覚ますと、豆柴が俺の頬を舐めて起こそうとしていた。
「何だ、ハティか。」
俺はハティを抱き抱えたまま階段を降り、リビングへと向かった。
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「あっリッキーおはよう。ゆっくり眠れた?」
雪音はテレビのニュースを見ながら力人に質問する。
「まぁな、久しぶりに動いたからゆっくり眠れたよ。」
力人がそう言った時、ハティが力人の手から飛び降り、雪音の元へ向かう。
「きっと、おなかがすいてるのよね?今日はリッキーを起こしてくれたからご褒美でごはん多くするね。」
「キャンキャン!」
ハティは鳴きながら、雪音に朝食の催促をする。
「じゃあ、あげるね。」
雪音はさらにドックフードを入れていく。ハティはドッグフードを食べようとしたが
「待て」
雪音の声にハティはピタッと動きを止める。
「お手」
ハティは、お手をすると、ドッグフードを食べ始めた。
「私たちも朝食食べよっか。」「そうしよう。」
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朝食を食べ終えた雪音はハティの散歩に行く準備をし始めた。
「リッキーも行くよ」「えっ俺も?」
「当たり前でしょ。いつバルバロイが出ても良いように運動して体力つけないと…」
「はいはい。」
雪音に言われ、力人も、ハティの散歩に行くことになった。
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雪音は力人と並びながらフリースクール時代に通っていた道を歩く。
「そういえば大きく変わっちまったな」
「そうね、これから世界はどうなっていっちゃうんだろう。」
力人と雪音はこの世界で起きている不可思議な事件の数々を回想していた。
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数年前、世界を震撼させたパンデミックが終息し、人々が平穏を取り戻し始めた頃、世界各地で事故などで死んだはずの人間が、突然怪物化し襲いかかるという映画や漫画のような話が現実に起きた。最初は他人事と思っていた日本でも同様に空がガラスのように割れ異形のものたちが現れ人々を襲い始めるようになり日本は恐怖に再びつつまれた。最初は警察や自衛隊が対処していたが、自衛隊の武器による、負傷者の発生などにより、人々から信頼を失った時、大企業のDREAM AND HOPEがプロゲーマー達による異世界人退治を提案し、政府もこれを承認、異世界からくる異形のものたちを<異空生命体バルバロイ>と総称し
政府とDREAM AND HOPE共同の特務機関<日本プロゲーマー協会異空生命体対策本部:通称ゲーマー協会>が対策していくことになった。
「リッキー、今朝のニュースで言っていたんだけど、カナヴァルが来日して来年以降からゲーマー協会に代わってバルバロイ対策することを検討しているんだって。」
「カナヴァルってヨーロッパでできたゲーマー協会みたいなやつか?なんかあいつらもあいつらで怪しいんだよなぁ。」
「そうね。」
雪音が少し頷いた時、突然ハティが走り出した。
「ハティ!どうしたの?」
ハーネスがちぎれるかと思うほど強い力で引っ張るハティに雪音が引っ張られていく。
「リッキー!なんとかして!」
「ああ、わかった。」
力人は急いでハティを抱きかかえたが腕をすり抜け、坂道の下を駆け下り、走ってきた車にはねられそうになった。
「ハティ!!」
幸音がそう叫んだ瞬間、ハティを青年が抱きかかえた。
息を切らしながら、雪音は青年に礼をする
「ほんとに、ありがとうございます。ってマッハさん?」
ハティを助けた青年は雪音が力人と会わせようとしていたゲーマー雨都創亮あめつそうすけ(マッハ)であった。
「雪音さんの犬だったんですか。助かってよかったです。」
そう言うとマッハは雪音にハティを渡す。
動き疲れたためか、ハティは雪音の腕の中で眠っていた。
「これで5件目か…」
「「どういうことだ(ですか)?」」
マッハの呟きに力人と雪音は聞き返す
「ああ、実はこの一週間に動物が突然暴れ出したりするという事件が相次いでいるんだ。それもゾウやパンダのような動物園とかにいる用のじゃなくて、犬や猫ばかりでね。そこでバルバロイが絡んでいる可能性があるということで、調査していたところだったんだ。だから、リッキーとの話し合いは遅れると思う」
「そうなんですね、じゃあ私も協力しますね。」
「雪音さん、いいのか?」
「そのほうが、早く調査も終わると思うし……リッキーも手伝ってくれるよね?」
「えぇ……でもなぁ……」
嫌がる様子の力人に雪音が耳打ちで説得する。
「もしここで、リッキーがバルバロイを倒して事件を解決したら、協会に認められるかもよ?」
「そうか、じゃあやるぜ。」
雪音の説得を聞いた力人はやる気を出し、マッハとともに事件を調べることにした。
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「あとは、ここだ。」
マッハに連れられてついた場所は大きなペットショップであった。
「ここで、事件が起きたのか?」
力人の質問にマッハは横に首を振る
「いや、逆だ、ここでは一度も起きていない。そしてこの町で一番大きいペットショップなのに、だ。おかしいと思わないか?」
「確かに。もし犬や猫を暴走させたいなら、こういうところから狙うのが効果的だと思うけど…」
雪音がそう言ったその時、ペットショップの中からガシャンと大きな物音がした。
「マッハ、入るぞ」
「リッキー、入る前に一つ言っていいか?」
マッハがそう言いかけた時には力人はペットショップに入って行ってしまった。
「待て(待ってよ)リッキー!」
マッハと雪音は力人を追ってペットショップに入っていった。
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ペットショップの中は犬や猫が暴れまわり、荒らされていた。
そこには緑色の服と葉のように尖った耳の少年がハンドベルを振りながら笑っていた。
「エルフか。リッキー、準備はいいか?」
「準備なんかしなくても、俺が潰す。最強のゲーマーの俺がな。」
力人は、コントローラーにカセットを差し込みながらエルフに向かっていった。
『Trans change:スカイ・リッキー!』
力人はスカイリッキーにトランスチェンジするとエルフにタックルし、体制を崩したところに蹴りを入れる。
「痛いなぁ、ボクの楽しみをジャマしないでよ。」
「楽しみだと?お前の目的はなんだ?」
「だから、このベルで動物を操って、人々を転生させるのさ。僕にはこれくらいが限界だけどね」
そう言いながらエルフがハンドベルを振ると、ペットショップの窓を割って野良犬達がスカイリッキーをめがけて襲い掛かる。
エルフを追いかけようとするスカイリッキーだが獰猛な野良犬の群れに阻まれ、エルフを取り逃してしまった。
「クソっ、どうすれば……」
力人が頭を抱えた刹那
『Trans change:マッハ・ファイター!』
絶体絶命のリッキーの前にトランス・チェンジをしたが現れ、野良犬達を追い払ってくれた。
野良犬達は蜘蛛の子を散らすようにペットショップの駐車場側へと逃げていった。
「リッキー、大丈夫だったか?」
「マッハ、すまねぇ。一人で突っ走って」
「反省は後だ。今は目の前の異空生命体バルバロイを追うのを優先しろ」
「ああ、そうだな」
スカイリッキーとマッハが野良犬達の後を追うと駐車場の入り口付近へと逃げていくエルフを発見した。
「今だ、リッキー! 一気に攻めるぞ」
「OKだぜ、マッハ!」
二人は背後からエルフに向かって飛び蹴りを入れる。
エルフは駐車場の柱に叩きつけられた。
「ひどいなぁ。二対一なんて」
叩きつけられながらも、余裕の表情を見せるエルフにマッハは口を開いた。
「命を利用したお前には言われたくないな。予告する。お前の残りターンは0ターンだ」
マッハはコントローラーのBボタンを長押ししながら、助走をつけ、エルフに強烈なアッパーカットを打つ
「今だ、リッキー、EXスキルを放て!」
「EX能力エクストリームスキル:大竜巻斬グラン・トルネード」
スカイリッキーはコントローラーを操作し、ヘラクレスオオカブトの角を模した剣〈ヘラクレスホーン〉を取り出し作り出しだ竜巻を剣にまとわせ、エルフへと走っていく。
「あ……あぁ……」
エルフは恐怖のあまり鈴を落としたまま尻餅をついて後退りするばかりで攻撃することもままならなくなっていた。
「これでゲームセットだ」
その言葉と共にスカイリッキーはエルフを一刀両断した。
真っ二つになったエルフは、身体中が輝くと光を撒き散らしながら崩れていった。
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「今回はこれを回収してと」
エルフが落としたハンドベルを回収するマッハに向けて力人は感謝と謝罪を行う。
「マッハ、ありがとな。それとごめんな」
「いいんだよ。俺はリッキーの兄弟子だからね」
「え?兄弟子?」
「雪音から聞いてなかったのか?俺の師匠はリッキーと同じくツルギだ。実は雪音さんからツルギがいなくなった後はリッキーの師になってくれと頼まれてな。」
「もしかして俺と戦い方が似てるのも?」
「そういうことだ。そもそも教わった技法が同じだからな」
「なんだぁ、そういうことだったのか。俺が弱いわけじゃなかったのか」
リッキーが安堵した時ペットショップの中から雪音が現れた。
「マッハさんありがとうございます。リッキーはどうでした?」
「そうだね。人の話を聞かず突っ走ってしまうっていう問題点はあったものの敵の隙を作り、次々と技を仕掛ける点は評価できるな。まぁ、誰しも弱点や欠点はあるから、そこは俺と雪音さんで直していけばいいさ。」
マッハに注意はされたものの高評価された事にリッキーは喜びの声を上げガッツポーズをする。
「喜んでいるところ、悪いが…」
「ん?なんだ?」
「実は、俺がリッキー達に会うことにしてたのは、リッキーに話があったからなんだ。」
「話ってなんだ?」
「単刀直入に聞く、ゲーマー協会についてどう思うか?」
「まぁ、いつかは、戻りたいと思っているけど、無理だろうな。俺は不正をして勝ったことになってるから」
「え?どういうこと?」
聞き返す雪音に対し力人は口を開く
「実はやめたわけではないんだ。ビーストとの試合の後に呼び出されて、お前は不正をしたって言われてな……」
「そうか……リッキー、お前は不正はしてないのに不正したことになってるんだろ?」
「そうだよ……俺はしてないと何度も言ったさ。でも誰にも信用してもらえなかった」
「だろうな、雪音には伝えてたんだが、実はあの時からリッキーはやめたんじゃなくてチーターの濡れ衣を着せられて追放されてんじゃないかって四神の間で噂が流れてたんだ」
「〈Hercules〉(ヘラクレス)が急遽解散された後に、マッハさんからそれを聞いてね……調べに行ったんだけど、デマに惑わされてるって言われて違反者を擁護したからって降格されちゃってね」
マッハと雪音の衝撃的な発言の内容にリッキーは驚愕し、地面に手をつく。
「そんなことが…俺のせいで雪音は……そして俺は奴らゲーマー協会に利用されてたのか…」
力人の中で今まで信じてきた物が音を立てて崩れていくのを感じ、項垂れる。そんな力人にマッハは肩に手を置き、口を開いた。
「リッキー、俺とともに、ゲーマー協会を変えないか?」
「ゲーマー協会を変える…?」
「そうだ。今のゲーマー協会は腐っている。上の奴らは八百長や不正を平然と行いそれを隠蔽し、不正はすべて下の階級の責任に押し付け追放する。挙句の果てには協会内でcheat666なんて名前のドーピングが横行し、それによって苦しめられている人もいるのに見て見ぬふりだ。だから僕は……俺はゲーマー協会をよくしたいんだ。だが俺一人では変えるどころか逆に潰されてしまうだろう。そこでリッキーと雪音の力が必要なんだ。ゲーマー協会の闇を目の当たりにした君たちなら、変えてくれると。どうする?俺とともにゲーマー協会の真実を探さないか?」
マッハの提案に、リッキーは顔を上げ立ち上がった。
「俺は、ゲーマー協会を良くするために戦う!」
リッキーは雪音、マッハとともにゲーマー協会の闇へ立ち向かうことを誓うのだった。
お久しぶりです。シンワです。
今回は雪音に続くリッキーの相棒になる人物マッハが登場します。
それと色々あったため小説を書くタイミングがなく、リハビリ的な執筆となっていますので、グダグダかもしれませんので、アドバイスや感想をお願いします。
また今回から、登場したバルバロイや設定、世界観を紹介していきたいと思います。
ーーエルフーー
ファンタジーRPGやライトノベルではお馴染みの妖精。
今回のエルフは少年で、謎のハンドベルを使用して動物を操って人間を襲わせる転生殺人を行おうとしていたようだ。
(よく考えてみると犬や猫を使ってどうやって転生させるつもりだったのだろうか……)
最終更新:2025年03月08日 14:21