マッハがビーストと戦っている頃、リッキーは雪音と共にバルバロイと戦っていた。
今回のバルバロイは全身が黒い人型の怪物で、右手を前にかざすと手には斧が握られていた。
リッキーはその斧をかわしてカウンター攻撃をしようとした瞬間だった。
バルバロイが左手に持っている銃のような武器を構えて銃弾を放ったのだ。
(まずい!)
リッキーはギリギリで避けながら思った。
(あの攻撃は危険すぎる……。このままじゃ負ける!)
そう思いつつも避けることしかできなかった。なぜならこの攻撃を避けるだけで精一杯なのだからだ。
バルバロイの攻撃を避けつつ、反撃をする余裕がないのだ。
リッキーはどうにか打開策を考え、一つだけ思いついたことがある。
(あいつを倒すには……)
リッキーはバルバロイの後ろに回り込み、そのまま後ろ蹴りをして吹っ飛ばした。
バルバロイはそのまま壁に激突し、壁を壊した。
そしてバルバロイが起き上がったところでリッキーは雪音に言う。
「雪音、フローズンバインドを発動してくれ」
「うん、能力スキル:冷凍拘束フローズン・バインド」
雪音はコントローラーのBと書かれたボタンを押し掌を大地に置き、氷の波動をバルバロイに放った。
氷の波動はバルバロイを包み、凍結させた。
バルバロイは動こうとしたが動けなかった。
「これでゲームセットだ!」
リッキーはヘラクレスオオカブトの角を模した剣を片手に持つとコントローラーのAとBと書かれたボタンを押しながら走り出し回転と同時にバルバロイに突撃する。
「グギギー!」
バルバロイはリッキーの大車輪により真っ二つになり倒された。
「よし!やったぞ!!」
「やったわねリッキー!」
そう言いながら雪音はリッキーに抱きついた。
「おい!雪音、重いって……」
「今、なんか言った?」
「いや、何も」
そう言いながらリッキーが雪音をどかそうとした時だった。
『ピロン!!』という通知音が雪音のスマホから鳴った。
「「何だ?「何かしら?」」
雪音がスマホを開けると通達が来ていた。
内容はバルバロイが現れたため、指定された場所に来てほしいと言うものであった。
「え!?嘘!?また出たの!?」
リッキーと雪音は指定の場所に向かうことにした。
ーーーーーーーー
「ここにバルバロイが現れるのか?」
指定された場所に着くとそこは薄暗い倉庫であり、バルバロイはおろか人影すら見当たらなかった。
「誰もいないみたいね」
「ああ、そうだな。でもここにバルバロイが出るんだろ?早く探さないと……」
リッキーがそう言った瞬間だった。突然背後に誰かが現れてリッキーを殴りつけた。
リッキーは吹っ飛ばされたがすぐに立ち上がり構える。
リッキーが振り返るとそこには王我が立っていた。
どうやら先ほどの攻撃はこの男によるものらしい。
「バルバロイはどこだ?」
リッキーが言うと王我は答える。
「バルバロイ?それは君たちだよ。」
「俺達だと?」
リッキーは意味が分からず聞き返す。
それに対しビーストは返した
「君たちはマッハとか言う奴と一緒にゲーマー協会を倒そうとしているみたいだからね、つまりゲーマー協会から見た君達は敵。バルバロイってわけさ」
そう言い放つと王我はリッキーを蹴り飛ばし、リッキーは吹っ飛んだ。
リッキーは立ち上がろうとするが膝をつく。
「リッキー!」
雪音が叫ぶとリッキーは答えた。
「大丈夫だ。まだいける!」
リッキーは再び立ち上がる。
「へぇ……しぶといね。でも無駄だよ。」
そう言いながら王我はコントローラーにカセットをセットした。
「トランス・チェンジ」
王我がそう言うと王我は光に包まれる。
光が収まるとそこには王我は獅子や狼を想起するような姿の戦士の姿になった。
「さてとバルバロイ狩りをしようか」
そう言いながら王我はリッキーと雪音に襲い掛かる。
「雪音、俺たちも行くぞ」
「うん、わかった」
「「トランス・チェンジ」」
リッキーと雪音もトランス・チェンジをし、ビーストに立ち向かうが、ビーストはコントローラーのXのボタンを押し、マシンガンを取り出す。
「これで終わりかな」
そう言いながらビーストはコントローラーを操作し、撃ち続ける。最初は避けていたリッキーだったが、が雪音に向かったのを察知すると雪音を庇い、リッキーはダメージを受けた。
「リッキー!」
「大丈夫だ。これくらい平気だ」
リッキーはそう言うが明らかにリッキーは限界を迎えているようだった。
「へぇ……まだ動けるんだ。でも無駄だよ。」
ビーストはそう言いながら雪音に近づき、気絶させると雪音を掴んだ。
「どうした?リッキー?大切な人を盾にされて悔しいか?」
そう言いながら王我はリッキーを挑発する。
「てめえ……」
「ははは!いいねぇ〜そういう表情。もっと見せてくれよ」
ビーストがそう言いながらリッキーに近づいたその時、突如として壁が破壊され、創介が現れた。
「お前、あの時俺が倒したはずじゃ……」
驚愕するビーストに創介は言う。
「あんな攻撃じゃ俺は倒せないぜ」
「てめぇの攻撃は俺には効かないって言ってんだよ」
「ふざけるな!ならこれを受けてみろ!」
そう言うとビーストはRボタンを押した後にxボタンを操作し、アサルトライフルを取り出すと、創介に向かって撃ち始めた。
「もうその攻撃は見切ったって」
そう言いながら創介はマッハファイターにトランス・チェンジしビーストの攻撃を避けながら接近する。
「てめぇ……!」
「3ターン。いや1ターンで片づける。」
そう言いながら創介はビーストを殴り飛ばし、コントローラーを吹き飛ばした。
コントローラーが外れたビーストは王我に戻り、倉庫から逃走した。
リッキーはそれを見届けながら気を失った。
ーーーーー
次に目が覚めると雪音と創介がリッキーに話しかけてきた。
「リッキー大丈夫か?」
「あぁ……なんとかな」
「リッキー……ごめんなさい」
謝る雪音に対してリッキーは気にしていないように言う。
「別に良いさ。雪音が無事だったんだから」
「リッキー…」
リッキーの言葉を聞き、雪音は嬉しくなる。
創介はリッキーたちの様子を見ながら言った。
「リッキー…もっと強くなれ。今のままではあいつには勝てない。」
「えっ……」
「確かにお前は最強のゲーマーかもしれない。だがそれでもビーストには勝てなかった。そうだろう?」
「俺は最強の…」
リッキーは言い返そうとしたが、自分が強くなかったために雪音を盾にされて負けてしまったことを思い出し、何も言えなくなった。
「俺……俺は……」
「お前は確かに強い。だが、自分の力を過信している。このままいけばいつかお前は大切なものを失うことになる。だからそうならないように俺はお前を鍛える。真の意味で最強のゲーマーにする。」
「今のリッキーが王我を倒すために必要なのは戦術と仲間を増やすことだ。そのためにゲーマーの専門高校〈B学園高校〉に雪音と行くんだ。」
そう言いながら創介はリッキーと雪音に封筒を渡した。
「これは?」
「俺からの推薦状だ。これでB学園高校に入れる。」
創介はリッキーと雪音に推薦状を渡すと、リッキーと雪音を雪音の家まで送った。
ーーー
場所が変わって、都内にある病院。
日付が変わるころ、事故で昏睡状態だった月浪稔と言う青年が突然目を開け、起き上がると病院から抜け出し夜の街へと消えていった。
シンワです。
今回の話はリッキーがゲーマーとして復帰し、ゲーマーの養成高校に入学を決意するまでの話です。
この3話まではプロローグのような話で、次回から新章が始まる予定です。
今回の最後に登場した月浪稔がもう一人の主人公として出していきたいので、応援よろしくお願いします。
最終更新:2025年07月21日 17:05