SKY RICKEY 第13話「遭遇」

修学旅行のバスの中、高校生たちは、いつものように賑やかに会話を弾ませていた。窓の外には、雄大な自然が広がり、生徒たちの笑い声が車内に響く。しかし、その日常は突如として破られた。



眩い光がバスを包み、生徒たちの意識は闇へと沈んでいく。一瞬の静寂の後、目を開けた時、彼らは見知らぬ広間に立っていた。冷たい空気が肌を刺し、高い天井から降り注ぐ光は、不気味な静寂を演出していた。



「ここは……?」



「どうなってるんだ?」



生徒たちは混乱し、不安げに周囲を見渡す。先ほどまでの自然豊かな景色は消え、目の前には石造りの広間が広がっていた。



「落ち着いて! 皆、落ち着いて!」



一人の教師が、震える声で生徒たちを宥めようとする。しかし、その声は震え、不安を隠しきれていない。



「大丈夫、きっとすぐに……」



その言葉は最後まで紡がれなかった。空気が凍りついたかのように静寂が訪れたと同時、教師の頭部が音もなく吹き飛び、赤い血飛沫が宙を舞う。



悲鳴が響き、生徒たちはパニックに陥る。恐怖に駆られ、出口を求めて走り出す者、泣き崩れる者、呆然と立ち尽くす者。広間は混乱の渦に包まれた。



「集められし者よ、静まりなさい。我がヴァルムーク王国の王女、イドラの声を聞こえぬのか!」



その時、広間にある玉座に座っていた女性がゆっくりと立ち上がる。深紅のドレスを纏い、金色の髪を風になびかせる彼女は、冷たい瞳で生徒たちを見下ろす。



イドラの威圧感に、生徒たちは身動きを止める。その声は冷たく、虫けらを見るような目をしていた。



「あなたたちは、来たる大国との争いのための戦力となるために召喚よびだされた。従わぬ者は……あの女と同じ運命を辿るだけだ」



イドラは首のなくなった教師だったものを指差して冷たく言い放つ。



その瞬間、広間の扉が轟音を立てて吹き飛ばされ、何か巨大な影が猛然と突進してきた。その衝撃で、玉座に座っていたイドラは壁に叩きつけられ、瓦礫の山に埋もれる。



「ぐはっ……」



そして土埃が引き、瓦礫の中から、灰色の体と馬の頭を持つ騎士が現れる。



「ホースマンだ!」



生徒たちの誰かが、震える声で呟いた。



ホースバルバロイは、生徒たちを一瞥すると、首を振り、出口へと導く。生徒たちは恐怖に駆られながらも、その導きに従い、広間から逃げ出した。



「貴様……何者だ!」



イドラは瓦礫の中から這い出し、その手に炎の魔法が宿しながら、怒りに満ちた声で叫んだ。



ホースバルバロイは、イドラの魔法をかわし、再び彼女に迫る。イドラは必死に防御の魔法を展開するが、ホースバルバロイの一撃で粉々に砕け散る。



イドラの魔法は次々とかわされ、彼女は追い詰められていく。最後の防御魔法を展開するも、それすらホースバルバロイの一撃で粉々に砕け散る。それと同時、拳が彼女の鳩尾を貫いた。



「このままでは……我が王国が……」



イドラの呟きは虚しく響き、脳裏には走馬灯が駆けめぐる中、彼女の意識は闇へと沈んでいく。ホースバルバロイはためらうことなく、身体から光の剣を引き抜くと、イドラを一刀両断した。



戦いが終わり、ホースバルバロイの灰色の体は徐々に實へと戻っていく。彼は駆けつけた鵠ゆめと、生徒たちが救助される様子を静かに見守っていた。

月浪實は、拳を握りしめ、静かに瞳を閉じた。その表情には、救えなかった者たちへの悔恨と、救助された者たちへの安堵が入り混じり、複雑なものになっていた。



ーーー



翌朝、力人と雪音はいつものように朝食を終え、テレビのニュースを眺めていた。



「昨日、修学旅行中のバスが異世界に召喚されるという事件が」



画面には、ホースバルバロイが生徒たちを救った様子が報じられている。



「みのるん……さすがだな」



力人は感心したように呟いたが、次の瞬間、雪音が焦った声を上げた。



「リッキー、早く! 遅刻するよ!」



テレビ画面の時計を見ていた力人は、顔を青ざめさせて立ち上がる。



「やばい、いつもの電車に遅れる!」



「だから言ったのに!」



雪音は呆れたように言いながら、通学鞄を掴んで力人の後を追った。



ーーー



世田谷区の帝釈台から、ようやく電車に乗り込む。



B高校のある渋谷駅に到着すると、2人はいつもと違う騒々しさに気づいた。駅前のロータリーがざわめきで溢れ、周囲の喧騒が耳をつんざくほどだった。



「何だ、この騒々しさ…」



力人は耳を塞ぎながらつぶやき、雪音も同じように耳を押さえた。



駅前の広場には人だかりができており、その中心では政治家気取りの男が大声で演説していた。



「我が国日本では!!バルバロイという脅威に苦しむ皆様がどうも多い!そんな状況下、黙って見てたら、私ら全員取って食われますよ!!そんなんやでしょうに!!」



彼の熱気あふれる演説に、聴衆が騒ぎ立て始める。荒唐無稽で無謀な内容にすぎないが、巧みな演説に、周りの人々が勝手に盛り上がっていた。



「いいぞ!椿!」



「あんな頼りないゲーマーなんかよりも俺たちが武器を持ってバルバロイを駆除すればこの国は守られるんだ!」



「無謀すぎるだろ、こいつら……それに人取って食うバルバロイなんか見たことないぞ」



「リッキー、ちょっと黙って……」



力人はその光景と聴衆の発言に力人は呆れたように鼻で笑った。 その様子に雪音は注意しながらも少し険しい顔をしていた。



その時、二人の前に一人の男性が現れた。爽やかな笑顔を浮かべたその男は、演説している人物を一瞥しながら言った。



「あれは『人迫特会』っていう団体の椿さんですね。過激な団体だからあまり耳を貸さない方が良いですよ」



「人迫特会?」



「えっと、おじさんは?」



聞きなれない単語に首を傾げる雪音を横目に力人は一瞬戸惑いながらも男に質問した。



「失礼でしょ!リッキー!すみません!失礼なこと言っちゃって……」



力人の失礼な問いにその一言に雪音がすかさず肘で力人を突き、慌てて謝った。



「僕は加賀美俊夫。一応君たちと同じゲーマーです」



その光景に男は笑いながら、自己紹介と同時に名刺を取り出し、二人に手渡す。



「ゲーマーなんですか……」



雪音が驚きの表情を浮かべたが、力人は別のことに気づいて驚いた顔をしていた。



「どうして俺たちがゲーマーだってわかったんですか⁉︎」



力人の質問に加賀美は微笑みながら答えた。



「この時間帯に私服で歩いてる高校生位の子って、B高校の生徒が多いんだ。それに、君たちの雰囲気がゲーマーっぽいからね」



少し驚きつつも納得する二人に対し加賀美は爽やかな笑顔で話を続けた。



「だったらここに長居しない方がいいよ。人迫特会は、ゲーマーには友好的じゃないからね。騒ぎに巻き込まれるだけだし、特に君たちのような学生でゲーマーは注意した方がいい。それに……君たちも急いでるんじゃないの?」



「本当だ、遅れる!」



その一言で、力人ははっとし、雪音も同時に時計を確認した。



加賀美の促しもあって、二人は礼を言い、急いで学校へ向かった。



加賀美は二人が去るのを見送りながら、ふと呟いた。



「リッキー……?何処かで聴き覚えがあるような……」



ーーー



力人と雪音は、校舎まで全力で駆け抜け、なんとかギリギリで教室に滑り込んだ。息を切らせながらも、二人は互いに目を合わせて苦笑いを浮かべる。だが、いつもなら既に始まっているはずのホームルームはまだ始まっていなかった。教室内のざわめきがどこか落ち着かない雰囲気を醸し出している。



「なんでまだ始まってないんだ……?」



力人が不思議そうに呟く。



「さあ……?でも、まあ助かったかもね」



雪音が淡々と答えながら、机の横に鞄を掛けたその瞬間――名刺が鞄から滑り落ち、軽やかな音を立てて床に舞い落ちた。



「あ……」



気づいた雪音が手を伸ばす前に、目ざとくそれを拾い上げたのは、同じクラスメートの晴海霖太郎だった。霖太郎はきっちりと制服を整え、どこか冷静で優雅な仕草で名刺を見つめる。



「加賀美さんに会ったのか?」



霖太郎が、名刺を見つめながら驚きつつも尋ねた。彼の表情はどこか興味深そうだった。



「うん……さっきなんちゃら特会とかっていう集団の演説があって、その時にさ」



力人は少し曖昧に答えながら、雪音に視線を向けた。彼女も頷き、加賀美との短いやり取りを思い返していた。



「もしかして人迫特会か?」



「そうそうそれそれ」



「なるほどな……それにしても2人はすごい人と出会ってんな」



霖太郎は静かに名刺を2人に返しながら、少し声を落として言った。



「そんなにすごい人なのか⁉︎」



力人の問いに霖太郎は呟くように口を開く。



「2人は加賀美元総理って知ってるか?」



突如出てきた人物の名に雪音が思い出したように言葉を挟む。



「もしかして、ゲ・ー・マ・ー・総・理・って呼ばれていた加賀美総士元総理のこと?」



「そうだよ。俊夫さんはその孫なんだ。だけど他・の・人・達・と違って家柄などを鼻にかけず純粋にゲーマーとして活動している。僕含めて尊敬している人は多いと思うよ」



「そんなすごいやつだったのか……普通の兄ちゃんだと思ってた」



力人は目を丸くして名刺を改めて見直す






扉の向こうから、校長の戸隠と、初対面の男性が入ってきた。その男性はオールバックに整えた髪と鋭い目つきで、まるで刑事ドラマから飛び出してきたようなハードボイルドな雰囲気をまとっていた。

黒いジャケットの肩口が厚く、静かな迫力を感じさせる。



「皆さん、少しお知らせがあります」



戸隠の低い声が教室の空気を引き締める。



「梅田先生が急病でしばらくお休みすることになりましたので……本日から、この武良井寛太郎先生が代理を務めます」



武良井は視線を教室内に巡らせ、軽く顎を引いて会釈した。深みのある低音で短く言葉を発する。



「俺が武良井寛太郎だ。しばらくの間、よろしく頼む」



武良井が低く響く声で挨拶すると、教室全体が不思議な沈黙に包まれた。だが、その無骨ながらも落ち着いた佇まいは、どこか温かな雰囲気も併せ持っていた。戸隠は表情を崩さず、ただ淡々と紹介を終えたが、その時――戸隠の目がふと右上に動いた。



それは一瞬のことだったが、力人の中に小さな違和感が生まれた。



「……何かあんのかな」



力人は戸隠の様子を横目で追いながら、小さく呟いた。



ーーー



深い闇に包まれた奇妙な空間。市松模様の床がチェス盤のように広がり、その中央に立つ青髪の少女――アルケーは冷たい目で何かを待っていた。



そこに、ヒップホップ調の軽快なリズムに乗ってラッパー風の男が現れる。全身からビートを溢れさせながら、彼は軽快にラップの調子で口を開いた。



「Yo, yo, アルケー嬢ちゃん、ノルマのカウント、残りはどうなん?」



リズムに合わせ、彼は言葉を転がしながら軽く肩を揺らす。



「俺は準備万端、余裕シャッタン、任せときな、バルバロイのパターン」



アルケーは彼の問いに何も答えなかった。ただ、冷たく微笑んだだけだ。その冷笑は、彼の質問があまりにくだらないと思っているかのようだった。



その無言の返答に、ラッパー風の男は一瞬目を見開いたが、すぐに納得したように頷いた。



「Ah-ha, Say no more, I get the vibe お嬢が言わなくても俺はDrive」



彼は足でビートを刻みながら、何事もなかったかのように踵を返して去っていった。部屋には再び静寂が戻り、アルケーはこれから起きるであろう惨状を期待するかのように笑みを浮かべた。



ーーー



昼休み、窓際に立つ力人は、霖太郎と話し込んでいた。



「まさか武良井先生が先生やってたとはな」



「どういうことだ?」



半ば感心したように呟く霖太郎に雪音が作ってくれたサンドイッチを口に運びながら力人は質問する。

それに対し霖太郎は笑いながら、少し得意げに語り始めた。



「彼はね、『good daddy』っていうストリーマーチームの代表なんだ。あのチームはゲームを通して対人関係の改善とか色々な理由で社会から外れてしまった人達の社会復帰を目的に活動している。つまり教育とゲームを融合させてるってわけさ」



「ゲーマー協会以外にも凄い人たちっているんだな」



力人にとって、ゲーマー協会の外にあるコミュニティは遠い世界の話だった。雪音と共にフリーランスになるまで協会にいた力人にとって、未知の領域に迷い込んだような感覚を覚える。



「俺、その辺あんまり詳しくないんだよな。ストリーマーチームってそんなに凄いのか?」



力人が素直に問いかけると、霖太郎は少し考える素振りを見せた後、軽く頷いた。



「そうだな……協会だけがゲーマーの世界ってだけじゃない。お前ももう少し外の世界を知るといいかもな」



その時、雪音がひょっこりと現れ、二人の会話に割って入った。



「リッキー、武良井先生から伝言があるわ。『任務について話がある』って」



「また任務か……」



力人は軽くため息をつく。まるで肩に乗った重荷を一瞬でも下ろしたかったような表情だ。



霖太郎はそれを見て、微笑みを浮かべた。



「フリーランスのゲーマーってのは、自分から任務を取ってこなきゃいけないだろ? だから午後のトレーニングも任務に置きかわっちまう。そういう意味ではお前たちも大変だな……」



そして、力人に向けて少し冗談めかした口調で言葉を続けた。

「油断するなよ。お前はすぐに周りが見えなくなるところがあるからさ」



その言葉に、力人は少しばかり顔をしかめながらも、どこか照れたような笑みを返した。



ーーー



武良井との面談のため、力人と雪音は職員室へ向かう。武良井は彼らの姿を認めると、落ち着いた表情で話を切り出した。



「荻窪の図書館にバルバロイが出没したとのことだ。討伐の依頼が来ている。早めに現場に向かってくれ」

武良井は簡潔にそう告げ、手元の書類に目を落とした。



力人と雪音は頷き合い、準備を整えると荻窪へと向かうために教室を後にした。



雪音も静かに頷き、二人は迷いのない足取りで職員室を後にした。彼らにとって、討伐任務自体は日常の一部であり、恐れるものではない。ただ、今回はいつもとどこか違う緊張感があった。それが何なのか、力人はまだ言葉にできなかったが、確かにそれを感じ取っていた。



風が窓を叩き、まるでこれからの戦いを予感させるように教室の外で木々がざわめいていた。



ここまで読んでくださり、ありがとうございます! シンワです。



今回では新キャラクターが多数登場しました。特に、教師として登場した武良井寛太郎は「見た人が思わずウホッと言ってしまう」ほどのいい男という、個性的かつ強烈なコンセプトで誕生しました。彼の活躍が、物語にどのような影響を与えるのか楽しみにしていただければ幸いです。



また、今回の物語に登場する人迫特会や加賀美俊夫というキャラクターたちは、作品作りに協力してくださったホムイヒトとか言うキチガイと共に生み出されたものです。この場を借りて、心からの感謝をお伝えいたします。

これからも新たなキャラクターや展開が待っていますので、引き続き物語の行方を見守っていただければと思います。次回も新キャラが続々と登場し、もう1人の主人公である「彼」も活躍する予定です。
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  • SKY RICKEY~無益な不幸を呼ぶ異世界転生を止めるためにゲーマーの俺が幼馴染ヒロインと異世界人〈バルバロイ〉退治を再開します〜
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  • 久しぶりにお前の顔見たら やっぱ俺の気持ち 自分で良くわかった 嘘じゃないって 毛深いガチムチのカラダ 前よりずっと 男前になったよな 子供も出来て幸せそうに見えるけど 俺のことも 忘れてないんだろ 俺が欲しかったら たっぷりくれてやるよ いつでも 俺だって お前のケツが恋しい 前みたく 俺に甘えてこいよ 素直になって 「男同士でこんなこともう無理っす」 って泣きながら言ったよな
  • おまんこ、ちんぽこ、金玉、おまんこ、ちんぽこ、金玉、おまんこ、ちんぽこ、金玉、 がばんちゃん、私の思
最終更新:2025年04月09日 20:21
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