謎の地底都市 ムバルポロスに迫る!


2004.09.30


ゴブリンを知らない者はいないだろう。

タルタルをひとまわり大きくしたような体格に、汚れたマスクと垂れた耳。特徴ある彼らの姿は、街の中では行商人として、街道では夜盗として、常に我々の身近なところで目にすることができる。

しかし、都市に定住している珍しいゴブリンでさえ、住民からは一様によそ者として扱われている。それは彼らが、家族単位あるいは単身での生活を好み、自ら大きな共同体を作ろうとはせず、また他の共 同体に属することも避けているためである。

ところで、彼らの知能や知識を評価する研究者は意外と多い。中には、ゴブリンのそれは人間を上まわっている、と警鐘を鳴らす学者さえいるほどだ。

事実、ゴブリンの多くは複数の言語を操るし、凝った仕掛けつきの打上花火や自動巻き上げクロスボウなど、彼らが発明した品を我々が目にする機会も多い。

そこでひとつ、仮定してみたい。そんな高い知能を持つゴブリンが、もし共同体を築いたらどうなるのだろう。我々人間にとって新たな脅威となりはしないだろうか。

本紙は、その答えとなるかもしれない情報を、あるゴブリンから入手した。

「ゴブリン、のとちがう。けど、都市あるよ。足の裏、ずっと下」

獣人銀貨1枚と引き換えに、彼が語りだしたのは、なんとゴブリンの支族モブリンが地底に築いたという都市の話だった。彼らはそこを“ムバルポロス”と呼んでいる、という。

もっとも、都市といっても入り組んだ仮設通路が工作器械や住居をつないでいるだけで、まるで大規模な採石場にしか見えないのだそうだ。

いずれにせよ、その話が本当なら、我々は彼らが共同体を築かないという認識を改めねばならないことになる。

一般的なゴブリンの性向に反し、集団生活を続けているというモブリン。彼らはいったい何が異なっているのだろう。


彼に尋ねると、モブリンは秩序を重んじ、しかも閉鎖的だ、といったことを嫌悪のこもった声で教えてくれた。

「ゴブリン、モブリンとよくない、仲。でも、利用する、どっちも」

ゴブリンの多くは、モブリンが自分たちのことを、社会性に乏しい低俗な連中と軽蔑している、と感じているという。

それでも、モブリンは地底から掘り起こした莫大な財宝を持っていて金払いがよいため、ムバルポロスに出稼ぎに行くゴブリンが後を絶たないのだそうだ。

さらに質問を続けようとすると、突然彼は口をつぐみ、右手を差し出してきた。銀貨1枚分の情報はここまで、という意思表示だった。

ポケットから取り出した数枚の銀貨を手渡すと、彼はそれをかじって本物であることを確かめてから、再び口を開いた。

「ムバルポロス、動く。都市、いつも引越し」

上機嫌の彼の口から語られた新たな事実は、驚くべきものだった。

モブリンは、地底を掘削しては施設や住居を移す、という作業を延々と繰り返すことによって、都市そのものを少しずつ移動させている、というのだ。

そして、それを可能にしているのは、優れた掘削器械や怪力に改造された労働者といった、高度な技術の産物なのだという。おぞましいことに、それらの技術の中には、人間の職人や工人をさらって得たものもあったらしい。

さらに、彼は驚くべき情報をつけたした。最近、ムバルポロスがゴブリン傭兵を続々と雇い入れている、というのだ。

最後に、彼はこの言葉を残して去っていった。

「ゴブリン、人間、嫌い。でも、カネ次第。モブリン、違う。人間、憎い」

果たして、これから何が起ころうとしているのだろうか。

その秘密は、いまだ地底の奥底にある。



■関連項目 ヴァナ・ディール トリビューン
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最終更新:2015年04月26日 12:04
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