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LLF問題の当事者である星海社及び古野まほろ氏について、それぞれの主張を比較しました。
星海社については、公式サイトに掲載されている
『弊社刊行物『ロジック・ロック・フェスティバル 探偵殺しのパラドックス』に関する事実無根の「盗作」疑惑に対する弊社の見解につきまして』
及び『2013年夏 星海社FICTIONS新人賞編集者座談会』・『2014年冬 星海社FICTIONS新人賞編集者座談会』の内容を引用しています。
また、古野まほろ氏については、古野まほろ広報室(Twitter)での発言を引用しています。

1) 『LLF』の盗作疑惑について
2) 著作権者からの異議申立てと対応
3) 『LLF』と先行作品との類似性についての検証
4) その他当事者の見解


1) 『LLF』の盗作疑惑について
星海社 古野まほろ
・先行作品との「盗作」に相当する類似点は一切なく、盗作疑惑は事実無根
・前途と才能にあふれる新人作家の門出に対しての言われなき誹謗中傷
・『LLF』は『果実』の盗作ではない
・私のフォロワーによる、私の影響を強く受けた、オマージュ等である
・もし本歌取りを「盗作」などと貶めるなら、それは侮辱であり冤罪
・世論の誤解なら、誤解を解くためにも真実を説明して頂いた方がよい

両者の主張は、「『LLF』は盗作ではない」という点で一致しています。
盗作された側の作品として名前の挙がった、『果実』の作者である古野まほろ氏自身、『LLF』を読んだうえで度々その旨主張していました。
一方で、『果実』との類似点が多いことから、世論の誤解を解くために、またマナーとしても両作品の関係について説明して欲しいと発言しています。


2) 著作権者からの異議申立てと対応
星海社 古野まほろ
(11月29日において)
「盗作」未満の著作権侵害の可能性においてもあらゆる著作権者から異議申立てはない。言いがかりでない、具体的な根拠のある指摘があればコンプライアンス(※1)に則って誠意を持った対応をする

(2014年1月15日(*冬の座談会開催日時)において)
現在に至るまで、著作権保有者からの異議申し立ては一切ない。また、星海社社長がとある著作権保有者ならびにその代理人と「面談」をしたとの情報が一部にあったとあるが、これらについてもまったくの事実無根の捏造
引き続き、この件についてはコンプライアンスに則って誠実に対応させていただく
12月2日に、ひとを介して星海社に
「『LLF』と『果実』の類似性、関係について説明」を求めたが、ゼロ回答だった

(2014年3月11日)
・「面談」は自分の誤表記であり、じっさいにあったのは「電話対談」
親会社の友人が、星海社社(長)さんらに対して「申入れ」をし、本件解決のための「折衝」をし、社長さんが「頑張ってみます」等と発言したことはすべて真実

※1 コンプライアンス
企業統治の基本原理の一つで、企業や法律や内規などのごく基本的なルールに従って活動すること。
今日ではCSR(corporate social responsibility の略。企業の社会的責任履行)と共に非常に重視されている。
(Wikipedia『企業コンプライアンス』より抜粋、編集)

「盗作」疑惑が広まった結果、星海社は『LLF』の内容を精査し、疑惑が事実無根であると主張する声明を発表しました。
『果実』との類似については、『LLF』発売直後からネット上で指摘されていましたが、声明の中では『果実』について触れられていません。
では、実際にどのような検証が行われていたか次項にまとめました。


3) 『LLF』と先行作品との類似性についての検証
星海社と古野まほろ氏では、『LLF』を検証した視点がやや異なっています。
星海社は小説の主要素(テーマ、プロット、キャラクター)の属性について先行作品と比較を行い、
古野まほろ氏はそれら小説の主要素のうち、テーマ、プロットについて具体的な設定を『果実』と比較しています。

そこで、小説の主要素(テーマ、プロット、キャラクター)それぞれについて、
星海社の検証結果に、古野まほろ氏の指摘がどのようにあてはまるかを示しました。
青字は『果実』の持つ学園ミステリの属性情報を編者が補足したものです。

 
  星海社 古野まほろ
【テーマ】
学園での殺人事件
ミステリを描く上では一大ジャンルを成すポピュラーなテーマであり、先行作品を枚挙することに暇はない 「学園及び周辺施設での殺人事件」

【学校の設定】
・「藩校」を前身とする名門進学校であり、部活動が盛ん
・大戦中、軍の拠点だったが、大戦後返還され学校に戻った
・軍の施設が現在も地下にある(という)
・それへの連絡手段は○○○○○である(という)
・軍の施設探しに、図書館で資料のバックナンバーを山積みにして調査に当たる
・学校の名を冠した「七不思議」が存在する
・学校は市の中心地から離れており、向かいに平仮名四文字の「○○○や」という店舗がある
・音楽室が「別館」にある
・学校の売店に「名物」たる特異な食べ物がある
 
【プロット1】
殺人事件で文化祭が中止になることを怖れ、生徒達が独自に行動

【プロット2】
警察権力の介入を防ぐため、居合わせた人間が素人探偵となる
【プロット1】について
『前夜祭』(※2)の存在を指摘することができるが、
前段となる殺人の状況と、後段となる推理と解決へと至るプロットには『LLF』との密接な類似点を見出だせない

【プロット2】について
『水の迷宮』(※3)の存在を指摘することができるが、
こういったプロットもミステリ界においては極めてポピュラー
「殺人事件で吹奏楽の大会が中止になることを怖れ、生徒達が独自に行動」

【死体発見時の言動等】
・高校生として重要なイベントのため、警察への通報を拒否する生徒が現れる
・警察へ通報すべきだ、と反対意見を述べる生徒、
通報しないことを倫理的に糾弾する生徒が現れる
・通報するかどうか、その場にいる生徒による多数決が行われ、可否同数になる
・最後の一票により、イベントを優先して通報しないことが決まる
・生徒たちによる、実況見分等の捜査が行われる
・現場に留まるのは危険、との判断から、無人の室に移動する

「生徒達が素人探偵となることで、警察権力の介入を防ぐ」

【推理合戦】
・推理に先立ち、各人の詳細なアリバイが確認される
・いまだ分からない犯人に、自白を求める者が現れる
・探偵役が、推理の「前提」を多数列挙し、整理する
・列席者のうち、推理合戦を棄権する者、また「オブザーバー」となる者が現れる
・高校生が持っていない法医学的知識を有する者が同席する
・節タイトルの立て方すべて
(原典は『虚無への供物』だが、原典は「(Xの告発)」しか用いていない。
 「告発」の部分を、果実は必要に応じて変えている)
・オブザーバーがまず、犯人だと指摘され、正直に自白しろと説得される
・オブザーバーの嫌疑が晴れ、告発した者は素直に詫びる
・ダイイング・メッセイジが提示され、その解釈合戦が行われる。
また、別解釈について、別の図版が用意される
・犯人だと告発された者が、我慢できずに失笑する。更に、告発した者をむしろ称讃する
・自信満々に、自分が推理合戦を終わらせると述べる者が現れる
・主人公の展開する推理は、○○である
・主人公の推理以降、○○の推理をする者が現れる(なお性別)
・もったいぶった探偵は嫌いだとの発言がある
・ダイイング・メッセイジが一義的には解釈できないと発言をする者が現れる
・○○の解明など不要、と突き放す探偵が現れる
・推理の結果を「解」と表現する
・「開幕の辞」「緞帳」「ご清聴願う」旨など、推理合戦に演劇的用語を用いる
 
【キャラクター】
生徒会や周辺の個性にあふれた生徒達が登場する
「学園ミステリー」ものの常 (具体的指摘なし)

※2 『前夜祭』(角川書店刊/芦辺拓・西澤保彦・伊井圭・柴田よしき・愛川晶・北森鴻らによるリレー小説)
※3 『水の迷宮』 (光文社刊/石持浅海)
(古野氏の検証は、主語が同じである項目について一部編集を行いました)

検証の結果、星海社は改めて
・先行作品との『盗作』に該当する類似は一切ない
・本作はミステリーの歴史と伝統に対する敬意にあふれた王道の作品

であることを主張しています。 これは、例えばこれまで『LLF』と同じ属性を備えた『果実』はじめ
多くの学園ミステリが「盗作」疑惑を起こしていないことからも明らかです。

一方、古野まほろ氏は
・個々の「要素」の類似を問題にはしていない(例えば進学校で部活が盛ん、など、ありふれている)
・これらすべてを要素とする「組合せ」が、別個独立の、無関係な作家によって作られる可能性は、ゼロであることが問題
・これらは類似性ではなく、同一性

と主張しています。
そして、再度「『LLF』を盗作とは考えていない」ことを強調しています。

一般的な感覚に照らし合わせても、まったく別の人間の書く小説のうち
50件近い設定要素が同一になるという現象はほぼ起こりえないと思われます。
また、広報室の別の発言では、古野氏が『LLF』を読んでチェックした類似点は100件以上あるとされています。
私達の検証作業でも、類似点は103件指摘しています
更に、古野氏が主張するようにこれら要素が類似しているのではなく、ほぼ同一であることは、
私達の検証作業によっても確認されています(類似点「一覧」ページ参照)。

4) その他当事者の見解と主張、及び関連事項
上記項目に当てはまらない、両当事者の見解等について以下にまとめました。
また、関連すると思われる情報がある場合には説明等を付記しています。

【編集者太田克史氏が応募時の『LLF』原稿を読んだきっかけ(星海社座談会、太田克史氏)】
 しかもキャッチコピーが「学園ミステリーは青春に捧げる供物である」だったから、
 これはもう俺が読むしかないかな、と。 


・このキャッチコピーに類似する表現
「これこそ、虚無なる青春への供物。」(講談社ノベルス『天帝のはしたなき果実』、推薦文)

【『LLF』と同様の要素を持つ先行作品とその作者について(星海社座談会、太田克史氏)】
 法月綸太郎的、佐藤友哉的な青春の痛みがしっかりとあるのよ。
 だけど生々しく「法月綸太郎が」とか「佐藤友哉が」みたいな感じでは出さないようにしてるんですね。
 (中略)法月さんたちの作品がすごく好きだっていうのが端々から伝わってくるわけ。


【『LLF』は「新本格ミステリーの正統後継者」による「ありそうでなかった」作品(星海社座談会、太田克史氏)】
 うん、この人は新本格ミステリーの正統後継者だと思うよ。
 あの世にいる宇山さんにも読ませたいよね。
 そういう意味で言うと、「ありそうでなかった」っていう感じがする作品なんだよね。


・『正統(なる)後継者』という表現
 『そしていまこそ勅許を得、僭越ながら申し上げましょう。この古野まほろ、正統なる後継者、であります。』
 (講談社ノベルス『天帝の愛でたまう孤島』、2007年)裏書き

 『正統なる後継者として。青春本格の使徒たるは、この古野への勅であります。』
 (講談社ノベルス『天帝のみぎわなる鳳翔』、2009年)カバー見返し

※『宇山さん』とは
講談社の名編集者であった宇山日出臣氏。「新本格」を担う作家を数多く発掘し、ブームを作りました。
宇山氏が最後に見出した作家が古野まほろ氏。『天帝のはしたなき果実』のために書かれた推薦文が
宇山氏最後の推薦文です。

・『ありそうでなかった』という表現
星海社は、声明の中で
『LLF』のテーマ、プロット、キャラクターについて「ポピュラー」であり「学園ミステリーものの常」と検証しています。
上記「3) 『LLF』と先行作品との類似性についての検証」項目参照

【ミステリーというジャンルについて(星海社座談会、太田克史氏)】
 2010年台の今、「ミステリー」っていうジャンルは残念ながらもう完全に退潮傾向なんだけど、
 退潮して退潮して、一周ぐるっとまわってまたミステリーが表舞台に立つって夢を、
 僕はこの人と一緒に見たいんだよね。


【プロとしての倫理観(古野まほろ広報室、古野氏)】
 プロとしての倫理観というものを、どう考えるか。それが、この問題の根本にあると感じました。
 もちろん、右も左も分からないであろう、版元さんの言うことに絶対服従であろう、
 新人作家さんに作家倫理を求めるのは厳しすぎます。だとしたら、最後の壁になるのは誰でしょうか。


・この発言以前の指摘
 『私の特異な文体は、著作を御存知の方なら、作家でなくても、編集者でなくとも分かる、明らかなもの。
 LLFの原稿を初めて読むときに、編集者の方はまず違和感を覚えるはず』
 『用語についても、高校生の言葉遣い、元バスケ部員が何故自然に音楽用語を使うのか疑問に思うはず』
 『特異な、不思議な箇所があれば常識的には(作者に)確認するはず』
 『本格が滅んだようなアジテーションで「正統後継者」「宇山さんに読ませたい」「ありそうでなかった」「ミステリーの手つきが本当にいい」
 とまで断言する方々が、これだけの同一点に気付かない、気付いて確認しない、確認したが私と果実を無視したとなれば』
 『私なら恥ずかしくて、10年以上ミステリ界から消えます。個人的な倫理観で、誰にも強制はしませんが。

 以上の指摘を踏まえると、ここで古野まほろ氏が発言している『プロとしての倫理観』は、
 編集者としての倫理観について問うていることが分かります。