明け方の学園校舎。
無数のキャンドルの炎が揺らめく、大きな十字架のシンボルが掲げられた講堂で
見た目が若そうな男は慣れた動きで跪き、十字を切る。
「主よ………おや?」
男が祝詞の最初を言おうとしたら講堂に人が入ってきた。
「学長殿ですか。如何しました?」
彼は振り返りもせずに人物を言い当ててみせた。
「ええ、確かに学祭前後はハンティングに出かけていましたよ。先ほど戻ったばかりです」
学長の言葉に若そうな男は苦笑しながら答え、薄く笑ったまま冷ややかに言い放つ。
「大変だったようですね。
しかし、妙な者を入れるから厄介事になるのです。いえ、見ていた訳ではありませんよ。
ただ、残り香で何があったかは大体察しがつきます」
もう一度十字を切って静かにフワリと立ち上がる。
「ムー大陸へ同伴しろ?いいえ、詳細は要りません」
その場でクルッと反転して学長と顔を合わせる
その男の見た目はかなり若い。むしろ、幼いと言ってしまっても差し支えないだろう。
「もちろん引き受けますとも」
学長が満足そうな顔で講堂から出て行ったのを確認して
彼は長椅子に横になる。
「可愛い娘がいればいいなぁ…………」
などとおおよそ端くれとはいえ聖職者にあるまじき言葉を呟いて、仮眠に入る。
7:明け方:招き猫広場
最終更新:2009年06月07日 09:28