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ロック:第五部エピローグ

235 名前: ロック ◆jWBUJ7IJ6Y [sage] 投稿日: 2008/10/16(木) 20:25:15 0

「ロック。実はさっきさ…見ちゃったんだよね。……エルザの事」 
「ああ、俺も見たぜ。」
リバースから現実世界に戻り、巾着袋の中身を確認して少し呆けていたロックは、
ミルクに声をかけられた事で調子が戻ってきた。
「一つだけ聞かせて。1人になれた事、心の底から、迷い無く、嬉しいって言える?」 
「その前に聞かせてくれ。俺は今でもお前の友達か?」
ロックはミルクの返事を待った。
「だったら、俺は嬉しいって言えるぜ!」

「ロック!ねえロックったら!」 
[[リリアーナ]]は息を弾ませながらロックに追いつこうとした。 
「ねえロック、あなたエルザの体を見かけなかった?」 
「見たぜ。」
ロックはすぐにそう答えた。
「リリアーナ、これを見てくれ。こいつをどう思う?」
そう言ってロックは、ミルクとリリアーナにだけ見えるように、
自分の巾着袋の口を広げて見せた。中に入っていたのは、エルザの体だった。
ロックは、ミルクもリリアーナも『すごく小さいです』と言うと思った。
なにしろ巾着袋の中に入っていたエルザの体は、10cm程の大きさしかなかったからだ。まさに人形である。
「たぶん、ヘレンがした事だろうな。ヘレン!おい、ヘレン!」
ロックが呼びかけても、そこにヘレンの姿は無い。そして、姿が見えないのは彼だけではなかった。
「アンジェリーナもどこかへ行ってしまったな。」

媚薬被害者の何人かがこちらへやって来た。
「お前ら!しつこいぞ!」
ロックは怒って、懐から杖を引き抜いた…筈だった。
確かに、ロックは杖を引き抜いたはずだったのだ。
しかし、引き抜いたはずの“それ”がロックの手の中で突然爆発したかのように、

でっかくなっちゃった!!

「こ…これも、ヘレンがした事なのか?」
ロックがいつの間にか持っていたのは、大きな箒だった。
ロックはその箒をまじまじと見つめた。見れば見るほど、それはロックにとって懐かしい箒だった。
長く長く沈黙してしまっていたロックは、やっと一言発した。
「お帰り。」
箒は言葉を発しないものである。それでも、
手に持ったフォルティシモは、たしかに『ただいま』と言ったような気がした。

245 名前: ロック ◆jWBUJ7IJ6Y [sage] 投稿日: 2008/10/18(土) 07:44:56 0

「ロック、私ちょっとパーティに顔出してくる・・・・・・」 
リリアーナは窓越しの朝の空を指差すと微笑んでみせた。 
「ロック、楽しんできて。せっかくフォルティシモが戻ったんだもの」 
「ああ!そうするぜ!」
ロックはにっこり笑って、箒の柄を媚薬被害者だったクラスメート達に向けた。
「ぺリキュラムだ!!」
箒の柄の先から、大量の花火が飛び出し、クラスメート達を打った。
と言っても、この花火には熱はない。あくまで、目くらましと、耳くらましである。
「行くぜ、リリアーナ!」
ロックはリリアーナの手を引いて走り始めた。
朝の風はきっと気持ちいいに違いない。 


数分後、ロックはフォルティシモにリリアーナを乗せて空を飛んでいた。
「ふう、危なかったぜ!」
ロックは風にあおられながら、そう言ってため息をついた。
「よくはわからないが、どうやら俺達が逃げるのを誰かが手伝ってくれたらしい。
 でなければ、とても目くらましの花火だけで逃げおおせられる連中とは思えないからな。
 ところで、リリアーナ。あの媚薬飲んだ奴らが、解毒剤を飲むまでは下に降りるのはやめとこうぜ?
 あいつらの媚薬から生まれる執着心は底なしだぜ…」
ロックは思い出したように言った。
「安心しろよ、リリアーナ。ある意味申し訳ないけど、俺はお前のチョコレートを口にしてなかったのだ。
 だから、こんどは何か違うものを俺に作ってくれよ!
 生憎とベアトリーチェのおかげで、チョコレートはしばらく見たくないからな!」
リリアーナの体から、小さな心臓の鼓動が伝わってきた。ロックは、リリアーナをとても愛しく感じだ。
「…愛してるぜ。世界中のどこの誰よりも。」
ロックがそうつぶやいたとたん、何を勘違いしたのか『最高にハイってやつだ!!』とばかりに、
フォルティシモの出力がフルスロットルになった。幸せな二人を乗せ、どこまでもどこまでも大空を加速していく…

その後、荒ぶるフォルティシモをなんとか静め、主役を待っていたパーティ会場になんとか着けたことだけは追記しておこう。


246 名前: ロック ◆jWBUJ7IJ6Y [sage] 投稿日: 2008/10/18(土) 07:46:02 0

数日後、ロックの部屋のベランダに灰色のコノハズクが舞い降りた。
ロックに手紙を渡しに来たのだ。ロックはコノハズクから手紙を受け取り、
コノハズクが帰ったのを確認してから、その手紙をゴミ箱へ放り込んだ。
「どうしたのですか?」
最近部屋に住まわせているスフィンクスのポンデがロックにそう尋ねた。
「アンジェリーナからだ。」
ロックが不機嫌そうにそう答えると、ポンデも気まずそうに、何も聞かなかったふりをした。
アンジェリーナ。この学園の“元”教師であり、前世における自分の養女であり、友人は、
リバースが終わった後、誰にも、何も告げずに、この学園からいなくなってしまったのだ。
それ以来、取り残されたポンデはロックの部屋に住み込むようになっていた。
ポンデもロックと同じように、アンジェリーナに怒りを感じているのだ。
「………」
「………」
「くそっ!」
ロックはゴミ箱を乱暴に蹴飛ばして、中から出てきた先程の手紙の封を開けた。

ポンデと一緒にアンジェリーナからの手紙を読み終えたロックは、しばらく黙って、何もしなかった。
それとは対照的に、ポンデはもう何をすればいいかを悟り、テキパキと身支度を始めていた。
後は、自分の新しい主人が決心を固めるのを待つばかりである。

「…行くしかないか、フィンカイラ島へ!」
「はい、ご主人様。」
ロックはポンデが差し出したフォルティシモを受け取り、部屋を後にした。

この一年間で、ロックは自分の本当の姿を知る旅を終わらせた。
そして、ここからアンジェリーナの本当の姿を知る旅が始まるのだ。
ロックがフィンカイラ島に赴き、何を失い、何を得るのか?

それはまた別の物語である。

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最終更新:2008年10月24日 22:10
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