山深い森の妖怪、ヨヨキと妖怪退治屋、英子の話になります。



僕の好きな女の子は少し強情だ。今風の言葉で言えば『ツンデレ』と言うのだろうか?

緑深い夏の森の中には不似合いな今風の女子高生と、その後を着流しに身を包んだ青年が二人、山道を奥へ奥へと進んで行く。
暑さのせいなのか不機嫌そうな、女子高生は顔を赤らめ、ムスッとしながら歩き続ける。
僕は涼しげに後を追う。すっかり夏服になった制服をたなびかせて彼女は僕の前を歩く。短いプリーツスカートの裾から垣間見える白い太ももが目に眩しい。

「…なによ。ジロジロ見ないでよジジィ。訴えるわよ。」チラリと振り向きながら、ぶっきらぼうに彼女は言う。
「夏服姿もかわいいね。」僕は笑いながら彼女に返す。
「う、うるさい!」そう言ってまた前をズンズン歩き続ける彼女。段々急になる山道、ふと前を見上げると…。
さらに眩しい光景。一つに括った長い髪から覗くうなじは、ほんのり上気しが汗ばみ、艶っぽい。普段なら若々しくみずみずしい印象を与える白いブラウス。
しかし今は彼女の身体に淫靡に張り付いて、くっきりと薄桃色の胸当て(ブラジャというのか)と…プリーツスカートから除く汗ばんだ秘所が丸見えだ…。
(うわぁ、いやらしいなぁ。)一気に体温が一部上がった気がした。しかし気を確かにしなければ。彼女は年端もいかない少女。あまり無骨に注意するのは些かだし、かといって重々しいのも…僕は一呼吸置いてから静かに、気さくに言った。
「…英子、下着全部見えてる。」
『バッ!?』と、凄い勢いでお尻と胸を隠し振り向いた英子の顔は耳まで真っ赤になっていた。
「えっ!エッチ!?馬鹿!変態!?いたいけな女子高生の下着を見るなんてやっぱりアンタは退治しておかないと後の世のためにならないわ!!」

ざわざわ、と木の葉が揺れる。彼女の桜貝を思わせるの指先が、艶やかな唇に若草色の護符を噛ます。
黒いつぶらな瞳を閉じ、印を結ぶ華奢な両手がまるで蝶のように舞う。その舞いに合わせ蛍火のように彼女の周りを光が舞い始めた。

(綺麗だ。)純粋にそう思った。
己の霊力と森の霊気を練り合わせ内に宿して退魔に放出する退術は、その技が強力であればあるほど詠召時に身体にかかる負担は計り知れないほどの性的快楽に変わる。その快感に堪えきり、完全に詠召を終える事がまず第一の試練だ。
もちろん彼女も例にもれちゃいない。見る見るうちに顔は赤らみ上気し、ふと見れば秘所には淫らな染みが浮かび、それに蛍火の妖艶な反射が加わる。
後に彼女の白く柔らかな太ももに淫水の道筋が作り出された。再度開かれた瞳は潤みきり、まさに男女のまぐわいの最中のそれと変わらないくらいに色っぽくなった。

(あぁ、不謹慎にも勃ってきた。)まるで情事の最中、おねだりを必死に我慢しているような彼女の表情に、僕のあそこは痛いくらいに怒張してしまう。
薄ぐらい森のしとねの中、ピリピリと空間が引き攣る。イク寸前の女の香を纏いながら英子はゆっくりと詠召を終えた。

木々の風揺れにでさえ敏感反応してしまうくらい官能に高ぶった身体を、快感で暴走させたら退魔術は失敗してしまう。
それに耐え切り相手に術をぶつけるまでが最後の彼女の試練。
彼女の放つ霊気(と言うか色香に)金縛りのように動けない僕は、ただただ彼女が僕にその力を解き放つのを待つばかりだった。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2013年01月02日 01:27