「もう嫌だ。僕はダメな奴なんだ……」
マーくんは、自信喪失に陥っていた。
「マーくん……」
それを心配そうに見詰めるママ。
そんなある日、一枚のチラシがママの目に入った。
「これは!?」
鳩がアサルトライフル食らったばりに驚く、ママ。
「マーくん。マーくん。ちょっと来て」
マーくんを家の外に引っ張る、ママ。
「なんだよ?」怪訝とする、マーくん。
「あれを見るのよ!」得意気に指を指すママ。
「?」
ママが指差した方向では、知的障害者が「うぅうぅ」言っていた。
「気持ち悪いね」全人類が思っている事を述べるマーくん。
価値観が多様化している現代において、「知的障害は気持ち悪い」というのが全人類共通の思いというのは、中々凄い事である。
「マーくん、自信を持って。あなた、知的障害者に比べればマシなんだから!」と慰めるママ。
「あ……そうか!!」自信を取り戻す、マーくん。
知的障害者を見下し、優越感に浸る、マーくん。いや、全人類。
違いは、「見下してる事を認められる」か「見下してる事を認められないか」だけである。
そして、マーくんは自信を取り戻した。
ありがとう、知的障害者。
ママは、マーくんにバレないように、先ほど「うぅうぅ」言っていた知的障害者に謝礼を渡している。
「ありがとうございました」
「いえいえ、また何かありましたら、我々『知的障害のフリをする屋』に依頼してくださいね」
実は、知的障害のフリをして、それを見て貰って優越感を持ってもらうための、現代ならではの商売であった。
「いやー、よかったわ……本当に」
マーくんの自信が戻って安心する、知的障害のママ。
最終更新:2012年01月15日 23:02