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 ホド男の扱いが「灰身滅智」以上に酷いのと、赤毛の存在そのものが酷いのに耐えられる方だけどうぞ。
 性描写はありませんが、発禁ワードもどきを某オリジナルが連呼しているので注意。



 それは長期ロケ、「灰身滅智」収録後の、スタッフ達の朝の食事風景での出来事だった。



Guess what’s in the sheets



「今日もいい天気ですねー、イオンさまー」
「そうですね、アニス。あ、シンク、スミマセンがそこの醤油差しを取って貰えますか?」
 話を振られて、一応はイオンの方へ顔を向けやるが、結局自分と同じ顔に阿呆面が張り付いているのを見ていられなくて、僕はため息一つ吐くフリをしながら、顔を逸らした。勿論、醤油差しを取ってやる気なんぞさらっさら無い。
「シンク…あの、醤油差し…」
「塩分取りすぎて、成人病にでもなったらどうするわけ?」
 しつこく醤油を要求するイオンに、今度は一瞥すらくれてやることもせず言い放った。やれやれ、と言った様子でウ゛ァンの主人兼手癖の悪い男兼ガガガな男、もといガイラルディア・ガラン・ガルディオス(21歳、女性恐怖症である為恐らく童貞)が醤油差しをイオンにくれてやった。チッ、余計なことを。
「あ、ありがとうございます。ですが、矢張りシンクの言うとおりにしようと思います。折角取って下さったのに、スミマセン、ガイ」
 あー…まぁた何か勘違いしてんじゃないか、このお気楽導師は。んで、止せばいいのに顔なんか上げちゃうから、視線が合っちゃうわけだ。
「心配して下さってありがとうございます。シンクは優しいんですね」
 笑顔でサラリと言われた。鳥肌がたった。
「え~…イオン様、考えすぎですよぉ~う。今のは絶対嫌味ですってー」
 よくぞ言った導師護衛役。全く以てその通りだ。
「そうでしょうか?シンクはあれでいて、とても優しい人だと思いますよ」
「え~え!きっとその通りでしょう。証拠に、あの仮面は照れ隠しの意味合いが含まれているのです」
「クソ眼鏡が余計なこと言ってんじゃないよ!」
 ガイラルディア・ガラン・ガルディオスから哀れみを込めた視線を投げ掛けられる。や、やめろ…やめてくれ!童貞(偏見)風情が、僕をそんな目で見るんじゃない!!
「ふむふむ、成る程ねー。アニスちゃん、解っちゃった。つまり、シンクってばテレテレシャイシャイのツンデレボーイなんだねー」
「まあ!シンクはツンデレボーイでしたの!?ツンデレというのは、つまりジェイドと同じ、ということなのですわね?」
「おやー、そこで私に来ましたか」
 話が…話が妙な方向に…………って、
「人が黙って聞いてれば好き放題玩具にしてくれるじゃあないか!」
「ほほぉーう。自分で自分が玩具にされている自覚がありましたか」

ぷっつーん。

「ー~~~……ッッッアカシックー…」
「シンク、食事中に暴れるな」

ゴスッ

 そう言ってリグレットは僕に裏拳を決めると、また何事もなかったかのように優雅に味噌汁を啜り始めた。渋々着席すると、アリエッタと目が合った。
「……シンク……お行儀、悪い……」
 ……何故だろう、リグレットの裏拳に因る顎のダメージをも、一瞬忘れる痛恨の一撃を食らった気がするのは。え、って言うか…何で僕、こんなショック受けてるのさ。
「シ、シンク…俺の卵焼き、やろうか」
 ラルゴ、慰め方が微妙だよ。でも卵焼きは貰う。うん、美味しい。
「ハーハッハッハッハッハッ、アリエッタの言動と卵焼き一つに一喜一憂するなんて、シンクもまだまだお子様ですね!」
 こ、この偏執狂が言わせておけば…!あー…でも、ここでまた秘奥義発動なんかしようものなら、またリグレットの裏拳(いや、今度は銃を持ち出してくるかも知れないけど)と、アリエッタの軽蔑しきった視線が…。
 僕が躊躇していると、結局あの嫌味眼鏡が唾を飛ばしながら高笑いするディストを黙らせた。これでやっと落ち着いて食事が出来るー…そう思った僕が甘かった。
「そういえば…あの二人は朝食は宜しいのかしら?」
「ナ、ナタリア!」
 天然ボケ王女のとんでも発言に、童貞(推測)が悲鳴とも非難とも言えない声で彼女の名を呼んだ。だが、思わず声を荒げる、その気持ちが僕には嫌と言うほどよく解かった。いや、僕だけじゃあない。天然ナッちゃんの発言に、僕だけでなく周りの空気が凍りついた。いつでも冷静沈着なリグレットと、その事態の深刻さをイマイチ飲み込めていないアリエッタだけが、相変わらず淡々と食事を続けている。
 そして、その男は行動を起こした。勢い良く、まるで叩きつけるかのような強さで机に手を付くとその男―…ヴァンデスデルカ・ムスト・フェンデ(微妙に変態チックな趣味で部下を編成する27歳に見えない27歳)が立ち上がる。さっきから黙りっぱなしで、しかもホド男とは思えないオーラのなさだけど、まあ、うん、きっと……いいことあるよ。
「に、兄さん!」
 ヴァンの妹が縋るようにして腕を掴むが、そのんなのはものともしないで、ヴァンはある一つの扉へと突き進んで行った。ヴァンの妹だけでは事態の収拾がつかない、と判断した童貞(多分)が立ち上がり、後ろから羽交い絞めにするが矢張り彼は無言で前進を続けるのみだ。
「きょ、教官!兄を止めて下さい!!」
「そうしてやりたいのは山々だがな、残念な事に私はまだ食事中なのだ、ティア」
「きょ、きょーかぁーん!!」
 そうして、ヴァンの妹の叫びも虚しく、ヴァンは扉の前に辿り着いてしまった。……って、まあ、開けるんだよな…あれ。
「…シンク、もしもの時に備えて、俺達だけでも一時食事は中断しておかないか」
「……ったく、何で僕がこんな貧乏くじ…」
 でも、まあラルゴの提案を一応は呑んで、僕は箸を置いて立ち上がった。決してアリエッタの為とか、そんなじゃない。そんなじゃないからね。
「まあ、ラルゴ!勇敢ですわ!それでこそ殿方の鑑というものです!私にも是非お手だー…」
「王女様は大人しく食事を続けていろ」
 ……親心だね、ラルゴ。
 そしてラルゴと一緒にヴァンの後ろに立つ頃には、扉はエンシエント・レクイエムで木っ端微塵になっていた。童貞(察するに)の話では、鍵が掛かっていたらしい。…………まあ、本人達の自己防衛が、結果的に僕らの平和に繋がってたわけなんだけど、その辺差し引いて差し置いても、ヴァンは馬鹿を見ないと解からないらしい。仏ホットケ神構うな……祟りを知らぬ愚か者目が……せめて僕とアリエッタの目の届かないところで勝手にやっててくれないかなぁ。
 部屋の中の灯りは付いておらず、カーテンの隙間から差し込む朝の光がやけに清々しい気がするー…が、僕は知ってる。本当に、気がするだけだから。寧ろ如何わしいから。ここは目くるめく淫縦相姦、ソドムの巣窟なんだから。ってか、あの平和な食卓と扉一枚で隔てられてただけでも、幾分かの救いになるかのよーな……ってか、アリエッタが食事を続けるあの空間に、この部屋の中の空気が流れてくのがスッゲー嫌。寧ろおんなじ空気吸ってたくないし、吸わせたくないし……って、あれ?何か僕、さっきからアリエッタのことばっか考えてない?ま、まー…兎に角!この部屋の中の空気が如何わしいってことを理解してよ。その証拠にほら、ベッドの上のシーツの、あの異様な盛り上がり。大人二人分くらいの膨らみ。……僕、実質まだ二歳なんだけどねぇ。
 ヴァンは妹と童貞(恐らく)を背中と腰周りにくっつけたまま、つかつかと、しかし無言でベッドに近付いていくとシーツの上の塊をー…蹴飛ばした。シーツに包まれたままの、同じ顔した赤毛が二人床下に落っこちた。僕は食べかけの卵焼きのことを思い出していた。勿論、現実逃避だ。
 赤毛の一人は床にへたり込みシーツに包まったまま、涙目でヴァンを見上げている。何が起きたのか解からないらしい。まあ、フツーそうだよな、うん。アンタが素っ裸でさえなければ、僕は結構同情してたと思うよ。で、もう一人はといえば、片割れと違って落とされるや否や、素早く受け身を取って立ち上がると、怯むことなくヴァンと対峙したー…のはいいんだけど、やっぱフルち●で仁王立ちされても、迫力ないなぁ。
「ホモ共め……」
 凄惨な光景を、半ば諦念の眼差しで見つめながら、それでも僕は呟いた。せめてもの抵抗だと思いたい。ラルゴなんて男泣き始めちゃってるんだけど。ああ、男ムサイ。でもその気持ち、よく解かる。ああ、卵焼き……やっぱ食べてからこっち来れば良かった。
「ヴァン!貴様、一体何のつもりだ?邪魔するんじゃねぇッッ」
 そうだよ、そっとしておきなよ。アンタの軽率な行動が、結果的に僕ら全員に迷惑掛けてるんだからさぁ(まあ、元を正せばあのお姫様の発言で、ヴァンがプッツンしちゃったんだけどさ)。
「アッシュ!お前は、私とい&%$#‘&(%&$’%$&‘)ッッ$%&&’$%$!!?」
「はぁ?意味解かんね」
 ヴァン、ショックなのはよく解かった。でも、言葉になってないから。
「+*`&(‘&%’&&%$&)*>>*L++`!!!」
 ……………だぁ~めだこりゃ。
「兄さん!兄さん止めてーーーーッッ」
「そうだヴァンデスデルカ!戻ってくるんだ!俺達の世界に!!」
 ほら、聞く耳持ちなよ。妹泣いてるよ、ご主人様も泣いてるよ、きっと天国だか地獄だかのお父さんお母さんだって泣いてるよ。
「ヴァン、お前がどうしてもというのなら俺も受けて立つ。師匠の暴走を食い止めるのは、弟子である俺の役目だ」
 暴走してるのは何もヴァンだけじゃないと思うけどね。それ以前にアンタら二人、いい加減コッチの世界帰って来るか、いっそ誰の目も届かないトコ行ってくんない?そうすりゃ被害だって色々抑えられると思うんだよね、僕。アリエッタに汚いもの見せたくないしさ。そーすればきっと、色ぉーんなことがまぁるく収まるんだから、さ。ヴァンだって多分きっと恐らく元に戻るだろーし。多分きっと恐らく。
「さぁ、剣を抜け!もう俺はテメェを煽ててチヤホヤ祭り上げてやる必要はねぇんだからな、手加減は一切しねぇ!」
「$&&(‘)()」’&$%%#$#%&~==ッッッ*P`=~{+*KLIO()?*==}!!!」
「うっるせぇ、しつこい!俺はまだこれからこのレプリカ野郎と●●●●●って●●●んだら、俺の●●にレプリカの●●を×●●●●んだよ!」
「―――――――――――――ッッッッッ」
 ………公爵子息が聞いて呆れるね。童貞(推定)も何気にショック受けてるしさぁ…やっぱ童貞(憶測)には刺激が強すぎんじゃない?
「アッシュ!これ以上兄さんを煽るのはやめて!!」
 ぅわー…妹強ぇー…。素っ裸の成人男子が仁王立ちして発禁ワード連呼してんのに、言うことそれかよ。
「ッッッッッアーーーーーーッシュ!!!!」
 ヴァンの怒声が響き渡る。あ、何か久々にちゃんとした言葉喋ってんじゃん。お帰り総長。床にへたり込んだままのレプリカルークが、その声に漸く我に返ったようにはっ、とする。
「せ、師匠……」
 うろたえている。ああ良かった、一応アッシュのレプリカでも、この事態が異常だってことは解かるらしい。ってか、何でアンタのオリジナルはそのことが解かんないんだろーね。でもまあ、アンタもそんな異常事態引き起こしてる当事者の一人なんだけどね、で僕はその他大勢の被害者。
 レプリカルークは床の上に相変わらずの乙女座りのまま、困り果てた顔をしてヴァンとアッシュを見上げている。昔アリエッタが読んでいた少女漫画の中に、似たようなシュチュエーションの絵があったかなぁ、とか考える。何か、「やめてー。私の為に争わないでー」とかそんなだった気がする。当時はその滑稽さを鼻で笑ったもんだけど、今目の前で繰り広げられてる地獄絵図と違って、吐き気をもよおさない分、幾らかマシだったんだろう。しかもヴァンが争ってる原因は、争ってる相手自身だったり、横恋慕(?)の相手こそが、小動物のよーにプルプル震えていたりと、もう何が何だか、だ。
「テメェ、ヴァン!レプリカが怯えてるじゃねぇーか!!」
 シーツを引き上げるようにしてレプリカルークに掛けると、その肩を抱いて安心させるように擦る。そしてヴァンを見上げて睨みつける。もう好きにしてよ。眼前の悪夢と、背後で繰り広げられる団欒の温度差に、僕は少しだけ泣きたくなる。そして、過保護でレプリカ馬鹿なアッシュに、やっぱヴァンがキレた。
「‘」(==*)=~)’%$&%=***==―――――――ッッッ」
「兄さん!」
「ヴァン!止せ!!」
 剣を抜くヴァンに、アッシュも身構える。でもやっぱフル●んなので、凄味がない。いや、寧ろ変質者っぽい。………ああ、違う違う。「っぽい」んじゃなくて、自分のレプリカに欲情してる時点で充分変態なんだっけ、この被験者は。
 ――と、銃声が響き渡った。ってか、僕の頬を掠めて弾丸が飛んでった。
「……??」
 流石に、これには僕も動揺を隠せない。うろたえていると、僕とラルゴの間を縫うようにして、リグレットが前へ歩み出る。そして彼女が室内に足を踏み入れる頃、ヴァンの身体が床に沈んだ。どうやら食事が終わったらしい。背後では食後のお茶なんかが煎れられ始めてる。僕の卵焼き、まだあるかなぁ…。
「きょ、教官……」
「よく耐えたわね、ティア。安心なさい、麻酔銃よ」
 麻酔銃って……あー…まー…それくらいでないと、ヴァンの右腕なんて勤められないか…うん、そうだよね。右腕って言うか、お目付け役って言うか……。
「教官!流石です!私も教官のように華麗に迅速に冷静に兄を仕留められるようになれますか!?」
「そう、では、先ずは肉親としての情は一切捨てることね」
「はい!楽勝です!」
 楽勝だってさ。ヴァン、意識が無くて良かったね。
「ったく……おい、大丈夫かレプリカ」
「う、うん……なぁアッシュ……師匠、何怒ってたのかな?」
 気付け。
「俺がお前の●●×を●●●×●したり、お前が俺の●●に●●×を●●●●×●するのが気に入らねぇみたいだな」
「はぁ?そうだったのか??」
 事態を漸く理解したらしいレプリカルークが、一転してヴァンに哀れみを込めた眼差しを向ける。その表情は僕もよく知ってる……アッシュがよくヴァンにするやつだ。あー……揃いも揃ってやぁ~なオリジナルとレプリカだね。
「師匠ぇ~…アッシュ俺のなんだけど」
「まあ、その辺はどーでもいいんだけどな、これいつまでも転がしとくの邪魔だから、そっちで処分してくれ」
「全く。我々は清掃業者ではないのだぞ」
 アッシュが顎でしゃくってヴァンを示すと、やれやれといった様子で、リグレットが力なく頭を振った。そういえば、何気にレプリカの言葉否定しなかったな、アッシュ……。いいんだ、それで。………まあ……僕は、僕が平和に生きてける分には何も言わないよ。
「ラルゴ、すまないが閣下をお運びしてくれ」
 良かった、僕の方に話振られなくて。
「ガイ。アンタもヴァンの主人なら、部下の不始末くらい拭ってやれば?」
 声を掛けると童貞(きっと)は我に返ったように、はっとした後ラルゴを手伝ってヴァンの足を抱えた。うーん……童貞(推察)にはやっぱ刺激が強すぎたらしい。七歳児のレプリカに先越されるようじゃね…。しかも、赤毛は赤毛で何かまたいそいそとシーツ被ってベッドの上に戻ってるし。
「いやー、二人ともほんっと、仲が宜しくて大変いい迷惑ですねー」
 事態が漸く収拾しかけた頃になって、眼鏡が現われた。ああ、ヴァンが扉壊しちゃったから、あの淫楽の間の尽くが食卓に筒抜けなわけだ。超嫌。
「ホントホント~。ってゆーかぁ、ヴァン総長との折り合いとかつけてから乳繰り合って欲しいと思いまーす」
「でも、仲が良いのは本当に良いことだと思いますよ」
「……イオン様、意味解かって言ってますかぁ?」
 蠢くシーツ見ながら、何を暢気な。解かってないだろうな。
 まあ、これ以上茶番に付き合う義理もないし、ということで僕は食卓へ戻る事にした。と、アリエッタがこちらへ歩いて来る。ヤヴァイ。
「……アリエッタ、あっちには行くなよ」
「でも…イオン様向こう……アリエッタもイオン様のところ、行きたい……です」
 って、あの自堕落な自己愛赤毛共の淫行をアリエッタに見せるわけに行くかぁッッ
 そのまま走って行こうとするアリエッタの腕を強く掴む。
「ぼ、僕が行くなって言ったら行くな!」
「痛い!シンクのいじわるー!シンク嫌い!」
「!!」
「イオン様~」
 ……………悲しい?あれ??目から何か水みたいなものが流れて溢れ出て来ます、よ??

「ハーッハッハッハッハッハ、この残った卵焼きは誰のものです?食べますよ?食べますからね?……食べましたよー!!」
「……ッッッッッアカシック・トーメントォォォォ~~~~~ッッッッ」


 教訓:赤毛は相思相愛にするとロクなことにならない。 


 一応私はルクアシュのつもりで書いたんですが、周りからは「え、アシュルクじゃないの?」と言われ通しなので、もうどっちでも良いです(笑)。






最終更新:2008年10月12日 16:02