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不思議の森



<エピローグ>


リリを部屋で休ませ、自室に戻ったルーゼは執事が紅茶を煎れる姿をながめつつ、

「あの子……満足してくれたみたいで良かったよ」

その言葉に、執事は笑みをうかべると、

「貴方様もとても楽しそうで…ご満足されたのでは?」

煎れた紅茶を受け取りながら笑顔で肯定するルーゼ。
執事の言うように、リリのあの幸せそうな食べっぷりと満腹になったおなかを間近に感じることが出来たのだから。

まぁ……、結界の外から人が迷い込むよう細工していたのは否定しない。
ただ、こんなに楽しい客人が迷い込んでくるとは、ルーゼにとってはとても嬉しい誤算だった。

「……出来れば帰したくないね」

小さくそう呟く。
もう帰す気なんてないくせに……そう言いたいところを執事はぐっと我慢して、

「――…では、どういたしますか?」

主人の意向を訪ねた。
おそらく、自分を抑えてまでも紳士的な対応をしていたのはリリに恐怖心を抱かせないため、逃げ出されないためだろう。
執事たるもの、主人の好みは把握しているつもりだ。
リリの外見は元より、あの食べっぷりと食後の姿を見れば、答えは分かっている……。

「では…とりあえず、朝食の準備をしておいてくれ。そう……たっぷりとね」

ルーゼは微笑んで答える。
その予想通りの答えに執事は苦笑をうかべつつも、朝食の準備に向かうのだった――。



END

最終更新:2011年09月15日 11:40