frame_decoration

おやどり気分。


<エピローグ>

そして、本日の食事は終了した。
結局日菜子ちゃんは料理とご飯をもう一杯を完食した後、白玉クリームあんみつに加えて僕が勧めたゆずゼリーと粟ぜんざいを…最後は若干無理矢理その胃袋に詰め込んでいた……。

どうやら満腹の苦しさで動くことが出来ない日菜子ちゃん。
深呼吸を繰り返し苦しさを紛らわすようにそのおなかをさすっている……。
僕は温かいお茶をゆっくりと飲みつつ、日菜子ちゃんが少し落ち着くのを待った。

――結局、僕たちは本来の目的地であった公園にたどり着いたのは夜。
何とか動けるようになった日菜子ちゃんを気遣いつつ、ゆっくりと公園まで歩き、すっかり日の落ちた公園のベンチに二人並んで座った。

日菜子ちゃんはそのおなかを重そうに抱えて、だいぶ苦しそう。
……当然だ。常識ではちょっと考えられない量をそのおなかに収めたのだから。
ここに辿り着くまでに日菜子ちゃんが食べたモノは次の通り。

クレープ三つから始まり、ボリューム満点のハンバーガーとポテトにフライドチキン、フルーツパフェにプリンアラモード、チョコケーキにチーズケーキ、たこ焼き、ジェラートにコロッケ、シュークリーム、ナポリタン、海老グラタン、シフォンケーキにフルーツタルト、親子丼にチキン南蛮定食とミックスフライ、白玉クリームあんみつとゆずゼリーに粟ぜんざい…もちろんそこに飲み物も含まれる。

本日会ってからここまでほぼ食べ通しだった。
改めて日菜子ちゃんが食べた品々を挙げるとすごい品数と量だ。
それがすべて日菜子ちゃんのこのおなかに……?
間違いない事実なのだが、ちょっと信じられない。
だけど……日菜子ちゃんのおなかは、明らかに食べすぎで大きく膨れているし、とても重そうだ。そこにはめいっぱい食べたものが詰まってるのだ。

可愛らしい水玉はその間隔を広げ、タンクトップ自体がおなかを包み込むことが出来ずに自然と裾が上がって、日菜子ちゃんのおへそがちらりと見えている。
そしてその下…本来のウエストより下では、ホックの壊れたスカートがファスナーも壊滅的な状態になってしまっていた。
それでもおなかを締め付けているように見えるし、キツそうなスカートに膨れたおながが乗っかっているかんじにも見える。

「すごいね…日菜子ちゃんのおなか、パンパンだ……今にもはちきれそうだよ?」

「……っ」

僕がそっと日菜子ちゃんの大きなおなか触れると、恥ずかしそうに頬を染めながらビクッと反応したが…避けるような素振りはない。単に動けないのかもしれないが。

「ずいぶん堅く張ってる……いつもの日菜子ちゃんのおなかじゃないみたい」

僕がやさしく日菜子ちゃんのおなかを撫でながら言うと、

「そっ……だって、優くんがたくさん食べていいって……」

何とか言い返そうとする日菜子ちゃんに、僕は思わず意地悪な笑みをうかべて、

「ん? 確かに勧めたのは僕だけど、食べたのは日菜子ちゃんだよ?」

「……そ…そうだけど……っ」

日菜子ちゃんは意地悪を言った僕を責めることが出来ずに黙ってしまった。
……その様子が僕の中の何かを刺激してくる。

「――まだ食べる?」

「もう無理だよ……おなか破裂しそうだもん」

当然の答え。
もちろんそんなことは一目で分かりきっている。
だが、おなかをさすりながら苦しそうな様子と恥ずかしがる反応が僕を余計に意地悪したい気持ちにさせるんだ。

「……確かに、破裂しそうなくらい大きく膨らんでるね。今日はたくさん食べたもんね?」

「……う…ん。おなかいっぱ…い…っけふ…げふぅぅ…」

今度は知らん顔する気はない。
可愛らしい日菜子からげっぷが漏れるほど食べてくれたことへの喜びと高揚感で僕はとっても満足だった。
もちろん、日菜子ちゃんが恥ずかしさで頬を赤く染め、口元を慌てて隠しながら僕の反応を伺うように見る。
その反応も視線も可愛く見えて、僕は笑顔で応えた。

「日菜子ちゃんがおなかがいっぱいになったみたいで、僕もうれしいよ」

「……そうなの?」

日菜子ちゃんは若干不思議そうに見つめ返してきた。

「うん。僕は日菜子ちゃんが美味しそうにたくさん食べるのがとっても好きだよ」

僕の言葉がにわかに信じられないといった様子の日菜子ちゃん。

「え……でも…たくさん食べる女の子は……」

やっぱりそう思ってたのか…。
だが、僕はその方がよっぽど可愛い…というか愛おしく感じるんだ。

「僕は日菜子ちゃんが大好きだし、美味しそうにたくさん食べる日菜子ちゃんは可愛いよ」

「……」

僕の笑顔に恥ずかしさに加えて、照れるような表情の日菜子ちゃん。
それが僕の気持ちをより高めていることには気づいていないらしい……。

「それに…ほら、スカートのファスナーもこんなに開いちゃってる……」

「……ッ」

おなかを撫でる手を壊滅的なスカートのウエストへとゆっくり移動させ、敢えて日菜子ちゃんに見えるように指摘する。
耳まで赤くなるほど恥ずかしそうにする日菜子ちゃんに、僕はかまわずその火照る耳元で囁くように、

「……食べすぎちゃった? もうこのスカート…服もだいぶキツそうだね」

「そっ…それは……」

恥ずかしそうに言葉に詰まる日菜子ちゃん。

「可愛いよ、日菜子ちゃん」

「…優…くん……?」

僕は日菜子ちゃんをじいっと見つめながら言った。
そして、

「そうだ、今度のデートは新しい洋服買いに行こうか。安心してたくさん食べられるようにね?」

そう僕が若干意地悪そうに言うと、さらに日菜子ちゃんは顔を本日一番真っ赤にして恥ずかしがっていた――。


END

最終更新:2011年09月26日 11:54