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理想の現実


<エピローグ>

食事も終わり、しばらく瑞樹に好き放題おなかを撫で回されていた美和だが…このままでいるのもツラくなってきた。

「……横になってもいい?」

ツラそうに言う様子に、瑞樹は少々いじめすぎたと反省しつつ、

「ベッドに運ぼうか?」

と申し出るが、美和は首を振る。

「ん…このまま横にならせて…?」

どうやら動く…というより動かされることの方がツラいらしい。
瑞樹は大きめのクッションを美和に手渡し、楽な姿勢になるように手を貸す。
そのまま美和はクッションを枕と背もたれにするように当てて横になって、ほっとした様子だ。

「……ていうか、本当に大丈夫か?」

今更ではあるが…若干心配になってきた瑞樹に、美和は何とか服の裾を元に戻そうと試みながら、

「うん…大丈夫」

見た目には確実に大丈夫そうではないし、おそらくどんなに頑張ってもそのおなかを服で隠すことは出来そうにない。
その様子に思わず小さく笑みがこぼれる瑞樹だが、タオルケットを美和にかけてやると、

「…片づけてくるから、寝てろ…――それじゃ、えっちなことも出来そうにないし、な?」

最後は意地悪そうに言って美和のほっぺにキスをし、食べ終えた食器類やら調理器具やらの片づけを始めた。

「……もぅ…っ」

美和はもぞもぞと横向きに寝返ると、タオルケットを恥ずかしさに赤面した顔を隠すように引っ張り上げる。
その下で大きく重たいおなかをさすりながら、恥ずかしさと苦しさを紛らわせようとしていた。
そしてそのまま、美和はスヤスヤと眠りの世界へ――。
その表情は苦しそうな様子はなく、幸せそのもの。

その様子をチラッと横目に見つつ、

「…だったら、俺もガッツリ食べて一緒に寝た方が良かったかな?」

次回はそれもアリかもしれない?
いやそれよりも、もう少し肉付きを良くさせる方が抱き心地が良くなるか??

確かに美和は付き合い始めに比べれば、少し丸くなってはいるがほとんど変わっていない。
瑞樹に至っては全く変化ないのだが、もちろん自分のことなんて棚に上げて首を傾げる。

「なんであんなに食べてるのに太らないかなぁ…?」

もう少し量を増やしてカロリー高めな料理を作ればいいのか???

理想を実現させるべく…そんなことを考えながら、一人悶々とする瑞樹であった――。



END

最終更新:2011年11月12日 08:10