「りほりほ~!」
お店にさやしすんがやってきたとき、むかえるみにしげさんは、まさやほかのみんなとはちがいます。
みにしげさんはずーーーーーっと、りほりほりほりほいってるーー…。
どうしてですか?
すごぉーーーく好きなんだなぁーーーってのは思いますけど、さやしすんのほうは、みにしげさんにそうされて、そんなにうれしくもなさそうです。
というか、ちょっとイヤがってるようにも見えます。
まさだったら、みにしげさんがそんなにしてくれたらすーっごくうれしいし、すーーっごくたのしいです。
ある日のよる、まさはながれぼしを見ました。
ながれぼしはきえるまでに3回ねがいごとを言うとかなうっていいます。
「みにしげさんとずっと…!」
3回どころか、1回も言えませんでした。
つぎの日、みちをあるいていると、とってもキレイな石を見つけました。
ダイヤ?クリスタル?わからないけど、そのくらいキレイな石です。
まさは石をひろいました。
見れば見るほどキレイな石です。
これが、ゆうべのながれぼしだったらなーー。
そのときのねがいごとをつぶやきながら、今日もリゾナントのお店にいきました。
「まーちゃ~ん!」
りほりほ~!と同じくらいのいきおいで、みにしげさんがむかえてくれたんです。
いっぱいおはなしして、いっぱいあそんで、すっごくうれしくて、すーーーーっごくたのしかったです。
この石は、きっとほんとにながれぼしなんだ!
まさはもっといろんなおねがいをしてみました。
だけど、なにかがほしいとかなにかがたべたいとかはすぐにやめました。
なんか体がおもーい…。つかれちゃって、あそんだりたべたりしたくなくなりました。
みにしげさんがずーっといっしょにいてくれるだけでいいです。ずーーっとそばにいてくれるだけでいいです。
…なんかねむくなってきちゃったー。
みにしげさんいっしょにおねんねしましょーー。
まだおそとは明るいけど、おやすみなすゎーい…
…なんか違和感。
私がお店に行くといつも必要以上に歓迎してくれる道重さんだけど、今日は優樹ちゃんとずっとベタベタしている。
まあそんな日もあるだろうし、私としてもあまりべったりされない方がいい。
そんな感じが何日か続いたけど、明らかにおかしいと感じたのは先日。
うちは代休で、午前中からお店に行ったら、優樹ちゃんがいた。
優樹ちゃんの学校は最近行事とかはなかったはず。
「優樹ちゃん!?学校はどうしたの!?」
「みにしげさんがいかなくていいっていったんだもーん」
いくら道重さんが優しいとはいえ、用事もないのにズル休みしていいと言う人ではない。
「…優樹ちゃん、道重さんになんかした?」
「え?え?し、してないもん!なにもしてないもーん!」
…これは何か隠してるな。
何かといっても、おだてたり買収とかという事ではなさそう。
優樹ちゃんの行動を監視してみた。
すると、優樹ちゃんが物陰で何かボソボソ言う度に、道重さんが優樹ちゃんにべったりになる。
次にボソボソ言った時、うちはそこに踏み込んだ。
優樹ちゃんは何か宝石のようなものを持っていた。
「優樹ちゃん、何これ?」
「えっ!?やだ、やです、なんでもない、なんでもなーいーでーすー」
「ちょっと見せてっ」
「やだ、やーだー!さやしすんきらい!あっちいけー!」
その瞬間、うちの体が吹き飛ばされた。
…念動力? でも、優樹ちゃんの能力とは違うはず。
もしや、あの宝石が何か…?
「見せて!」
「やだーー!」
詰め寄って、吹き飛ばされ、を繰り返す。
だけどついに、優樹ちゃんが倒れ込んだ。
「優樹ちゃん!大丈夫!?」
駆け寄ったその時、優樹ちゃんの手から宝石が飛び出した。
宝石は窓ガラスを破り、外へ飛んで行く。
道重さんがいれば優樹ちゃんは大丈夫だろう。
うちは宝石の行方を追った。
やがて、近くの公園にたどり着く。
そこにいた一人の女の手に、宙を飛んでいた宝石が収まった。
「何?あんた」
「そっちこそ、その宝石は何!?」
「なんでそれ知りたいの?」
「それを持ってて倒れた子がいたんだから!」
「あっそう、そこまで見てたのね」
そう言った女は掌をこちらに向けたかと思うと、その瞬間うちは念動力のようなもので吹き飛ばされた。
「こういうこと」
「…!?」
「この石を持てば誰でも色んな念動力が使える。だが、私以外が使うと生命力を吸い取られる」
「やっぱり、そういうことか…」
「生命力を充分に蓄えた石は、私のもとへひとりでに返ってくる。そしてその生命力は、私のものになる」
「その生命力を返してもらうには…?」
「この石を壊せば、ね。でもそれが出来るかしら?」
そう言うと女は、石を飲み込んだ。
「!!!」
それに驚く間もなく、その強力な念動力でうちはあちこちへ吹き飛ばされる。
鳩尾をひと突きすれば石を吐き出させるくらいの力はあるが、近寄れなければどうしようもない。
~♪
その時、軽やかなメロディのチャイムが鳴った。
この公園の噴水は、毎日正午と午後5時にチャイムが流れる。
それで1分間、水が各所から噴き出して様々な動きを見せる。
うちはそれを見るのが好きで、よく見に来ていた。
噴水…!
噴水のある方へ走る。
女は笑みを見せながら追ってくる。
いいぞ、いいぞ、そのままついて来い。
ある地点で立ち止まり、女の方へ向き直る。
あと5秒、3、2、1…
「ばっ!!」
「!?」
女の足元にある水の噴出口から、目一杯の水を出す。
女が怯んだその一瞬をつき、その鳩尾に一撃を見舞った。
口から吐き出される宝石。
それを掴み取り、間髪入れず踏みつけて破壊した。
「うちは他の力に頼ったりしない。自分自身の力を信じて戦う」
念動力を使う術を失った女は、尻尾をまいて逃げていった。
グゥ…
そうか、もうお昼か。
たまにはうちから道重さんに甘えて、ご飯作ってもらお。
もちろん、優樹ちゃんの分も。
投稿日:2014/05/28(水) 12:31:06.22 0
最終更新:2014年05月30日 10:19